
愛犬の行動を解き明かす科学
ペットに最適なフードを見つけましょう。
ペットに最適なフードを見つけましょう。
ペットに最適なフードを見つけましょう。
犬たちがなぜこれほどまで人間と深く結びつくようになったのでしょうか? その心のしくみを解き明かそうとする学者が増え、犬の科学的研究が注目を浴び始めています。犬の生態学から心理学まで、私たちはかつてないほど犬とその行動についての理解を深められるようになりました。科学によって、犬の何が分かったのでしょうか。これから興味深い事実をご紹介しています。
犬はどうしてあんなに眠るの?
犬の睡眠時間の長さは、犬の年齢、サイズ、犬種、健康状態、活動レベルなど、さまざまな要因によって異なります。日中に遊んだり運動したりする機会があまりない場合、犬は退屈で居眠りをする傾向があります(単にウトウトするのが好きな犬もいます)。アメリカンケネルクラブによると、すべての犬が人間よりもずっと多くの睡眠を必要としています。これには犬のレム睡眠の量が関係しています。人間の場合、睡眠の約75%がノンレム睡眠(最も眠りが深く、最もしっかりと休息できる段階)にあたります。ところが
犬の場合、それがほんの10%程度しかないのです。つまり、犬はその不足を補うために長く眠る必要があるというわけです。
犬は吠えながら何を伝えているの?
犬はいろいろな理由で吠えますが、生物学者は以前、伝えたいことに合わせて吠え方が変わるわけではないと考えていました。ところが『サイエンティフィック・アメリカン』誌によると、犬の生態学研究が進むにつれ、犬の声帯は伸び縮みして吠え声を微妙に変化させ、さまざまな意味を伝える能力があることが明らかになったのです。
犬の吠え声のスペクトル(波長)画像では、タイミング、音の高さ、振幅の違いを見ることができ、伝えている内容によってすべてが変化します。 同じことが唸り声にも言えます。さまざまな吠え声や唸り声がなにを意味するのかは研究者にもまだわかっていませんが、少なくとも犬が状況によって、ほかの犬の声に異なる反応を見せることが明らかになりました。たとえば、「食事中の唸り声」と「見知らぬ者に対する唸り声」を録音し、別の犬におやつを与えながら「食事中の唸り声」を聞かせると、「見知らぬ者に対する唸り声」を聞かせたときよりも、おやつをもらうのをためらいました。また別の研究では、ほかの吠え声よりも「見知らぬ者に対する吠え声」を聞いたときのほうが、反応することが多かったのです(しかも人間も同じ結果でした)。吠え声や唸り声の意味を解き明かすにはさらなる研究が必要ですが、「ワンワン」や「ウーッ」という声には、今まで思われてたよりもずっと複雑なコミュニケーションの要素があることが明らかになってきました。犬は、おもしろ半分に吠えているわけではないのです。
犬はどれくらい速く走れる?
犬の走る速度には個体差があります。犬のサイズ、体形、脚の長さだけでなく、年齢、健康状態、体調によっても大きく異なります。グレーハウンドは世界最速の犬で、平均では時速約72km、最高記録では時速約81kmをマークしたとWag!は伝えています。脚が長くてスリムな体形のグレーハウンドをはじめ、ウィペット、アフガン・ハウンドなどの犬種は、見るからに足が速そうな姿をしていますが、実はどんな犬も、走るときは耳をぺたんと平たくして風の抵抗を減らしたり、後ろに倒してひらひらしないようにしたりと、より空気力学にかなった形で走る能力を持っています。
さらに、犬は走るとき、脚の動かし方も変わります。歩くときは左右の対角にある前脚と後ろ脚を一緒に動かしますが、走るときは左右の前脚と後ろ脚をそれぞれ対にして飛び跳ね、よりスピードが出るようにしています。
ソファや椅子に軽々と飛び乗れる犬もいれば、床に座っている飼い主の膝に乗ることさえ一苦労という犬もいます。さらにジャンプ力が優れている犬の中には、サークルやフェンスに入れておくことさえ難しい場合もあります。走る能力と同様に、犬のジャンプ力は犬のサイズ、体力、年齢、健康状態、体調によって異なり、Cutenessでは最もジャンプ力のある犬は6フィート/約1.8メートルを飛び越えると報告しています。高さの記録に注目しがちですが、自分の体高(地面から肩までの高さ)の何倍もの高さをジャンプできる小型犬のほうがもっとすごいと言えるかもしれませんね。犬のジャンプ力を示すもうひとつの要素が、跳び越えられる距離です。ドックダイビングコンテスト(助走して水の上を跳び越える競技。跳び越える距離を競う)では、30フィート(約9メートル)近く跳んだ犬もいたとThe Labrador Siteは伝えています。
犬の視力はどれくらい?
