犬が震えているときは、寒さや不安、興奮といった一時的な反応の場合と、痛みや体調不良、病気が原因の場合があります。震えだけで理由を判断するのは難しいため、元気があるかないか、他にも症状があるかどうかをあわせてよく観察しましょう。
この記事では、犬が震える主な原因を状況別に整理し、痙攣との違い、シニア犬で気をつけたい震え、家庭で確認できること、動物病院へ相談する目安を解説します。
どう対処するかを迷ったら、まず以下のポイントを観察しましょう。次のいずれかに当てはまる場合は、できるだけ早く動物病院へ連絡することをおすすめします。
震えがしばらく続く、または初めて見る震え方をしている
どこかが痛そうにしている
元気がない、食事をとらない、動こうとしない
嘔吐や下痢、ふらつきなど、震え以外の症状がある
玉ねぎ、チョコレート、ぶどうなどを食べた可能性があり、中毒が疑われる
体が硬直する、呼びかけへの反応が弱いなど、緊急性の高い様子が見られる
一つでも当てはまる場合は、震えが始まった時間や一緒に見られる症状をメモし、できるだけ早く動物病院へ相談してください。症状を言葉で説明しにくいときは、震えている様子を動画に残しておき、獣医師に見てもらうようにすれば正確に伝えられます。
犬が震える原因には、大きく分けると、寒さやストレスへの反応である「生理的な震え」と、「病気が原因の震え」の2つがあります。
◆生理的な震え
寒さ・体温調節による震え
恐怖・不安・ストレス
興奮・嬉しさ
◆病気が原因の震え
怪我や関節の痛み
中毒
てんかん・感染症などの病気
ここからは、犬が震える原因を一つずつ見ていきましょう。あなたの愛犬の震えがどれに当てはまるかを確認してみてください。
犬は、人間と同じように寒さのために震えることがあります。特に、チワワやトイ・プードルなどの小型犬や子犬、毛の短い犬、シニア犬で見られることが多いです。
📝家庭でできること
犬が寒さのために震えている場合は、室温を上げたり、毛布やヒーターなどで暖かくしたりして対処します。
特にシニア犬の場合は年齢とともに体温調節が苦手になりやすいため、日頃から部屋を適温に保つなど環境を整えてあげるとよいでしょう。
⚠️こんな場合は受診を
暖かくしても震えが止まらない場合や、元気がない、食欲がないといった気になる点がある場合は、他の原因が隠れている可能性があります。なるべく早く動物病院で相談してください。
犬は、怖いことや慣れない状況に直面すると、震えることがあります。たとえば、動物病院やトリミングサロンなどで震えている犬を見かけることも多いでしょう。散歩が苦手な犬は、散歩の前に震えることもあります。
このときの震えは、心拍が早くなる、しっぽを下げて足の間に挟む、耳を後ろに倒す、隠れたがる、口をペロペロなめる、あくびを繰り返すといった「カーミングシグナル」(犬が自分を落ち着かせようとするしぐさ)と一緒に出ることが多いです。
📝家庭でできること
愛犬が震えていると、つい抱き上げたり、声をかけたりしたくなりますが、過度に関わることがかえってストレスになる場合もあります。クレートなどの安心できる場所を用意して、そっと寄り添ってあげるのがよいでしょう。
⚠️こんな場合は受診を
頻繁に震える場合や、過度にストレスを感じる傾向があると見られる場合は、動物病院を受診してください。健康に問題がないかどうかをチェックしたうえで、ストレスへの過度な反応をおさえる治療ができる場合もあります。
犬は、興奮しているときや嬉しいときにも震えることがあります。飼い主が帰宅したとき、散歩の準備中、ごはんやおやつがもらえそうなときなどに、楽しみなあまり体を震わせる犬は少なくありません。
震えながらしっぽを振ったり、飛び跳ねたりして元気な様子を見せている場合は、興奮や嬉しさのための震えと考えられます。
📝家庭でできること
散歩の前に「待て」をするなど、興奮をコントロールする習慣をつけるとよいでしょう。
⚠️こんな場合は受診を
興奮や嬉しさで震えている場合は、心配いらないことがほとんどです。ただし、興奮がおさまったあとも震えが続く場合や、震えとあわせて呼吸に乱れが見られる場合、元気がないように見える場合には、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
犬は、体のどこかが痛むときにも震えます。痛みによるストレスで食欲が落ちたり、散歩に行きたがらなかったりと、元気がない様子が見られることもあります。
震えのほかに、以下のような様子が見られる場合は、痛みが原因の可能性があります。
特定の場所を舐め続ける
足を引きずる、歩き方がぎこちない
抱っこを嫌がる、特定の場所を触ると鳴く
立ち上がる時に時間がかかる、寝ている時間が増えた(シニア犬に多い)
