ジャーマン・シェパード・ドッグについて

 

世界中で警察犬、軍用犬、災害救助犬を務める

 

ジャーマン・シェパード・ドッグのスタンダード
The German Shephard Dog Breed

原産国:

ドイツ

用途:

ユーティリティ・ドッグ、ハーディング・ドッグ、ガード・ドッグ、使役犬など多目的に用いられる

サイズ:

体高

オス:60〜65cm

メス:55~60cm

体長は体高より約10~17%長い。

体重

オス:30~40kg

メス:22~32kg

被毛 

シュトックハール(短毛)とラングシュトックハール(長毛)の2種類で、どちらも上毛と下毛があるダブルコートです。シュトックハールは短く粗い上毛が密になり、ボディに沿って生えています。頭部、耳の内側、足、指の毛は短めですが、足の後ろ側にはやや長い飾り毛があるのが特徴です。ラングシュトックハールは長く柔らかい上毛が生え、耳や足の後ろ側、首、尾には飾り毛があります。

毛色

最も多い毛色は、ブラックの地にレディッシュ・ブラウン、ブラウン、イエロー、明るいグレーのマーキングが入っているタイプです。ブラックあるいはグレーの単色、グレーにダークなシェードが入り、ブラックのサドルとマスクがあるタイプもいます。胸の小さなホワイトのマーキングや内側に非常に明るい色があるタイプは好ましくないとされています。下毛は明るいグレーがかった色で、ホワイトは許容されません。

 

ジャーマン・シェパード・ドッグの犬種の歴史

優れた使役犬を作出するために19世紀に後半に生まれた

祖先となったのはドイツの農家で飼育されていた牧羊犬で、その賢く高い運動能力が注目され改良が重ねられ、犬種が作出されました。1899年9月20日に開催されたドイツのジャーマン・シェパード・ドッグ協会の総会によって、この犬種の最初のスタンダードが作成されました。それからドイツの中部と南部のハーディング・ドッグ(家畜を指揮し誘導することができる犬)を基本にして、ユーティリティ・ワークに最適な犬種を生み出すために、計画的な繁殖が行われました。スタンダードはたびたび修正され、現在は1991年3月23、24日に見直された標準が採用されています。最初は牧羊犬でしたが、現在は警察犬をはじめさまざまな業務に携わる使役犬として活躍している犬種です。

一般外貌

多目的に活躍できる頼もしさ

力強く筋肉質で、全体的にがっちりして頼もしさ感じる犬種です。体長が体高より長いため全体的にやや低めの体型で、特に腰が下がっている姿勢が特徴でしょう。さまざまな目的に用いるために生み出されたことから、体つきや気質、性格の良さが重視されています。

ジャーマン・シェパード・ドッグの性格

勇敢で警戒心が強い

ジャーマン・シェパード・ドッグは落ち着いて自信に満ちた性格をもつ一方、警戒心が強い傾向があります。スタンダードでは勇気と闘志が必須とされていることからも、この犬種に求められてきた仕事がうかがえるでしょう。学習能力が高く訓練を好むので飼い主にも高いスキルが必要ですが、良い関係を築ければ忠実なパートナーになってくれます。

毎日のくらし

頭と体を使って活動させることがQOLの向上に

日本では大型犬の部類に入るうえ、パワフルで持久力が高い犬種です。犬のために時間と場所を確保でき、体力も十分にある人に向いています。毎日の散歩に加えて、スポーツやジョギングなどの有酸素運動を取り入れて体力を発散させましょう。その際には関節に負担をかけないように、適度なクッション性のある地面を選んだほうが安心です。

賢く洞察力があり、飼い主の指示を全うしようとしますが、大型犬で力も強く活動的ですし、時には興奮してしまうこともあるでしょう。そのためトレーニングは非常に重要です。家庭だけではなく、しつけ方教室等で犬をコントロールする技術を学ぶこともおすすめです。警戒心の強さを発揮させないために、子犬のころからいろいろな物事に慣れる社会化トレーニングも必須です。頭と体を使った訓練を好み、飼い主と一緒に活動したがるので、オスワリやマテなどの基本の号令だけでなく、日常のあらゆる動作を指示で行うように教えましょう。オビディエンスなどの訓練競技に参加するのも良い方法です。

万能の使役犬として生まれたジャーマン・シェパード・ドッグの高い能力を生かす工夫を心がけましょう。それが良い関係を築くポイントであり、犬のクオリティ・オブ・ライフにつながります。

ダブルコートの被毛には、下毛が生え変わる換毛期があります。衣替えのようなもので、春には夏に備えて大量に抜け、秋には冬に向けて生えてきます。春先の抜け毛を放置すると、暑くなっても体温が放熱できず、熱中症の危険が高まります。ラバーブラシやピンブラシなどを使って、しっかりブラッシングをしましょう。シャンプーの後はしっかり乾かすことが重要です。

大型犬は関節に負担がかかりやすく、股関節形成不全のリスクもあります。室内で飼育する場合は犬がしっかり踏ん張れる滑りにくい床材を敷くことが大切です。フローリングでは足が滑ってけがにつながるので要注意。ドッグフードを選ぶ際には、関節に配慮した総合栄養食を検討するのも一案です。

がっつくように早食いすると胃捻転を起こす恐れがあるため、知育玩具(食べ物を中に入れられるおもちゃ)を使ってゆっくり食べさせる方法を試してみましょう。

※参考資料 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ 犬種標準より

Contributor Bio

金子 志緒

金子 志緒

ライター・編集者
初めて迎えた子犬がきっかけでペット雑誌の出版社に勤務。現在はフリーランス。愛玩動物飼養管理士1級と防災士の資格を生かして、動物や防災に関する記事、雑誌、書籍の制作に携わる。パートナーの甲斐犬は初代ジュウザ、2代目サウザー。 しましまブログ:www.shimashimaoffice.work

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