人間の色覚では赤・青・黄の3色を見分けられますが、犬は赤を認識できません。しかし犬の目は驚異的で、私たちには見えないものまで見ることができます。 BarkPostは、人間には見えないけれども犬には見えるものをいろいろ紹介しています。たとえば地球の磁場や、通常のライトでは白い壁にしか見えないブラックライトアートなどです。けれども、犬の視力が必ずしも人間よりも良いわけではありません。Veterinary Visionによると、犬の目は頭部の側面にあるため周辺視野が広くなりますが、視力(対象に焦点を合わせる能力)は人間の20~40%程度にすぎません。つまり、犬が20フィート(約6メートル)ではっきり見えるものは、視力が1.0の人間なら90フィート(約27メートル)で判別できるということになります。犬の目は驚異的ではありますが、一方でかなりの部分を視覚以外の感覚に頼ってこの世界を把握しているのです。
犬の聴力はどれくらい?
おやつを取り出すかすかな音さえ聞き逃さない愛犬の耳に感心したことはありませんか? 犬の聴力は驚異的な生物学的長所で、祖先から何千年もの間受け継がれ、生きるために役に立ってきました。Petfulによると、犬は人間に比べて4倍も遠くの物音を聞き取ることができます。犬は左右の耳を別々に動かして聞きたい方向に向ける能力を持ち、聞いている音に神経を集中させることができます。これは耳に18もの筋肉(人間の3倍の量)があるからです。また、犬はさまざまな周波数を聞き取ることも可能です。トレーニングに使われる犬笛(ホイッスル)は人間には聞こえない周波数ですが、犬は敏感に反応できるのです。最後に、犬には人間と同じように選択的に耳を傾ける(都合のいい部分だけ聞く)能力があります。飼い主が呼んでも無視していたら、おそらくわざと聞こえないふりをしているのです。
家族が帰宅するとどうしてあんなに興奮するの?
家族が一日の終わりに帰宅すると、愛犬は大喜びで出迎えてくれますよね。中にはほんの1、2時間外出しただけなのに、うれしくて大興奮する犬も少なくありません。飼い主に再会するたびに犬が見せるはしゃぎぶりは、犬を愛する者にとっては堪らない行動のひとつ。それにしても、どうして犬はあれほど興奮するのでしょうか?
それには主に3つの理由があるとio9は言っています。犬の行動研究者が、特定のにおいを嗅いだ犬の脳の断層写真を分析すると、親しい人間のにおいが脳の報酬系を刺激することがわかりました。それはほかのにおいではまったく見られない反応で、犬は人間とほかの犬との違いがわかるだけでなく、飼い主と一緒にいることが純粋にうれしいことを示しています。
子供の認知能力を調べる研究(子どもを母親から離したあとで再会させる)を応用して、飼い主と再会する犬の反応を評価したところ、子どもと非常によく似ている結果が得られました。つまり、犬は社会的動物で、ひとりぼっちにされるのが苦手だと心に留めておくことが大切です。犬にとって飼い主の帰宅は、寂しさと退屈からの解放なのです。そういった事情をすべて考え合わせると、犬が大好きな人に会えた喜びを抑えきれないのも不思議ではありませんね。
どうしてこんなに多くの種類の犬がいるの?
犬は地球上でも最も多様性に富む種のひとつです。イギリスのザ・ケネルクラブは218もの犬種を認識していますが、地域によるバリエーションや、ブリーダーによる異種交配、ミックス犬、純血種ではないオンリーワンの雑種は含まれていません。
毛色、体形、サイズ、気質など多様性に富む犬ですが、遺伝学的には犬は約2万7千年前にオオカミから枝分かれし始めたと見ている科学者もいます。そして今、私たちが知るような犬の多様性は、大昔の狩猟採集民のおかげと言えるのです。望ましい特徴の犬を生み出すために、人間がいつから似た特性の犬を交配するようになったのか、確かなことは誰にもわかりません。けれども、そういった交配を繰り返すことによって、人間は知らずしらずのうちに遺伝子を選択したり優性遺伝子を掛け合わせたりして、次の世代に現れる特徴を操作することに関わっていたわけです。
犬の交配は、人間と共生が始まったときからずっと行われてきましたが、選択的なブリーディングは19世紀に爆発的に増えました。犬の特徴が狩猟や牧畜に役立つからというよりも、愛好家が外見の美しさや目新しさにこだわってさまざまな犬種をつくり始めたからです。これは今日も続いており、犬種の数や種の多様性はどんどん拡大し続けています。
犬が人間にとって特別であることは疑いようがなく、犬と人間の絆についても同じことが言えます。犬の科学の分野が発展するにつれ、私たちは愛すべき友人についてさらに多くの発見を重ねています。けれども、科学の力を借りなくてもわかっていることがひとつあります。それは、一匹一匹の犬が素晴らしい存在である、ということです。
Contributor Bio

筆者紹介
ジーン・マリー・バウハウス
オクラホマ州タルサ在住のペットオーナーでもあるペットブロガー兼小説家。いつもペットたちに見守られながら執筆活動に勤しんでいる。