特にシニア犬の場合、「年をとって足腰が弱くなっただけ」と解釈してしまいがちですが、加齢に伴い増えてくる変形性関節症などの慢性的な痛みが隠れている可能性もあります。
📝家庭でできること
犬が痛がっている様子が見られる場合は、無理に抱き上げたり、痛む場所を探したりせず、なるべく早く受診しましょう。
⚠️こんな場合は受診を
震えとあわせて痛みが疑われる場合は、動物病院での診察が必要です。
動作を観察して、どこが痛むのか、どうすると痛みが出るのかを獣医師に伝えられるようにしておきましょう。可能であれば、震えている様子や歩き方を動画に撮っておくと、状態を正確に伝えられます。
震えとあわせて、嘔吐や下痢、痙攣、元気がなくぐったりするといった症状が見られるときは、食べてはいけないものを口にした中毒症状の可能性があります。
<犬が中毒症状を引き起こす代表的な食材>
チョコレート
玉ねぎ・ねぎ類
ぶどう・レーズン
キシリトール入りの食品(ガムやお菓子)
人間の薬・殺虫剤など
📝家庭でできること
中毒が疑われる場合は、家庭で治療しようとせず、すぐに受診しましょう。
⚠️こんな場合は受診を
中毒による震えが疑われる場合は、迷わず動物病院に電話してください。夜間や休日であれば、地域の夜間救急動物病院に連絡します。様子を見ている間に症状が悪化することがあるので、すぐに対処することが大切です。
犬の震えは、てんかんや脳の病気、ジステンパーウイルスなどが原因の場合があります。
てんかんとは、脳の神経細胞の過剰な興奮によって発作が起こる病気です。痙攣では、倒れる、手足を大きく動かす、体が硬直する、よだれが出る、呼びかけへの反応が弱くなるといった様子が見られることがあります。
ジステンパーウイルス感染症は、犬に発熱や鼻水、咳、消化器症状、神経症状などを起こすことがある感染症です。初期の頃は高熱や鼻水などが見られますが、悪化すると痙攣を引き起こします。非常に感染力が強いため、多頭飼いの場合は他の犬への感染に注意する必要があります。なお、ジステンパーウイルスは人間には感染しません。
📝家庭でできること
他の犬と隔離したうえで、家具などに体をぶつけないよう、部屋の真ん中にクッションなどを用意して寝かせます。
発作が起きている場合は、無理に手を出すと噛まれたり、余計に興奮させたりすることがあるため、無理に押さえつけないようにします。この場合も、可能であれば、発作の様子を動画撮影しておきましょう。
⚠️こんな場合は受診を
病気が疑われる場合は、早期発見・早期治療が重要な場合も多いので、できるだけ早く受診しましょう。震えに加えて発作のような動きや感染症を疑う症状がある場合は、家庭で判断せず、動物病院へ相談してください。
犬の小刻みな震えは、上述のように、寒さやストレス、興奮、痛み、病気などが原因の可能性があります。
| 元気があるか | 震えの主な原因 | 判断のポイントと注意点 |
| いつも通り元気 | 寒さ、興奮、不安、ストレス | 原因がなくなれば震えも収まり、食事や遊びに積極的であればまずは様子を見て大丈夫です 。 |
| 元気そうだが違和感がある | 病気の初期症状、隠れた痛み、加齢(シニア) | 「不調を隠して頑張っている」可能性があります。注意して観察しましょう。 |
| 明らかに元気がない | 痛み、病気、中毒など | 元気がなく食欲が落ちている場合は深刻な不調のサインです。早急に動物病院を受診してください 。 |
犬の震えは、意識がはっきりした状態で起こり、呼びかけると反応します。痙攣は、自分の意思とは関係なく筋肉が激しく動く状態で、多くの場合、意識がないか、朦朧としています。
どちらなのかわからないときは、以下の違いを参考にしてください。
| 比較項目 | 震え | 痙攣 |
| 意識の有無 | ある | ない、または朦朧としている |
| 呼びかけへの反応 | 反応する | 反応しない |
| 主な原因 | 寒さ、恐怖、痛み、筋力低下、てんかんなどの病気、中毒(初期) | てんかんなどの病気(大きな発作)、中毒(重症) |
| 症状の特徴 | 小刻みにブルブル震える | 体の硬直、バタバタと激しく動く |
| その他の症状 | 元気がない、痛がる、呼吸が乱れるなど | 発作が起こる(泡を吹く、よだれ、失禁、放尿など) ※発作は数秒から数分でおさまることが多い |
⚠️こんな場合は受診を
痙攣の発作が起きたら、動物病院を受診しましょう。特に、初めての痙攣の場合や、痙攣がおさまらない場合は、すぐに指示を仰ぐ必要があるので、まず電話で相談することをおすすめします。
震えなのか痙攣なのか判断が難しい場合も、必ず受診するようにしましょう。
