アメリカン・コッカー・スパニエルについて

 

小型のスパニエルは、都会の景色にも似合う

 

アメリカン・コッカー・スパニエルのスタンダード
The Cocker Spaniel Dog Breed

 

原産国:

アメリカ合衆国

用途:

フラッシング・ドッグ、コンパニオン
フラッシングとは鳥の狩猟のやり方のうちの1つで、犬の鳴き声で飛び立った鳥をハンターが捉える方法です。ハンターに獲物がいることを知らせるために鳴いて飛び立たせる役割を担っています。

サイズ:

理想的な体高は牡で38.1cm、牝で35.6cm。これより1.25cm上下しても問題ありません。ただし牡で39.4cm、牝で36.8cmを上回る場合、ショーでは失格となります。

毛色:

・ブラック・バラエティー

ブラックの単色、タン・ポイントのあるブラックを含む。ブラックはジェット・ブラック(純黒)でなければなりません。
 

・ブラック以外の単色(アスコブ・バラエティー)

ブラック以外の単色であり、たいへん明るいクリームからたいへんダークなレッドまであります。
 

・パーティ・カラー・バラエティー

2色以上の明確にはっきりと区別できる単色で、そのうち一色はホワイトでなくてはなりません。ブラック&ホワイト、レッド&ホワイト、ブラウン&ホワイト及びローン。それぞれの色のタン・ポイントを含む。ローンはパーティ・カラーに分類されます。
 

・タン・ポイント

タンの色はたいへん明るいクリームからたいへんダークなレッドまでであり、基本色の10%以下でなければなりません。

アメリカン・コッカー・スパニエルの犬種の歴史

人気の火付け役は、ディズニーアニメ 『わんわん物語』

1620年、メイフラワー号でアメリカへ最初の移民がやってきたとき2頭の犬を連れていましたが、その1頭がコッカー・スパニエルだったといわれています。その後も移民が到着するたびにコッカー・スパニエルがアメリカへもたらされました。その中にマールボロー系のスパニエルが含まれており、この系統の犬は小柄で頭部が丸く、マズルが短く、大部分が愛玩用として飼育され、猟用のスパニエルとタイプが違っていました。この犬たちが後にアメリカン・コッカー・スパニエルの誕生の背景となっています。

しかし、アメリカでショーが始まった1870年代から1945年まで、このタイプの犬とイングリッシュ・コッカー・スパニエルがコッカー・スパニエルとして審査をされていました。この年、アメリカン・ケネル・クラブはイングリッシュ・コッカーは別犬種であると宣言しています。またディズニー・プロダクションが制作した映画『わんわん物語』ではアメリカン・コッカー・スパニエルが主人公となったことから、世界中に知られるようになり、日本では昭和 30年代から人気犬種となりました。
 

一般外貌

優しげな風貌は、多くの人のハートをキャッチ!!

アメリカン・コッカー・スパニエルは鳥猟犬種の中で最も小型の犬種です。しっかりした、コンパクトなボディで、彫りが深く洗練された頭部をもち、理想的なサイズで全体として完全にバランスがとれています。真っ直ぐな前脚の上に肩があり、トップラインは力強く筋肉質で、程よい角度の後躯へ向かってわずかに傾斜しています。運動神経がよく、走るスピードが速いことに加え、耐久性も兼ね備えています。さらに快活で、健全でなければなりません。ボディは全体的バランスがよく、活動する時は作業に対して熱心です。長所と短所がはっきりした犬よりも全体的にバランスがとれた犬の方がより望ましいとされています。
 

アメリカン・コッカー・スパニエルの性格

穏やかな気質をもち、小さな子供がいる家庭でも飼いやすい犬種です。明るい性格の持ち主が多く、愛想がよくて人懐っこいのでみんなに好かれるでしょう。神経質だったり臆病だったりすることが少ないことも魅力です。
 

毎日のくらし

美しいコートは、飼い主の愛情の証

優しく、気さくで、愛情深く、そしてとっても活動的です。その優しい性格から、子供や他の動物たちとも仲良く暮らせる犬種です。

ちょっとウエイビーがかったシルキーコートは、絡みやすくこまめなブラッシングが必要です。さらにプロによる定期的なトリミングも必須です。その一方で元々は猟犬種ですので、見かけよりも体力も持久力もあります。1日に数回、最低でも30分程度の散歩は、この犬種のエネルギーを発散させるために必要です。美しいコートに枯れ葉や泥などがついたりして汚れるのを敬遠されるかもしれませんが、そういった日々のケアも含めてお世話を楽しめるようなタイプの方にはぴったりの犬種でしょう。

また、垂れ耳で耳の分泌物が元々多い等、耳の環境が悪くなりやすく、慢性化しやすい外耳炎が多く見られます。 定期的に耳をチェックし、においや汚れ方等様子の変化に気づいたらすぐに動物病院を受診しましょう。 皮膚についても、耳同様に脂っぽく皮膚炎になりやすいタイプの子も見られますので、皮膚のタイプにあったシャンプーの選択や頻度など、皮膚のケアについてもあらかじめ獣医師に相談しておくとよいでしょう。
 

※参考資料 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ 犬種標準より

千葉 路子 『月刊WAN』編集長、『DOG FAN』編集長など、愛犬雑誌の編集に約30年携わってきました。現在は老犬2匹と暮らしながら、ペットのためのフィットネスを研究しています。ads@ka3.so-net.ne.jp

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