バーニーズ・マウンテン・ドッグについて

 

キラキラ笑顔がたまらない! 温和で甘えん坊な重量犬 

 

バーニーズ・マウンテン・ドッグのスタンダード
バーニーズ・マウンテン・ドッグのスタンダード

原産国:

スイス

用途:

元来はガード・ドッグ、牽引用の犬として、またベルン州では農場でキャトル・ドッグとして用いられていました。現在でも多用途に用いられており、家庭犬としても飼育されています。

サイズ:

体高

牡:64~70cm、理想サイズ66~68cm

牝:58~66cm、理想サイズ60~63cm

被毛は、光沢のある長毛で直毛、あるいはわずかにウェーブのかかった毛並みです。ダブルコートでかつ長毛なので、抜け毛のボリュームもあります。

毛色

黒、茶、白の3色からなるトライカラーです。

地色はジェット・ブラック(漆黒)で、頬、目の上、四肢全てと胸には、リッチタン・マーキング(濃い黄褐色の模様)があり、下記の場所にホワイトのマーキングが見られます。

  • 頭部には左右対称のクリーン・ホワイト(純白)のマーキングがあります。ブレーズ(前顔部の中央から両目の間を頭蓋にかけて走る細長い白斑)は鼻の両脇に向かって伸び、マズル・バンド(吻をとりまく白斑)と合流します。また、目の上のタンの マーキングにかぶってはいけません。ホワイトのマズル・バンドは口の端をすぎないように。
  • 喉や胸にある、適度に幅広く、途中で途切れないホワイトのマーキング
  • 理想:ホワイトの足、尾の先端のホワイト
  • 許容範囲:うなじにある小さなホワイトの斑、肛門にある小さなホワイトの斑

 

バーニーズ・マウンテン・ドッグの犬種の歴史

古代ローマ時代から愛された、見た目も可愛いワーキングドッグ

古代ローマ時代までさかのぼるほど、非常に起源の古い犬種といわれています。元々は農場で飼われていたファーム・ドッグで、ガード・ドッグ(番犬)としてや、荷物を載せた荷車を引く牽引犬として活躍していました。さらに、ベルン周辺の山岳地帯や中部ではキャトル・ドッグ(牛追い)にも用いられていました。この地域には長毛でトライカラーのファーム・ドッグが数多くいて、この地域の山の旅館の名前をとってデュールベッヘラーと呼ばれていました。

その後、時代の変化とともに産業革命を迎えると、犬の役割が奪われ一時は絶滅寸前まで数が減少してしまいました。

一方、イギリスでは19世紀後半にケネルクラブが設立されると、それ以降20世紀にはドッグショーが盛んに行われるようになり、ヨーロッパの純血種にも目が向けられるようになります。そういった背景の中、一部の愛好家たちの手によってわずかに残っていたバーニーズの繁殖計画が開始されました。そして、1902年、1904年、1907年にはドッグ・ショーに出陳されたのです。

1907年には、ブルクドルフ地方のブリーダー達が「スイス・デュールバッハ・クラブ」を設立しました。このクラブでは、犬種の純血繁殖を推進し、また犬たちの特徴を固定しようとしたのです。1910年にブルクドルフで開かれたショーには、地域の農場主たちの多くがデュールベッヘラーを出陳し、じつに107頭もの犬が出陳されました。この日より、スイスのマウンテン・ドッグたちは“バーニーズ・マウンテン・ドッグ”と名称変更され、スイス中、さらにドイツに隣接する地域にまで急速に高く評価されるようになりました。

今日、バーニーズ・マウンテン・ドッグは印象的なトライカラーの被毛と適応力の高さから、世界中でよく知られ、家庭犬、 伴侶犬として高く評価されています。

一般外貌

美しいトライカラーにがっしりとした体つき。温和な顔立ちは眉がチャームポイント

長毛で、3色で構成されるトライ・カラーが特徴的です。中型より大きめで、力仕事を任されてきた作業犬らしく、体つきは頑丈でがっしりしていますが、動きは機敏です。大きすぎない垂れ耳に、眼の上のマーキング、アーモンド形の目が穏やかで愛らしい表情をつくっています。全てのバランスがよくとれています。

バーニーズ・マウンテン・ドッグの性格

とにかく家族が大好き!空気も読める甘えん坊

飼い主には献身的で忠実、性格が良く子供やほかのペットとも仲良くできます。番犬としての注意深さを残しており、周囲を常に観察し、飼い主の気持ちも汲み取ってくれます。一方、家族以外の他人に対しては警戒心を示すこともあります。優れたワーキングドッグという特性から、自分で判断して行動するという自立心をのぞかせることもあり、マイペースな一面もあります。

毎日の暮らし

十分な運動と、ゆっくりと時間をかけたトレーニングを

スイスの山岳地帯で暮らし仕事をしていた祖先をもつことから、とにかくタフで外に出ることが大好きです。そのため、毎日十分な運動量が必要です。飼い主といることがとにかく好きなので、長い距離を歩く散歩やハイキング等、飼い主と一緒に楽しめるように工夫しましょう。当然大型犬で力も強いですから、リードコントロールができるよう小さいうちからしつけをして練習する必要があります。

大型犬、とくに重量犬の場合、ゆるやかに成長することから、早い時期からのしつけはあまり考えない人もいるようですが、バーニーズは利発な犬種なので、子犬時代からゆっくりと時間をかけてしつけをするようにします。しつけのプログラムを作り、到達度を確認しながら進むとうまく行きますし、バーニーズの自立心を尊重できます。

寒い地域で暮らしていた犬種ですので、撥水性の高いダブルコートをしています。魅力的なフワフワなコートですが、落ち葉やゴミが絡まりやすいので、清潔に管理するために、こまめなブラッシングが必要です。また夏場の温度管理にも十分に注意してください。

他の大型犬と同様に、気を付けたい病気には、まず股関節形成不全が見られます。また、重量犬で負担がかかりやすいので、関節疾患にも注意が必要です。いずれにしても、太り過ぎないように体重管理をしっかり行いましょう。また、この犬種のように胸が深い大型犬には、胃捻転、腸捻転も見受けられます。あまり一気に急いで食べないように分割して食事を与えたり、食後の運動はさける等の配慮が必要です。

その他、進行性網膜萎縮や無菌性髄膜炎といった遺伝性の疾患や、血管肉腫や骨肉腫といった腫瘍があります。

他の大型犬と比べて比較的短命ともいわれますので、定期的な健康診断と、日々の健康チェックは怠らないようにしましょう。

※参考資料 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ 犬種標準より

Contributor Bio

高橋智司

編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター  獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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