パグの特徴や性格、歴史と健康管理について

 

愛情深い性格とユーモラスな動作が、とても魅力的

 

パグのスタンダード
The Pug Dog Breed

原産国 : 中国
用途 : コンパニオン

サイズ

理想体重 6.3kg〜8.1kg

筋肉質な体質だが、過体重と混同してはならない。

毛色

シルバー、アプリコット、フォーンまたはブラックの4色が基本カラー。日本ではフォーン(薄茶色)が一般的。どの色もトレース(オクシパットから尾にかけての背線のライン)やマスクのコントラストがはっきりしている。マズル、マスク、耳、頬の上のほくろ、サム・マーク(前肢の中手骨部分にある黒い小さな斑の事)、額部のダイヤモンド(フォーンの毛色の犬の前頭部に見られる額の黒い斑)、トレースは黒いほどよいとされる。

パグの犬種の歴史

オランダ、イギリス、両王室に愛された歴史

祖先となる犬種は紀元前2000年頃に古代アジアにいた犬たちです。ただし、当時の東アジアの犬たちの体格は大きく、チベタン・スパニエルやペキニーズなど小型犬種との交配によって小型化されたといわれています。現在のパグのスタイルが固定されたのはオランダです。当時、中国と交易のあった東インド会社によってオランダに運ばれ、当時の王室や貴族たちに深く愛されました。オランダ時代のパグは絵画にも多く描かれ、王室で積極的にブリーディングも行われていました。その後、イギリスに渡り、愛犬家としても有名だったヴィクトリア女王によって、パグの繁殖が積極的に行われました。ブラックのパグを作出したのは、ヴィクトリア女王ともいわれています。

一般外貌

理想は引き締まった、コビー・スタイル

犬をよく知らない人たちは、ブルドッグとパグを混同してしまいがちですが、体型的な大きな違いがあります。パグはブルドッグに比べて手足が長く、締まった体をしています。このあたりはオランダやイギリスで描かれた中世の絵画にもしっかりと描かれています。この体型を『コビー・スタイル』と言います。JKCのスタンダードにも『入れ物は小さくても内容は豊富』と書かれている、小型犬にとって理想的なスタイルです。想像をはるかに超えた筋肉質の肉体をしており、コートの上からも筋肉の割れ目が確認できるほどです。

また、ローズイヤーと呼ばれるバラの花のような形の耳、高い位置でしっかりと巻いている巻き尾など、パグならではの特徴的な外貌もパグ愛好家の心を捉えています。

パグの性格

おっとりとしているようで、意外と頑固

まん丸い大きな目で、いつも飼い主を見つめているパグ。パグは飼い主が大好きです。飼い主の行動を、何一つ見逃すまいと、いつも必死になっています。それだけに、愛するパグを裏切るような行動をとってはいけません。犬が迷ってしまうような一貫性のない行動は禁物です。一度、誤った行動を覚えてしまうと、頑固な性格がその言動を覚えてしまいますので、元に戻す、あるいは正しい行動を学習し直させるのは、なかなか大変です。そのような状況を避けるためには、飼いはじめる前にきちんとルールを作っておくことが大切です。もし、途中から飼うケースでは、とことんそのパグとつきあう決意を固めてください。

飼育方法

健康面での管理がなによりも重要

体質的に太りやすく、呼吸をしてしているだけでも太る、とまで言われてしまうほど肥満体質です。パグの理想とされる筋肉質を維持するためとはいっても、元来激しい運動には向いていない犬種のため、必要以上のフードを与えてしまうとすぐに太ってしまいます。しかし肥満を気にしすぎて、極度に食事量を減らしてしまったがために、本来の優しい性格が失われ、いつも空腹でイライラしてしまうようではパグもかわいそうです。また、誤食によるトラブルも発生しやすくなります。ポイントは、適切な食事と日常的な運動を心がけることです。

また、特徴的な皮膚の皺には汚れがたまりやすいので、こまめにふき取り清潔に保つこと、さらに、短頭種ならではの呼吸器系の構造から、体温調節が苦手で、興奮すると呼吸器にも負担がかかりやすいので、これらのことにも配慮する必要があります。犬種の特徴とともに個々の性格をよく理解することで、本来の素晴らしいキャラクターを守り損なうことなく健康的な生涯を送ることに役立ちます。

※ 犬種名表記はJKC犬種スタンダードに準じています。

※参考資料

一般社団法人 ジャパン ケネル クラブ

 

執筆者のプロフィール
千葉 路子

『月刊WAN』編集長、『DOG
FAN』編集長、愛犬雑誌の編集に約30年携わってきました。現在は犬2匹と暮らしながら、ペットのためのフィットネスを研究されています。

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