シニア犬の震えは、筋力の低下や関節の痛み、病気などが原因のことも多いです。「今までより震えることが増えてきた」と感じたら、よく観察するようにしましょう。ここでは、シニアの震えの主な原因を5つ紹介します。
筋力の衰え: 後ろ足の筋肉が落ち、立っている時や排泄時に足がプルプル震える。
関節の痛み: 変形性関節症などで痛みがあり、寝起きや段差で震え、動きが鈍くなる。
体温調節の低下: 代謝が落ちて寒さに弱くなり、わずかな気温低下でも全身が震える。
認知機能の低下: 認知症(CDS)による不安感から、震えや夜鳴き、徘徊が見られる。
内臓・ホルモンの病気: 腎臓病や甲状腺の異常など、持病の症状として震えが現れる。
シニア犬に震えが見られる場合は、早めに対処することで、症状の緩和や病気の早期治療につながります。「年齢のせい」と決めつけず、まずは動物病院に相談するようにしましょう。
また、家庭では床に滑り止めを敷いたり、段差をなくしたりして環境を整えることで、足腰の負担を軽減できる場合があります。加齢による関節や体調の変化に配慮されたシニア犬向けのフードに切り替えるのもよいでしょう。
震えに加えて元気がない様子が見られるときは、愛犬が強い痛みや不調に耐えているサインの可能性があります。愛犬をつらい症状から少しでも早く解放してあげるために、よく観察して適切に対処しましょう。
愛犬が震えている、元気がないといった症状に気づいたら、慌てて無理に抱き上げたりせず、まずは今の状態を確認しましょう。
冷静に観察し、動画を撮る:震え方や呼吸の様子をスマートフォンで録画しておくと、診察時に状況を正確に伝えられます。
安心できる環境を整える:寒そうなら保温し、音や光に敏感な場合は静かな暗い場所へ移動させて優しく見守ります。
自己判断をしない:以前処方された薬を投与したり、無理に押さえつけて震えを止めようとしたりすると、状態を悪化させる恐れがあります。自己判断は避けましょう。
以下の内容を確認し、整理してメモしておきましょう。正確に情報を伝えることで、受診の際に獣医師が判断しやすくなります。
症状の経過:いつから震え、元気や食欲がなくなり始めたか。
食事と水:最後に食べたのはいつか。水は飲めているか。
排泄の様子:下痢や嘔吐はあるか。尿の色や量は正常か。
その他の様子:普段とどのような様子の違いがあるか。
心当たりの有無:拾い食いなどの可能性はあるか。
愛犬が震えているとき、病院へ行くべきかを迷ったら、記事冒頭の「緊急度チェックリスト」をチェックしましょう。一つでも該当すれば、大切な愛犬を守るために、迷わず受診を選択してください。
以下のような様子が見られる場合は、受診すべきケースです。「これくらいで相談したらおおげさかな」とためらわずに、速やかに獣医師に相談しましょう。
いつもと違う震え:寒さやストレスなど原因が明確な過去のパターンと異なり、震え方がいつもと違う場合や、状況が不明な場合は受診のサインです。
震え以外の異変:元気がない、食欲がないなど少しでも違和感があれば、体調不良の可能性があります。
その他の違和感:飼い主さんの直感は重要です。違和感を覚えたら、迷わず受診しましょう。
かかりつけの病院が閉まっている時間帯は、まず冷静に緊急度チェックリストを確認しましょう。そのうえで緊急と判断した場合は、迷わず救急病院に連絡しましょう。
いざというときにすぐ対処できるように、夜間や休日に対応してもらえる病院を事前に確認しておくと安心です。
動物病院へ行く際、以下の準備があると診断の精度とスピードが格段に上がります。落ち着いて準備しましょう。
震えの動画:気になる様子があれば、動画を撮影しておきましょう。
経過メモ:メモしておけば、伝え忘れたり、誤って伝えたりすることを防げます。
医療情報:服用中の薬やサプリメント、誤飲した物の残りやパッケージを見せることで正確な情報を伝えられます。
ここからは、犬が震えていて元気がない場合についてのよくある質問と回答を紹介します。判断に迷ったら、確認してみてください。
犬が震えていて元気がありません。何が原因ですか?
震えと元気のなさが同時に見られる場合、痛み、発熱、低血糖、内臓疾患などが考えられます。食欲低下やぐったりしている場合は早めの受診を推奨します。
犬の痙攣と震えはどう違いますか?
震えは意識がある状態で体が小刻みに揺れる現象。痙攣は意識が薄れ、体が硬直したり激しく動いたりします。痙攣の場合は緊急受診が必要です。
老犬が震えるのは病気ですか?
シニア犬の震えは筋力低下、関節の痛み、認知症(CDS)などが原因の場合があります。急に始まった震えや悪化している場合は獣医師に相談しましょう。
犬が小刻みに震えているのに元気な場合は?
興奮、寒さ、軽いストレスが原因の可能性が高いです。短時間で収まり、食欲や活動量に変化がなければ緊急性は低いですが、頻繁に続く場合は受診を検討してください。