犬の陽性強化トレーニング

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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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陽性強化(正の強化)とは、褒めたりご褒美を与えたりして好ましい行動をより強化させる条件付けの手法の1つで、プロのドッグトレーナーだけではなく一般の人々にもよく知られて用いられる最も一般的なアプローチです。陽性強化のトレーニングは、ペットにとってトレーニングを面白く楽しめるものへと変えてくれるだけでなく、ペットが徐々に飼い主に対する信頼を築いていくことの役にも立ちます。好ましい行動を適切に褒めることは、その行動が正しいということをペットに伝えることで、修正された行動に自尊心を見出し、迷いや不安、混乱といったフラストレーションの軽減に役立ちます。

陽性強化トレーニングの方法

目標は、ただコマンドに従わせるというのではなく、犬がチームの一員として飼い主と協力し合いながら、考えたり作業したりできるようにすることです。

ステップ1:正しい態度で臨む

時間をかけて何かを行うときは、途中でいくつもの困難に直面するものです。とにかく辛抱強く、じっくりと取り組むことが必要です。犬は飼い主の態度やボディランゲージを感じ取ることができます。自分がイライラしてきたな・・・と思ったら、一旦トレーニングをやめてリセットし、気分が落ち着いているときにもう一度やってみましょう。トレーニング楽しいものであればあるほど、犬の学びたい気持ちも強くなります。

ステップ2:すでに愛犬が身に付けている良い行動を肯定する

愛犬がすでに行っている好ましい行動を積極的に見つけて、それを褒めたりおやつのご褒美をあげたりして、認めていることを犬に知らせてください。犬にその行動を飼い主が肯定していることと、ご褒美が関連付いていることを学習してもらうのです。犬が飼い主に褒めてもらうための新しい方法を見つけることの役に立ちます。

ステップ3:シンプルな行動と関連付けするところからスタートする

お座りのようなシンプルな行動を教えることは、早い段階で目に見える成果が得られる良い方法です。口頭で「シット(お座り)」というコマンドを与えながら、おやつを犬の顔の近くにもっていきます。犬はおやつが顔に近づいてきたら自然に座るかもしれませんが、きちんとお座りをしたときだけおやつを与えるようにしてください。愛犬がその流れ(顔に近づくおやつ、「シット」、ご褒美)を理解するまで、この動きを繰り返します。うまくできたときは毎回必ず、存分に褒めてあげるようにしましょう。

 

陽性強化が役立つ状況

トイレトレーニング

これは、比較的よく知られている方法と逆ですが、家の中で子犬が粗相をしたとき、叱ることはせずに優しく正しいトイレの場所に導いてあげます。最初はトイレのスペースを広めにとって、ペットシーツを敷いておきます。食事の前後など時間を見計らって、子犬をよく観察します。ソワソワする、くるくる回る等の仕草が見られたらトイレに誘導し、うまく排泄できたら褒め言葉とおやつのご褒美を与えます。

陽性強化はタイミングが重要です。ペットは好ましい行動をとった後に好ましくない行動をとることもあるので、好ましい行動をとったら必ず即座に褒めて、飼い主がもっと見せてほしいと思っている行動が何かを愛犬に知らせてあげる必要があります。このことを一貫して続けていくと、犬は飼い主が望む行動をどれだけ見せられるのかということに、喜びと興奮を覚えるようになってくれます。

新しい芸を覚えさせるとき

ペットの問題行動といわれるもの、たとえば、靴を噛む、穴を掘る、家具に爪を立てるなどの多くは、退屈から起こることが多いといわれます。何かしら役に立つことや新しくて楽しい芸をトレーニングすることで、犬の好奇心を刺激し、愛犬にやる事を与え忙しくさせておくことは、とても良いことです。

以前にクリッカートレーニングをご紹介したことがありますが、これはペットが飼い主の口頭のコマンドと期待される行動とをゆっくりと結び付けて行くことができる1つの陽性強化トレーニング法です。陽性強化という点では声を使っての方法と基本的な考え方は同じですが、クリッカーは日常生活ではあまりない音で、声よりも犬が反応しやすいということあるようです。基本的な動作や作業から始めて(辛抱強さをお忘れなく)、より複雑な芸を徐々に積み上げて行くことができます。

 

ご褒美としておやつを与えるタイミング

ペットの年齢に関係なく、大人しくお手入れさせてくれたときや望ましい行動ができたときには、ご褒美を与えるべきでしょう。つまり、何もしていない時、ねだられた時は、ただであげてしまうことはせずに、何かさせてからおやつをあげるように心がけましょう。

うまくできたらとにかく褒める!

陽性強化トレーニングを正しく行うと、トレーニングは愛犬だけでなく飼い主にとっても楽しいものになるはずです!犬と飼い主が互いの絆と親交を深める手段の1つとしてトレーニングを利用するような気持ちでいてください。訓練の時間はいつも短めにして楽しいもののままにするようにしていれば、愛犬はご褒美を期待して良い行動を見せるようになってくれるでしょうし、飼い主の方も愛犬のやる気満々な学習意欲にきっと笑顔になることでしょう。

Contributor Bio

高橋智司

編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター  獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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