猫は人間の食べ物を食べても大丈夫?

執筆: エマ・ミルン獣医師(BVSC、FRCVS)
所要時間:

若い親猫に抱かれているオレンジ色の子猫。子猫は警戒心が強く、健康的な体重である。

ペットに最適なフードを見つけましょう。

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動物に食事を与えることは、人間と動物の絆の最も重要な要素のひとつであり、与えたものを喜んで食べている姿を見るのは、本当にうれしい気持ちになりますよね。猫がすりすりとよってきて訴えてくると、ついつい何かあげたくなってしまいますが、猫には人間の食べ物を与えても大丈夫なのでしょうか。あるいは、どんなものであれば与えてもいいのでしょうか。

まず最初に

成長期は、あらゆる動物の一生の中で非常に大切な時期であり、最適な栄養が最も重要となる時期のひとつです。健康的な成長のペースを安定的に保ち、丈夫な骨や歯の形成や、脳および五感の健康的な発達のために、この時期には適切な栄養が不可欠です。そのために、子猫に必要な栄養がバランスよく含まれている、総合栄養食の子猫用フードを与えましょう。発育ステージの合った総合栄養食であれば、ウェットフードでもドライフードでも、その組み合わせでも構いません。

子猫には離乳後フードが食べられるようになったら、できるならウェットフードもドライフードも、そしてフードもいくつかの種類を試しながら与えてみるのは良い方法です。猫は幼い頃の食事の経験が後々の食の好みに大きく影響します。早い段階でさまざまな食感や味を経験させ、慣れてもらうようにしましょう。

猫のおやつ

猫のおやつは、やはり猫にあげることを想定して作られている、猫用のものをあげるのが一番安心です。おやつは1日に必要な総カロリー摂取量の10%を超えないように注意します。おやつの与えすぎは肥満につながるだけではなく、栄養素の過不足が生じて栄養バランスが崩れてしまいます。

人間の食べ物で、猫のおやつとして与えられるものもあります。

  • 調理した肉:猫は完全な肉食動物であり、猫にとっての必須栄養素を全て摂取するためには肉を食べる必要があります。子猫用フードには必要なものはすべて含まれていますが、ちょっとしたおやつとして、調理した鶏肉や豚肉、牛肉を少しあげるくらいなら問題ありません。ただし、脂身の多い部分や皮は、消化不良を引き起こす可能性があるため避け、骨や生肉は決して与えてはいけません。また、ハムのような加工肉は、塩分が高いので避けましょう。
  • 魚:特有の匂いを好む猫もいるでしょう。魚は一般的に栄養価が高く、肉と同様に少量与えることは問題ありません。ただし、猫に生の魚は避け、必ず骨を取り除き、調理して与えましょう。
  • 卵:豊富なたんぱく質源であり、猫が食べても安全です。スクランブルエッグやゆで卵など、必ず加熱してから与えるようにします。また、多くの猫は乳製品の消化が得意ではないので、調理の際バターや牛乳はいれない方がよいでしょう。
  • 果物・野菜:猫は甘みを感じることができないとされています。また食性的に野菜は必要としません。そのため、一般的に野菜や果物には興味を示さないことが多いかもしれません。それでも、エンドウ豆、ブロッコリー、ニンジン、カボチャ、バナナ、メロン、ブルーベリーは猫に与えられる食材として知られています。
  • 全粒穀物:オーツ麦や米などの穀類は猫に与えても問題ありません。とくに精製前のものは栄養価が高いとされています。

このように、猫に与えて問題のない食材もありますが、人間の食べ物の中には、猫に与えていけない危険なものも多くあることを忘れてはいけません。たとえば次のような食品には注意してください。

  • ブドウとレーズン

  • 玉ねぎ、エシャロット、ニンニクなどネギ属の植物

  • キシリトール甘味料を含む食品

  • アルコール

  • チョコレート

  • カフェイン

  • ナッツやそのほかの種

  • 乳製品:中には乳製品を消化できる猫もいますが、多くは十分に消化できないと考えられます。猫にあえて与える必要はありません。

子猫の食事について覚えておきたいこと

子猫の健康的な成長のために必要な、最適な栄養について覚えておくべき大事なポイント:

  • 子猫の1日に必要なカロリー摂取量の90%以上を、バランスの取れた子猫用の総合栄養食から摂取するようにします。

  • できれば、ウェットフードとドライフードの両方を与えましょう。

  • おやつは子猫に必要な1日のカロリー摂取量の10%を絶対に超えないようにしましょう。

  • 人間の食べ物には安全なものも多いですが、安全でないものも多いのです。少しでも不安がある場合は与えてはいけません。

  • 子猫を健康的な体型に保ち、獣医師とともに成長を見守りましょう。

かわいい子猫といつまでも幸せな時間を過ごしてください。長く素敵な友情に乾杯!

監修:ハイン・マイヤー博士(DVM、PhD、Dipl-ECVIM-CA)