犬と猫の換毛期とは

執筆: ジーン・マリー・バウハウス
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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多くの犬や猫には換毛期があり、特定の時期になると古い毛が大量に抜けて新しい毛に生え変わります。ペットはかわいいけれど、この時期だけはほんとうにやっかい・・・・、と感じる飼い主さんも多いことでしょう。今回はこの換毛期についてご紹介します。

毛が生え変わる意義とは

毛の生え変わりは、傷んだり死んでしまった毛の除去や体温の調節、天然の皮脂の分泌といった犬と猫の皮膚と被毛の健康に重要な役割を果たしています。ある程度の抜け毛はどのペットでも見られますが、被毛の質や長さ、発毛周期、抜け毛の量などはその種類や固有の遺伝によって決まり、バリエーションはさまざまです。

窓に座っている猫

毛周期について

毛周期とは、毛が生えて成長してから自然に抜け落ちるまでの過程のサイクルのことです。つまり、毛が自然に抜け落ちることは、犬や猫の正常な毛周期の一部であり、年間を通して起こっています。米国動物病院協会 (AAHA)* では、この毛周期を昔から知られている次の3段階に分けて説明しています。

  • 成長期:毛が活発に成長し、遺伝的に決まっている長さまで伸びる時期です。
  • 退行期:成長期と休止期の間の移行期で、毛の成長が止まります。
  • 休止期:毛の細胞分裂が完全に止まり、毛根が収縮していきます。

皮膚科獣医師の中には、これに脱毛期 (exogen)を加えることもあります。

これらの毛周期のそれぞれの期間は、季節や健康状態、品種(遺伝)などといった複数の因子によって異なります。AAHAによると、プードルシー・ズーマルチーズなどの犬種では、成長期が数年続く、つまり毛が伸び続けるためにトリミングが必要になると説明しています。こういった犬種と比較すると、他の犬種での成長期はこれよりも短く、その後休止期に至ります。

季節による換毛

多くの犬や猫では、年間を通して抜け毛はあるものの、やはり特定の時期に目立つようになる、というのは多くの方が実感していることでしょう。このような季節性の換毛は、とくに長毛種や被毛が厚い犬、そして猫では顕著に認められます。毛周期に影響する要因として、この季節性、つまり日照時間や気温がよく知られており、季節性の換毛は春と秋が一般的です。春は暑い季節に向けて被毛を軽くし、秋は寒さに備え厚い冬毛を生やすための準備の意味があります。

一般的に犬の季節性の抜け毛は、春が最も盛んなシーズンです。シベリアン・ハスキージャーマン・シェパードラブラドール・レトリーバー等のダブルコートの犬種では特に顕著で、夏に向けて下毛(アンダーコート)がごっそりと塊になって抜け落ちます。被毛の厚いロシアン・ブルーメイン・クーンラグドール等の猫種でも、このように顕著な季節性の抜け毛が見られることがあります。

近年では快適な室内で多くの時間を過ごすペット達も多いので、このような季節性がはっきりしなくなったり、地域によってずれたりすることもあります。

心配するべき抜け毛とは

生理現象である季節的な換毛とは別に抜け毛が目立つ場合、何かしらの病的なトラブルの可能性もあります。AAHAでは、このような場合に考えられる原因として次のようなことを挙げています。

今まで経験したような換毛期とは異なるような抜け毛の様子だったり、換毛期でもないのに抜け毛の量が多い、と感じるのであれば、早めに動物病院で診察を受けましょう。ペットの様子をよく観察して、痒がる様子がみられたり、毛が薄くなっているような箇所がないか確認してください。

犬と猫の換毛期のためにやっておきたいケア

換毛期は、皮膚のトラブルも起きやすくなる時期です。また、大量の抜け毛によって部屋も汚れやすくなります。換毛そのものを止めることはできませんが、皮膚トラブルを防ぎ、部屋に抜け毛が舞い散るのをできるだけ抑えるような工夫をご紹介します。

