犬のサイズと犬の知能について

筆者: ジーン・マリー・バウハウス

盲導犬や介助犬の働く姿や、指示に従って上手に芸をするわんちゃんを見て、賢いわんちゃんがいるものだなあ・・・、と感心したことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか。"頭のいい犬種ランキング"なるものを目にしたことがある方もいらっしゃることでしょう。このような犬のランキングでは、ものによって多少の違いはあるものの、共通する点があります。それはランキングに含まれる犬種の多くが大型犬だということです。小型犬だって賢いのでは?愛犬のチワワトイプードルはものすごくお利口ですけど・・・。と異論のある飼い主さんも多いことでしょう。それなのに、どうしてランキングに入っていないのでしょうか?今回は、小型犬と大型犬の知能についてご紹介していこうと思います。

知能の高い犬

Guide dog is helping a blind man in the city

数学が得意な人もいれば、音楽や芸術、運動が得意な人もいるといったように、人間にもいろんなタイプの知能や能力があります。それと同様に、犬の能力にも個性があります。サイコロジートゥデイは、犬の知能は3つの異なるカテゴリーに分けられるとしています。その一つである本能的知能は、本能的に備わっている作業目的に応じた適応能力、いわゆる適性を指します。たとえば、ハウンド系の犬たちは獲物を追跡して狩るように、牧畜犬はヒツジや牛を集めるように、それ以外の働く犬たちも特定の仕事をうまくこなせるように、改良され繁殖されてきました。現在、このような特定の犬種やタイプがもつ行動や性格の特徴は、まさにこの本能的知能を直接表しているものといえるでしょう。さらに、人間に協力して作業を行ってきた長い歴史の背景を考えると、犬たちも家族の一員として、本能的に飼い主の気分や感情のシグナルを敏感に感じとることができる能力があることもうなずけますね。どんな犬でも一定の本能的知能を持っているのです。次に適応知能とは、人間の力を借りずに犬がどれだけうまく問題を解決できるかを示す学習能力に関する知能です。たとえば届かないところに落ちてしまった食べ物をやり方を教えてもらわずに取り戻すには、適応知能が必要になります。3つめの使役と服従の知能は、どれだけ上手に、かつどれだけ早く、指示通りにふるまったり作業をこなすことができるかを示す知能です。このカテゴリーで高得点を上げる犬は、オベディエンス(服従)、アジリティ、スポーツといったタイプのトレーニングに秀でている傾向があります。

頭のいい犬種ランキングの多くは、実は3つ目のカテゴリーにだけフォーカスしていて、最初の2つはほとんど考慮していません。そしてわずかな例外を除いて、体重が約25kg~約39kgの大型犬が、第3のカテゴリーで最も優れた成績を上げているのだとサイコロジートゥデイは説明しています。

小型犬 vs. 大型犬

それでは、小さな犬たちは頭が悪いのか?ということになるかというと、もちろんそんなことはありません。小型犬の多くは、そのほかの知能測定で高得点を誇っています。また、服従と訓練のしやすさよりも、推理や問題解決能力を重視する犬のIQテスト のことも忘れてはいけません。何をもって賢いとするかの評価方法によって、見方は変わってくるのです。それはそうとしても、ではなぜ、小型犬は第3カテゴリーの点数がかんばしくない傾向があるのか?という疑問が湧いてきませんか。それにはいくつかの説があります。

頭の形状

犬の頭の形状と訓練のしやすさを関連付けている、よく知られた研究があるとサイコロジートゥデイは言います。この説によると、ブルドッグやパグのようにマズルが短く鼻ぺちゃの短頭種の犬や、グレーハウンドのように細長い顔をした長頭種の犬は、特定の役割のために繁殖された犬種で、短頭種は闘犬や番犬、長頭種は競争犬や狩猟犬として飼育されてきました。一方、ラブラドールレトリバーのように平均的な頭の形をした中頭種の犬は、通常そのような特殊な能力はありませんが、研究者によれば、そのせいで認知的な柔軟性がより高くなり、新しい役割や仕事を覚えるのが得意なのだといいます。

気性・気質

cute maltese dog sitting in grass

犬の気性は訓練のしやすさや従順さにも影響します。ゴールデンレトリバーボーダーコリーのように、必ずと言っていいほど賢い犬にランクインする犬種は、大変人懐こくて、人を喜ばせるのが大好きです。それに対して小型犬は、大型犬よりも比較的頑固で気が強いと同時に、怖がりで興奮しやすい個体が多いとサイコロジートゥデイは説明しています。

自分の意思をしっかり持っているのだから、実は小型犬のほうが楽天的な大型犬よりも賢い、という意見もあるかもしれません。体が小さい小型犬にとって、周囲の世界は大型犬が感じるよりもより恐ろしい場所に感じてしまって、怖くて興奮しやすくなってしまうのは無理もないのかもしれませんね。

飼い主が与える影響

服従やさまざまなトレーニングに関する知能において、小型犬の能力が全般的に劣るのは、生来の能力とはまったく無関係で、すべて扱われ方と条件付けのせいだ、という別の説もあります。Applied Animal Behaviour Science が2010年に行った研究では、小型犬の飼い主は、愛犬の攻撃性や興奮性、恐怖心を高め、服従の学習を阻害するような関わり方をしがちであることが明らかになっています。

例をあげると、小型犬の飼い主は大型犬の飼い主に比べて、一般的にトレーニングにしても関わり方にしても、一貫性に欠けている傾向があります。また、小型犬の飼い主は、叱ったりリードを引っ張ったりと、罰によって犬の行動を正そうとしがちですが、それは犬の恐怖心や攻撃性を強めてしまうことになるとサイコロジートゥデイは言います。この研究ではまた、小型犬の飼い主は一般的に犬との遊びや一緒に楽しむ活動(「取ってこい」や散歩など)に興じることが少ないことがわかりました。こういった犬の遊びは、より良い振る舞いができる従順な犬に育てる役に立つのです。

大型犬びいきの頭のいいランキングに見えてしまっているかもしれませんが、実際のところ、使役や服従の知能の高い犬は、気性も人懐こくて扱いやすくトレーニングしやすい犬が集まっています。そして、これらの犬種の多くが優れた介助犬や警察犬、軍用犬などの使役犬として働いています。

いかがでしたか?

犬の知能にも種類があり、どの知能にフォーカスするかによって、そのランキングも見方が変わることを知っていただけたでしょうか。とはいっても、犬にもそれぞれ個性があって、それぞれの良さがあります。みんなが使役犬のようにお仕事をするわけではありませんし、家庭犬として家族みんなに愛情を注いでもらうのに、特別な知能は必要ありません。人間と一緒に暮らしていくうえで、必要なことを教えるトレーニングは忘れずに、個性を大事にしてめいいっぱい可愛がってあげてください!

筆者紹介

ジーン・マリー・バウハウス

ジーン・マリー・バウハウス

ジーン・マリー・バウハウス オクラホマ州タルサ在住のペットオーナーでもあるペットブロガー兼小説家。いつもペットたちに見守られながら執筆活動に勤しんでいる。

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