柴犬の歴史やしつけ、病気について

柴犬の歴史やしつけ、病気について

 

世界でもっとも古い歴史を持つ
柴犬の歴史

日本犬はどこからやってきたのか…歴史学者たちによってしばしば話題にのぼりますが、当然、日本人とともに、日本列島にやってきました。つまり、縄文時代から、日本にいるのが日本犬たちなのです。縄文時代の遺跡から多くの日本犬たちの遺骨が発掘されており、当時から日本人と日本犬たちは、ともに暮らしていたことがわかります。その後、1万年以上も日本犬たちはこの国から出ることがありませんでした。しかし弥生時代に入って、渡来した朝鮮人が連れて来た犬たちとの、交雑が行われたため、古来の日本犬たちからは風貌が少し変わりました。縄文柴、弥生柴と分類されているのはそのためです。さらに明治時代に入って、さまざまな洋犬が輸入され、これらの犬たちとの交雑が行われたために、1928年、純粋な日本犬たちを残すために、日本犬保存会が設立されました。日本犬保存会では、長年日本国内にいた犬、という考え方をし、犬種の容貌に区別はつけず、大きさのみで犬種を分けています。柴犬は『日本犬・小型』に分類される犬で、現在ではジャパン・ケネル・クラブをはじめ、国際的な犬種団体が、このスタンダードに準じています。

 

柴犬のスタンダード

柴犬独特の毛色パターン

日本犬のスタンダードを制定している日本犬保存会では、各日本犬の標準は決めておらず、日本犬の姿の理想を紹介しているだけで、あとは大きさ区分だけになります。ちなみに体高は、牡: 39.5cm、牝:36.5cm(それぞれ上下各1.5cmまで)が、スタンダードとなります(JKC、日本犬保存会とも)。毛色は、胡麻、赤、黒、虎、白の5色です。ただし、柴犬では、虎と白は認められていません。さらにJKCのスタンダードでは、胡麻を、胡麻、黒胡麻、赤胡麻の3色に分類しています。胡麻毛とは、洋犬でいうところの『差し毛』、つまり『ブリンドル』のことです。ただし柴犬たちはちょっと特殊で、『根白』といわれる、根元が白色の毛色をしています。さらに『裏白(うらじろ)』と呼ばれる、体の裏側が白色をしているのも特徴のひとつです。

 

柴犬の性格

感覚が鋭敏で主人に忠実な性格

ご主人と一緒に狩りに出かけたり、田畑や家族を守る歴史を持つ柴犬たちは、ご主人との深い絆をなによりも大切にします。そのため、ワンマン・ドッグで、主人以外の人にはなつかない、などと言われています。しかし多くの犬種と同様に、社会科期(3週齡〜12週齡)に、さまざまな犬や人たちと接することによって、テリトリーの解釈を自分なりに拡大させ、フレンドリーな性格の柴犬に成長します。元々は村中を歩いて見回っていた犬たちなので、その理解は早いといえます。ただし見回り犬の顕著な気質でもある、鋭敏な感覚によって、少しの物音でもビクッとすることがあります。時にはシャイな素振りを見せることもあるかもしれません。それも柴犬の代表的な性格ですので、気にせず、おおらかに接すること重要です。そして飼い主としてなによりも嬉しいのは、いつも黒々とした瞳が自分を見つめてくれていること。すべての柴犬はいつでもどんな時でも飼い主から目を離しません。

 

柴犬のしつけ

成長に合わせて臨機応変に

柴犬だから、周囲に迷惑をかけない程度のしつけが入っていればいい、という飼い主をしばしば見かけます。もちろん、そんなことはありません。柴犬は非常に利発な犬なので、適切なしつけで、立派な名犬になります。その証拠にそのような先入観念にとらわれていない欧米では、訓練競技会や狩猟競技会などで大活躍をしている柴犬が多くいます。社会科期の学習は前章に書いた通りですが、ポイントは成長に合わせてしつけをしていくこと。社会科期が済んだら、思春期、青春期、中年期といった具合にしつけの内容を変えていきます。たとえば、遊び盛りの青春期では、遊びの中で、主導権を犬にとられないように重点的にトレーニングをします。柴犬では、ひとつのことをしっかりと覚えさせるのがとても重要なのです。この方法で高齢期までしっかりとつき合えば、痴呆による問題行動も最小限にとどめることができます。

 

柴犬の病気

健康寿命の長い犬に育てよう

多くの洋犬に比べて、病気にかかりにくいと言われていますが、環境の変化や高齢犬の増加によって、いくつかの病気が顕著にあらわれてきています。ひとつは皮膚病です。柴犬は厚いダブルコートをしていますので、被毛の間にゴミやフケがたまりやすく、死毛も多く出てきます。こまめにお手入れをすることが重要です。また、アトピー性皮膚炎も多く見られますので、常に皮膚のチェックをする必要があります。嬉しい長寿の傾向とは裏腹に、白内障、歯周病、痴呆症などといった、高齢ならではの病気も多く見られるようになってきました。年をかさねてからではなく、若い頃から栄養や運動などに気をつけて、健康寿命を伸ばしてあげることが、柴犬との楽しい生活のポイントです。

 

 

執筆者のプロフィール

千葉 路子

『月刊WAN』編集長、『DOG FAN』編集長、愛犬雑誌の編集に約30年携わってきました。現在は犬2匹と暮らしながら、ペットのためのフィットネスを研究されています。

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