シンガプーラってどんな子?-魅力と特徴

 

シンガプーラは世界最小クラスの猫種です。小さな体に大きい目と耳をもつ個性的な容姿が目を引きます。家族の輪の中心にいたがる甘えん坊な性格で知られています。かまってほしくてアピールすることも。人懐っこく遊び好きの性格を理解してから迎えましょう。

 

シンガプーラの特徴
シンガプーラの特徴

体重:2〜3.5kg

目の色:

ヘーゼル、グリーン、イエロー

寿命:11~15年
抜け毛の:少ない~中程度

被毛:

長さ:短毛
特性:スムース、シルキー
色: セピア調
パターン:明色と暗色が帯状になったティッキングで、尾の先端は黒っぽく、口吻部、顎、胸、お腹はキャリコ
全体的なグルーミングの必要性:低い。月に1~2回のブラッシングで十分

公認:

猫種登録団体:
CFA、TICA、AACE、ACFA、CCA

最初は小さな体や大きい目など印象的な容姿に惹かれるかもしれませんが、シンガプーラの人気の高さの秘密は愛らしい性格にあるのです。

小型の猫ですが、筋肉はよく発達しています。

キャットショーの審査員を務めるアイリス・タナー氏は、「シンガプーラは大きな個性を持ったアグレッシブな一面をもつ猫です。ただの小さな猫だと考えてはいけません」とAnimal Planet において語っています。

シンガプーラは人に飼われている猫種の中では世界最小クラスで、メスは成猫になっても2kg程度です。オスはやや大きいものの、最大でも3.5kgほど。シンガプーラの身体的特徴は、小さなサイズだけではありません。黒く縁取られたお皿のような大きい目、ピンと立った大きい耳、そして独特な毛色であるブラウンのティッキング(1本の毛に濃淡が帯状に入っている)で知られています。

認められている毛色は1種類のみです。黒やブラウンのティッキングによるセピア調と定められています。猫種登録団体の1つであるCFA では、マズル、あご、胸、腹の色は無漂白コットン(キャリコ)の色と定められています。

性格:

シンガプーラは体は小さいですが、か弱い猫ではありません。いきいきと輝くような目で元気いっぱいに遊び回るやんちゃな性格をしています。賢くて快活で好奇心旺盛、さらにかまってもらうのが大好きな甘えん坊です。発達した筋肉を生かしてキャットタワーをよじ登ったり、興味津々にあちらこちらを探検したりします。家族の輪の中心にいることを望み、いつも飼い主について回ります。たとえ家事をしている最中でも、遊んでもらうために飛びつく機会を狙っています。猫とたくさん遊びたい人にはぴったりの猫でしょう。

天真爛漫なタイプですが、大きな物音は苦手です。近所の立ち話の声や登下校の子どもの大きな声、散歩中の犬の吠え声などに驚いてしまうかもしれません。近くで大きな音がしたときには、気にかけてあげましょう。なるべく静かな環境を用意してあげましょう。

シンガプーラと暮らす:

明るい性格で冒険が好きなタイプなので、室内飼育でも飽きさせない環境をつくることが大切です。短毛種らしい活発さがあり、キャットタワーから飼い主さんに向かって飛びついたりするいたずらっ子。ハンティング能力が高く、おもちゃを動かせばアグレッシブに追いかけて遊びます。多くの猫が苦手な水を怖がらないタイプもいます。小さな冒険者であることを理解して、好奇心を満たす工夫を心がけると共に、危険なものには近づけないように安全対策を行いましょう。

シンガプーラは一般的に健康な猫で、寿命は11年から15年ですが、18歳まで生きた記録もあります。長生きする健康的な猫種ですが、遺伝的多様性が低い(血が濃い)ことが指摘され、懸念されることもあります。学術誌のGenomics に掲載された、22猫種の遺伝子を調べた近年の研究では、シンガプーラが最も遺伝的多様性が低い結果になりました。定期的に動物病院で健康診断を受けて、健康状態には気をつけましょう。これから子猫を迎える場合は、信頼できるブリーダーを選ぶこと。獣医師が健康チェックを行なった保護猫を選ぶ方法もあります。

シンガプーラにとっては、出産も一つの健康問題です。筋力が弱いことによる陣痛微弱と呼ばれる病態のためにうまく出産できず、帝王切開で子猫が取り出されることがよくあります。

発症する確率は高くありませんが、注意が必要な遺伝性の疾患に、ピルビン酸キナーゼ欠損症があります。ピルビン酸キナーゼという酵素が不足することで赤血球の寿命が短くなり、貧血やその他の血液関連問題を引き起こすことがある、とPetMD は説明しています。症状の程度は猫によって異なるので、定期的に動物病院で診てもらいましょう。

猫を新たに迎えたら動物病院で健康診断を受けましょう。これはシンガプーラに限らず、健康を守るために大切なことです。

歴史:

1970年代の半ばに、ブリーダーのメドウ氏がシンガポールで見つけた小さな猫がシンガプーラのルーツと考えられています。メドウ氏が猫をアメリカに連れ帰ってブリーディングを始め、1982年には登録団体に猫種として公認され、キャットショーにも参加できるようになりました。

ところがシンガポール政府がシンガプーラの歴史を調査したところ、実際はメドウ氏がアメリカから現地へ持ち込んだ可能性が浮かび上がりました。メドウ氏がアビシニアンのブリーダーだったので、ブリーディングによって生み出したのではないかと考えられたのでしょう。

起源に関してははっきりしない部分もありますが、登録団体では自然発生の猫種としています。

1991年にはシンガポール政府がシンガプーラをマスコットとして採用しました。現地ではクチンタ(kucinta)と呼ばれて親しまれています。この名前はマレー語で猫を意味するクチン(kucing)と愛を意味するチンタ(cinta)を合わせた造語です。

シンガプーラは小さくても大きな魅力をもつ猫種です。人懐っこさ、好奇心の強さ、愛情の深さで、家族の大切なパートナーになってくれるでしょう。

Contributor Bio

金子 志緒

金子 志緒

ライター・編集者
初めて迎えた子犬がきっかけでペット雑誌の出版社に勤務。現在はフリーランス。愛玩動物飼養管理士1級と防災士の資格を生かして、動物や防災に関する記事、雑誌、書籍の制作に携わる。パートナーの甲斐犬は初代ジュウザ、2代目サウザー。 しましまブログ:www.shimashimaoffice.work

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