ノミやダニは不快なだけではなく、ペットの健康の大敵です。ノミ・ダニ駆除薬を投与されていない犬と猫は、ノミアレルギー性皮膚炎など、あらゆる病気のリスクがあります。どんな駆除薬の種類があるのかご紹介します。
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人間や犬にアレルギー性の疾患があるのと同じように、猫にもアレルギーが原因となる疾患が存在します。ただ猫の場合、涙目、鼻水、くしゃみといった人間の花粉症のような症状よりも、毛や皮膚を舐める、噛む、こすりつけるといったかゆみが主な症状です。猫は正常でもグルーミングをするため、皮膚症状があってもなかなか気づきにくく、実は結構な病変ができていた、なんていうことも・・・。猫のアレルギーについて解説しますので、是非参考にしてくださいね。
基本的には皮膚のかゆみが主な症状で、顔や体を過剰に舐める、噛んだり掻きこわすといった行動がみられます。このようなかゆみによる病変を含む次のような皮膚病変が見られます。
このような皮膚の症状のほかに、嘔吐や下痢といった消化器症状が見られることもあれば、咳やくしゃみなどの呼吸器の症状がでることもあるかもしれません。皮膚症状と消化器症状の両方が見られる場合、食物によるアレルギーの可能性もあります。今まで食べているフードの原材料をチェックして、獣医師と相談しましょう。
子猫は生後1年以内にワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成猫は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢猫や特別なケアが必要な猫はより頻繁な検診が必要になる場合があります。
猫のアレルギーの原因は以下の3つに大別されます。
ノミによるアレルギーは猫でもっとも多いアレルギーの一つです。ノミアレルギーは、ノミの唾液に対する反応によって起こり、ほんの数回咬まれただけでも激しいかゆみを引き起こします。典型的な皮膚症状は、体の背側、首の後ろから尾の付け根にかけての部分に、脱毛やかさぶたを伴うぶつぶつとした皮膚炎が見られることです。明らかにノミアレルギーの症状であっても、ノミの動きは早いため、調べてもノミを見つけられないこともよくあります。そのようなときでも黒褐色のノミの糞が認められることがあります。
ノミアレルギーの治療は、まず第一にノミ駆除薬によってノミを駆除することですが、アレルギー体質の猫の場合には、年間を通じてノミ駆除薬の投与が推奨されます。また、生活環境中にノミが繁殖している可能性もあるため、環境を整備することも大切です。ノミの駆除薬には、皮膚に滴下するタイプや飲ませるタイプのものがあるので、獣医師に相談してみましょう。ほかに同居している犬や猫がいる場合は、その子たちにも駆除薬を使用する必要があります。皮膚病変の状況に応じて、獣医師の判断によりかゆみ止めや抗菌剤などが処方される可能性もあります。
ノミや食物以外の原因で、環境中の物質の関与が疑われるものです。環境アレルギーの主な原因物質は、樹木や草花、カビやイエダニ、さらに食器や給水器に使われているプラスチック、洗剤などで、疑いもしなかったものが原因になっていることもあります。樹木や草花などが原因の場合には、季節性に症状が出る場合もありますが、はっきりせずになんども繰り返すことも少なくありません。環境アレルギーを特定の検査によって診断することは難しく、他の原因を除外することで行われます。
環境アレルギーは完治が難しく、上手に付き合いながらコントロールしていくことが必要です。原因物質を推測しつつ、できる範囲内で取り除くこと、そして皮膚症状の状況に応じて医薬品や療法食などを使用します。飼い主さんにできることとして、空気清浄機を使用する、頻繁に掃除機をかける、猫が使っているベッドやクッション、敷物などを頻繁に洗濯するなどの対策のほか、プラスチック製ではなくステンレス製のボウルを使用して頻繁に洗う、無香料の洗剤やトイレの砂を使う、なども環境中のアレルギー物質を減らすのに役立ちます。再発を繰り返しやすく、皮膚症状の管理のために長期にわたって医薬品や療法食が必要になる場合も多いため、獣医師と相談しながら根気強く治療を続けることが大切です。
食物アレルギーは文字通り特定の食物に対するアレルギーで、季節に関係なく起こる持続性のかゆみが特徴ですが、皮膚の症状そのものは共通しているので病変だけで食物アレルギーと診断することはできません。皮膚症状に加えて、嘔吐や下痢、体重低下、食欲不振といった消化器症状が認められることもあります。タフツ大学カミングス動物病院* によると、猫と犬の食物アレルギーでもっとも多い原因は、鶏肉、牛肉、乳製品および魚という報告がありますが、それ以外の食物にもアレルギーを起こすことがあります。
食物アレルギーの診断は、寄生虫などの他の原因を除外した後、厳格な除去食試験により行います。猫の食事歴を確認し、猫が今まで食べたことのないタンパク質や炭水化物を使った新奇タンパク食や、アレルギー反応が起こりにくいようにタンパク質が細かく分解された加水分解タンンパク食を与えて、症状が改善するかを確認します。一般的に、除去食試験は8〜12週間実施されますが、食物アレルギーだった場合、最初の1ヶ月程度で改善が認められるようになります。除去食試験では、疑わしい食物を完全に与えないようにするのが狙いで、獣医師の指示以外の食物をほんの少し与えただけでも正確な診断ができなくなるため、厳密に行う必要があります。必ず獣医師の指示を厳守してください。食物アレルギーの猫用に特別に設計された療法食もあるので、かかりつけの獣医師とよく相談して適切なフードを選びます。他のアレルギーと同様に、皮膚症状の状況に応じて、かゆみや皮膚の炎症を軽減するために医薬品の併用が必要になることがあります。
いかがでしたか。猫にもアレルギーを起こすことがあり、かゆみや皮膚の炎症に加えて消化器症状にも注意すべきことをご理解いただけたでしょうか。ここではアレルギーについて解説しましたが、猫の皮膚症状は共通していることが多いので、アレルギー以外でも同じような症状が見られる場合があります。いずれにしても、猫の皮膚のチェックを怠らず、気づいたら早めに動物病院を受診してくださいね。
*参照先:https://vet.tufts.edu/foster-hospital-small-animals/specialty-services/nutrition
ジェシカ・セイドは、ニューイングランド地域で救急獣医師として活躍しています。ノースカロライナ州立獣医科大学を卒業し、10年以上この分野で活躍しています。診療をしていない時は、夫、娘、そしてフレンチブルドッグと過ごす時間を楽しんでいます。
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