シベリアン・ハスキーについて

 

精悍な見た目とおちゃめな性格のギャップがたまらない

 

シベリアン・ハスキーのスタンダード
シベリアン・ハスキーのスタンダード

原産国:

アメリカ合衆国

用途:

そり犬

サイズ:

体高 牡:53.5~60cm 牝:50.5~56cm

体重 牡:20.5~28kg 牝:15.5~23kg

体重は体高に比例します。上記のサイズは共に体高及び体重の制限を示しており、どちらかが優先されることはありません。過度の骨量や体重があるものにはペナルティーが課せられます。

被毛は、ダブルコートで過酷な環境に耐えうる構造をしています。上毛はしっかりとした直毛で、長さは中程度あり雨や雪をはじきます。下毛は柔らかく密で、厳しい寒さに耐えられるよう保温の役目を果たしています。年に約2回程度ある換毛期には、この下毛がごっそりと大量に抜けます。

毛色

ブラックから純白までの全ての色が認められています。頭部の様々な斑は問題ありません。他犬種にはみられない多くの模様があります。

 

シベリアン・ハスキーの犬種の歴史

そり犬としての高い能力が、多くの人々に知られるきっかけに

スピッツ族に属する犬種で、北極点をとりまく高緯度の地方にいるエスキモー犬の仲間です。アラスカン・マラミュートやサモエドとは近親関係になります。非常に古い犬種と思われますが、詳しいことは不明です。

元々は、シベリア北東部のコリマ川流域を中心とした地方で生計を営んでいたチュクチ族が飼育していた犬で、シベリアン・チュチースと呼ばれていました。冬はそりを引く犬、夏はボートを引く犬として使用され、また狩りの助手としても活躍していました。

その後、この犬の高い能力に気づいた人々によって、ピアリーによる北極点探検でそり犬として活躍したり、アムンゼンやスコットの南極大陸探検(1911年)にも使用されました。また、1909年にアラスカで行われたそりレースに出場するためアラスカに渡り、その後もレースでは素晴らしい成績を収めました。この活躍によって、ハスキーは世界中に知られることになります。さらにその後も、アラスカの都市でジフテリアが流行した際に、悪条件の天候で他の交通手段が使用できない中、ハスキーたちの犬ぞりによって大切な血清を届け、多くの人の命を救うという偉業を成し遂げたことによっても知名度が上昇しました。

日本では1980年代以降、映画「南極物語」や漫画「動物のお医者さん」のヒットによりハスキーが広く知られるようになりました。バブル経済も相まってハスキーの飼育頭数が激増し、社会現象にもなりました。現在ではブームは落ち着きましたが、人気犬種の大型犬では常に上位にランキングする安定した人気があります。

一般外貌

オオカミを連想させる野性的なスタイルに凛々しい顔立ち

シベリアン・ハスキーは大型犬ですが、犬種全体からみると中型の作業犬として分類されます。ほどよく引き締まり、筋肉質でバランスが取れた体型をしています。この均整の取れたスタイルは、ハーネスを付けて、本来の役割であるそりで長距離を一定の速度で軽い荷物を運ぶときに、パワーとスピードおよび耐久力の基本的なバランスが整っていることをより感じさせてくれます。豊富な被毛に立ち耳、ブラシ尾(密集した毛をもち下に垂れ下がっている)が北方犬種としての特徴を表しています。迅速で軽い足取り、自由で優雅な動きをします。牡は力強いのですが、決して粗野ではなく、牝は牝らしいボディをしていますが、構成上弱々しくはありません。

シベリアンハスキーの特徴の1つである目の色は、ブラウンかブルー、または左右の目の色が違うオッドアイがあり、顔の模様と併せると、神秘的で、精悍な印象を与えます。

シベリアン・ハスキーの性格

コワモテの期待を裏切る、フレンドリーな甘えん坊

ちょっとコワそうな見た目に反して、友好的で優しい性格をしています。そり犬として協調性を重要視されてきたため、他の犬や知らない人に対してもフレンドリーに接することができ、心を許した飼い主には従順です。用心深い一面もありますが攻撃性をみせることはなく、控えめで、気高さもうかがえます。一方で、好奇心が旺盛でイタズラ好き、執着をあまり持たない楽天的なところから、脱走癖や放浪癖がついてしまうこともあるようです。犬ぞり時代の、走り出したら止まらない・・という気質もあるのかもしれません。とにかくめげない陽気なポジティブシンキングの持ち主です。

毎日の暮らし

独立心が強く、自分の気持ちに素直

優秀なそり犬であるハスキーはいくつものエピソードに記されているように、利発で自立心に富んでいます。責任感をもって自分で決めて行動をすることが多いので、時として誤解を受けてしまうこともあるようです。楽天的な性格で、嫌だと思ったり納得のいかない行動がとれないのです。また、好奇心が旺盛な一方、飽きっぽいところもあります。そのため、一緒に生活をしていく上で、無理強いせず、時間をかけて大切なことを理解させるようにして導いていきます。

本来、重い荷物を引いて、何10キロと歩くことを仕事としていたハスキーですから、かなりの運動量が必要です。日常の生活で埋めるのは難しいかもしれませんが、できるだけ運動量を確保するように長距離の散歩をしたり、ハスキーに合ったドッグスポーツなどを体験させて、ストレスを貯め込まないようにしてあげましょう。運動が不足すると欲求不満となり問題行動につながることがあります。

酷寒の地での生活のために、厚いダブルコートをもち、これは高温多湿の日本では生活しづらいともいえます。そのため、特に夏場には温度管理に注意しましょう。また、換毛期には大量に毛が抜けますので、こまめなブラッシングで皮膚の健康を保ちましょう。

※参考資料 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ 犬種標準より

Contributor Bio

高橋智司

編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター  獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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