グルーミング(ブラッシングやシャンプーなどのお手入れ全般)

換毛期には、本来抜けるべき毛がしっかり抜けきれないまま皮膚に残ることで、皮膚環境が悪くなり、皮膚トラブルが起きやすくなります。抜けるべき毛をしっかり取り除くには、シャンプーやブラッシングなどの定期的なお手入れが基本です。アンダーコートを取りやすいように工夫されたブラシなど、その犬種や猫種に合った道具を使うと良いでしょう。こういったお手入れは、愛犬や愛猫の皮膚や被毛の健康チェックをするのにも最適です。もしお家での作業が難しい場合には、トリマーさんなどのプロにお願いするのもひとつです。

バランスのとれた栄養

皮膚は体の中で最も大きな臓器で、その健康を維持するためには適切な栄養が必要です。一方で、栄養が不足するとその影響が出やすいのも皮膚や被毛です。愛犬や愛猫の食事の基本は、ライフステージに合わせたバランスのとれた総合栄養食ですが、その時の状況や犬や猫の種類によっては、皮膚や被毛の健康を考えて設計されたペットフードが推奨されることもあります。選び方が分からないときは、かかりつけの獣医師に相談し、愛犬や愛猫の特別なニーズにあったフードを勧めてもらいましょう。

ペットのいる家庭用に開発された洗剤や柔軟剤を使ってみよう

最近では、ペットのニオイや汚れに特化した洗濯洗剤やペットの被毛が付着しにくくなる柔軟剤が市販されるようになっています。衣類のほか、布製品や寝具などにも使うことで、日々のお手入れが少しラクになるかもしれませんね。

掃除機とフロアモップで定期的に掃除を

家具やラグは少なくとも週に1度は掃除機をかけ、椅子やソファーには洗濯可能なカバーをかけましょう。ダブルコートで抜け毛の多い犬種がいる、あるいは多頭飼育で毛の量が多いという場合には、ペットの毛に特化した掃除機を購入するのもよいかもしれません。

フローリングの床には、静電気で毛やフケを集められるマイクロファイバー素材のモップやペットの毛を集めやすいように特化したほうきがおすすめです。

眠っている老犬

ペット用のベッドや毛布は定期的に交換しましょう

ペット用の寝具は汚れやすいもの。交換・水洗い可能なカバーや毛布を含め、定期的に(週1回が理想的)洗濯して交換し、毛が溜まったりイヤなニオイがつくのを防ぎましょう。洗い替えのカバーや毛布を用意しておけば、1つを洗濯している間にもう1つを使うことができ便利です。

気になる場合には、人間用の衣類とは別に洗濯してください。

粘着クリーナーや布用のブラシ

粘着クリーナーや布用のブラシは、衣類や布製品など掃除機が使用しにくいものについた毛を取り除くのに便利です。

最後に

何事もそうかもしれませんが、ペットを飼う場合にも事前に必要な情報や知識を勉強して知っておくことはとても重要です。犬や猫にはそれぞれの特性があり、さらに種類や個体差によってもさまざまな特徴があります。被毛についていえば、カットはいらないかもしれないけれど、換毛の際には配慮が必要なもの、そこまで換毛による抜け毛は多くないかもしれないけれど、定期的なカットやブラッシングが必要なものなどです。ご自身のライフスタイルや好みを十分に考慮して、迎い入れるペットを検討することも大切です。しっかりとした知識を身に着けることで、さまざな健康トラブルがあっても、それにいち早く気づくことができるでしょう。
 

参照先:
https://www.aaha.org/resources/pets-and-shedding/
 

Contributor Bio

Jean Marie Bauhaus

ジーン・マリー・バウハウス

ペット愛好家でフリーランスのライター・小説家。米国ミズーリ州のオザーク高原で夫とたくさんの動物たちとともに暮らしています。さまざまな野生動物が自宅の庭に訪れるのを朝のコーヒーを飲みながら眺めて楽しんでいます。