猫のマーキング行為の対処方法

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ペットを飼っていると、家をきれいな状態にしておくことは簡単ではありません。仕事で疲れて帰宅して、床がびしょ濡れで部屋が匂っていたら、気分も落ち込みますよね?マーキングは引っかきと同様、猫の行動の中で最も多く見られるいつもとは違う行動です。もともと猫が持っている習性ですので、しつけをして直させるのではなく、方向性を変えてあげることが必要です。

猫がマーキングするのはなぜ?

野生の場合、猫は他の猫とコミュニケーションをとるために、体をこすりつけたり、引っかいたり、おしっこをしたりしてにおいを残します。自分のテリトリーであることやパートナーを探していることを他の猫に知らせるために、においを残すのです。そのため、室内飼育で去勢されている猫はマーキングをする必要性を通常は感じません。それでもマーキングをする猫は、多くの場合ストレスを感じていて、自分のにおいを周りにつけて落ち着きたいからです。猫のために安全で心地よい環境を作ってあげていたとしても、まだストレスを感じていて、自分のテリトリーを確保したいのかもしれません。

マーキングしている場合の対処法

まずは、それがマーキングなのか単なる排尿なのかを確認しましょう。しゃがんでいる場合は単なる排尿ですが、立っている場合はマーキングです。後ろ足で足踏みしながら尻尾を震わせて、垂直面ににおいをつけます。

Gray tabby kitten pawing at the air.

愛猫がトイレ以外の場所で排尿し始めた場合は、トイレを定期的に掃除しているかを確認してください。このような行動が続く場合は獣医師に連れて行き、下部尿路疾患や膀胱炎にかかっていないかを診てもらいましょう。尿路感染がある場合、愛猫は立ったまま排尿するようになり、マーキングと区別がつきにくくなるからです。また膀胱炎になっている場合は、下部尿路疾患の症状も見られるようになるでしょう。これには、頻繁に排尿しようとしたり、排尿時に苦しそうに力んだり鳴き叫んだり、尿に血が混じっていたりすることがあります。再発性膀胱炎にかかっている場合は、水分を多めに摂取することで症状が軽減することが多くあります。ウェットフードに切り替えることもひとつの手です。獣医師に、栄養管理について相談しましょう。

赤ちゃんが生まれたり、新しいペットを迎えたり、引っ越しをしたり、日課が変わったり、模様替えをしたりなど、最近、家庭の中で何か変化はありませんでしたか?特に室内で過ごす愛猫の場合、そのような変化が行動に影響を与えている可能性があります。他の家の猫や近所の猫から脅かされることを防ぐには、猫用の入り口をふさいでおきましょう。自分のテリトリーを侵される脅威がなくなれば、マーキングする必要性も感じなくなります。

家具の移動などの模様替えをすると、これまでつけてきたにおいがなくなってしまうので、愛猫の気持ちがとても揺らぎます。愛猫の居場所ににおいをつけておいてあげることで、それほどマーキングしようとは思わなくなるでしょう。そのために、まずは綿の布でやさしく愛猫の顔をなでましょう。顔からその猫固有の香りやフェロモンが出ているからです。愛猫がマーキングしている場合は、その場所に1日数回この布を当てます。また、獣医師から合成フェロモンを入手することもできます。

猫は、安全であることを最も快適に感じます。愛猫がパトロールする領域を1~2部屋までに制限することで、安心感を与えてあげることができます。

家の中で愛猫が排尿したりマーキングしたりした場合、その場所をきれいに掃除しないと、また戻ってきて繰り返します。

  • できるだけ長い時間、愛猫がその場所に近づかないようにしましょう。たとえば、そこに家具を置くこともひとつの案です。
  • 掃除をする場合は、酵素配合の洗濯洗剤でその場所を洗い、よくすすぎます。次に、白酢と水を1:1の割合で混ぜた溶液をスプレーしてください。
  • さらに、消毒用アルコールをスプレーして擦り込み、乾かします。デリケートな敷物などの場合は、目立たない部分に試してみてから行ってください。
  • 残っているにおいを除去したい場合は、シミとりや脱臭剤について獣医師に相談してください。
  • アンモニア配合の洗剤は使用しないでください。アンモニアは尿にも含まれているため、逆に愛猫を誘い込んでしまう可能性があります。

最後に、愛猫がいつもとは違う行動を起こしたりしても、決して怒鳴ったり罰を与えたりしないことが大切です。そうすることで余計にストレスを与えてしまうことになるため、マーキング行動が悪化してしまうでしょう。愛猫は罰を与えられても理解できません。いつもとは違う行動を直すには、トレーニングをしながら愛情を十分注いであげることがベストです。ゆっくりと時間をかけて軌道修正していけば、かわいらしい愛猫に戻ってくれるでしょう。

Contributor Bio

高橋智司

高橋智司

編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター  獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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