ウィペットについて

 

優しく温和な、スタイル抜群のアスリート犬

 

ウィペットのスタンダード
The Whippet Dog Breed

原産国:

イギリス

用途:

臭跡、あるいは視覚による狩猟のために用いられていた犬種.

サイズ:

体高
オス:47~51cm
メス:44~47cm

被毛は、きめの細かい短毛です。

毛色

マール以外のあらゆる毛色または色調が許可されています。

 

ウィペットの犬種の歴史

長い歴史を持った、ハウンド犬が発生のスタート

中世の頃から、ウィペットに良く似た小型のハウンド犬たちは、さまざまな絵画に描かれています。しかし、純血種として認知されるようになったのは19世紀になってからのことで、小型のグレーハウンドにマンチェスター・テリア、ベドリントン・テリア、ホワイト・テリアなどの混血によって作出されたとされています。1873年にイギリスのケネルクラブ、1884年にアメリカンケネルクラブが設立されたことによって、犬種として紹介されるようになります。

初期のウィペットは、足の速さを最大限に活かした野うさぎの追跡に利用され、サイトハウンドとして活躍をしていました。その後、ドッグレースが盛んになると、英国のダーハムやニューカッスルなどの鉱山地帯で競争犬として使用されましたが、時代とともにグレーハウンドのレースが一般化したことや、この犬のショー・ドッグとしての良さが見直され、以前ほどレースで活躍することはなくなりました。

ショードッグとしてのウィペットの最初の登場は1876年にさかのぼります。しかしイギリスのケネルクラブに認められるのには、さらに14年近くかかっており、1890年4月16日の会議でケネルクラブに受け入れられました。

一般外貌

サイトハウンドの優雅な曲線美を持った小型ハウンド

小さくてもサイトハウンドの風貌を持っているのが、ウィペットの最大の魅力です。大きさを比較すると、サイトハウンドの代表格グレイハウンドのほぼ2分の1です。そのスタイルは、流線型で美しく、マズル・首・脚・胴・尾も長いのが特徴です。とくにバックライン(背線)は、美しく、首から背中にかけて流れるような流線型を描いています。

マズルは細いのですが、噛む力は強く、目は黒くて大きくて魅力的です。折れ耳・サーベル形の垂れ尾でコートはスムースのシングル・コートです。体臭は少なく、ほとんど気にならないため非常に飼育しやすい犬種です。

ウィペットの性格

優しい性格で、家族全員の人気者に

自宅内では、ひと言で評するならば、静かで優しい犬と言えます。日がな、自分のドッグ・ベッドで寝ることに満足しています。他の動物に対して攻撃的ではなく、人間にも優しく接します。その穏やかな性格は幼い子供たちとも上手につきあうことができます。ですから、番犬には不向きかもしれません。

一方で、ルアーコーシング(疑似餌を追いかけるサイトハウンドのレース)などの競技では本領を発揮して、強い意思で挑んでいく、勇猛果敢な性格も持ち合わせています。

毎日の暮らし

室内で自由に飼うなら、家具にぶつからないような配慮を

元々が猟犬ですしアスリート犬なので、狭い室内やケージに閉じ込めてばかりでスポーツをする機会がなければ、ストレスが溜まってしまいます。そして、ウィペットはスポーツドッグの仲間ですが、長距離ランナーではなく、スプリンターです。ですから、長時間の散歩の必要ありませんが、短時間の散歩は定期的に必要です。また、室内でも走り回るケースが多いのですが、急にストップするのが苦手なため、ぶつかりそうな家具は室内に置かないように注意をしましょう。

クレートなどに長時間入れておくと、閉所に対する不安を覚える犬もいます。優しい性格をしていますので、できるだけ、目を離さないように育ててあげましょう。

ディスクドッグの全米初代チャンピオンがウィペットだったことから、日本では、ウィペットでディスクを行う飼い主が多く見られます。ルアーコーシングも同様ですが、ドッグスポーツをする際には、ケガの予防も兼ねて、事前のストレッチを忘れずにしましょう。

短毛のシングル・コートのため、抜け毛も体臭も少なく、お手入れが比較的簡単です。ただし、非常に寒がりなので室内飼いに限られますし、冬場は保温のために洋服を着せてあげるのが良いでしょう。

走るのが大好きで得意ですが、それだけ骨折などの怪我には十分注意が必要です。また、皮膚病も見られることがあります。短毛といえども、皮膚は清潔に保ってあげなければなりません。ブラッシングというよりは、温かい蒸しタオルを使って、汚れを拭き取るようにするとよいでしょう。

※参考資料 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ 犬種標準より

Contributor Bio

千葉 路子

『月刊WAN』編集長、『DOG FAN』編集長、愛犬雑誌の編集に約30年携わってきました。現在は犬2匹と暮らしながら、ペットのためのフィットネスを研究されています。
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