子犬の成長カルテ:子犬が成犬に成長するまで

執筆: ジーン・マリー・バウハウス
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子犬が成犬に成長するまでには多くの段階や節目があります。子犬が一体いつになったら落ち着いて、何にでも嚙みつくのが止むのか・・・と思っている子育て真っ最中の方にも、子犬が成犬になっていく過程を知りたいと思っている方にとっても、この子犬の成長カルテが役立ちます。

1.子犬の目と耳が開く時期

子犬は目が見えず耳も聞こえない状態で生まれてきます。両目と両耳ともに開いていません。生後2週間は、子犬は完全に触覚と嗅覚だけでこの世界を経験します。母犬や兄弟たちのぬくもりを感じ、ミルクを求めて移動します。生後3週目になって目と耳が開くと、ようやく小さな子犬にも様々なものを認識して経験ができるようになります。このように器官の発達が未熟で生まれてくるのは、犬の妊娠期間が短く、もっと妊娠期間が長い他の哺乳動物と違って脳が完全に発達しないまま生まれてくるからです。

2.子犬が吠え方を覚える時期

耳が聞こえるようになった子犬は、母親から聞こえてくる音を真似し始めます。耳が開いてからそう長くかからずに、子犬の可愛らしいうなり声は一人前の鳴き声や吠え声へと変わって行きます。

笑顔で外を走るゴールデンレトリバーの子犬

3.子犬が歩き方を覚える時期

子犬は感覚の発達と同時に様々な刺激に反応し、前足で這ったり立とうとしたりし始めます。生後3週目までにはぎこちないですがヨチヨチ歩き始めます。

4.子犬が遊び方を覚える時期

子犬は歩けるようになると、間もなく走り回ったり兄弟たちとじゃれて遊んだりするようになります。3週齢頃には、母親や兄弟たちから"犬であるとはどういうことか"を学ぶ極めて重要な社会化の段階が始まります。

5.子犬に歯が生える時期

生後3週目は子犬の成長過程の中で大きな変化が起こる期間です。前述の子犬の発達の節目に加えて、鋭い小さな乳歯も生え始めます。乳歯は一般的に8週目までに生え揃います。

6.子犬が排泄行為を覚える時期

生後3週目から4週目は、膀胱と腸の運動に対する制御が発達する時期でもあり、子犬は寝床から離れて排泄することを学びます。

7.子犬が固形フードを食べ始める時期

子犬は、歯が生え始める頃にはもう母親の食べている固形フード食べようとすることがありますが、いわゆる離乳とよばれる、母乳の出が悪くなり始めて、子犬が完全に固形の子犬用フードに移行し始めるのは生後4週目になってからです。この離乳プロセスには通常約4週間以上かかり、子犬は8週目までに完全に離乳します。

8.子犬が人を好きになり始める時期

子犬の成長過程における4週目は、子犬に周りの人たちに対する愛着心が芽生えて、人との絆を形成し始める時期でもあります。子犬を母親と兄弟たちから引き離すには早すぎますが、迎え入れる予定の子犬と知り合いになるには絶好の時期と言えるでしょう。

9.子犬に社会化が必要になる時期

子犬は生後3週目までには母犬や兄弟との間の社会的順位を学び始めます。4週目から12週目までは、精神的に安定した犬になるか、感情面や行動面に問題を抱えた犬になるかを左右する極めて重要な社会化の期間になります。子犬がこの発達段階に達したら、初対面の人に会うこと、他のペットと交流すること(ただし、子犬の安全のために、これらの犬もワクチン接種と健康診断を終えていることを確認する必要があります)、いろいろな場所を探検させること、そして新しい体験をさせることをできるだけ早く始める方がいいでしょう。

10.子犬にワクチン接種が必要になる時期

アメリカンケネルクラブ によると、生後6週間から8週間の間に子犬のワクチン接種を受けることを推奨しています。子犬は、譲渡可能になる時期までに、犬ジステンパーウイルス、犬パルボウイルス、犬アデノウイルスが含まれているワクチンの初回接種を終えているべきです。次のワクチン接種時期は10週齢から12週齢までの間になります。

11.子犬にトイレトレーニングを始められる時期

Dogtime によると、「トイレトレーニングを開始するために必要な子犬の身体的な機能と筋肉の制御能は、生後7週目までに発達している。」とのことです。子犬は体も心も頭も日々成長します。最初のうちは失敗することの方が多くて大変ですが、繰り返しトレーニングすることで、子犬も正しい排泄方法と排泄場所を理解してくれるようになります。

12.子犬を譲渡できるようになる時期

生後8週目を目安に子犬が完全に離乳したら、実の母親や兄弟たちから離れて新しい家庭に譲渡される準備が整います。この時期はデリケートな時期でもあり、子犬が自然に新しい家族や新しい経験を受け入れられる時期である一方、子犬にとって初めてのことに対して恐怖や警戒心を覚えるような段階に移行しつつある時でもあるからです。不安を感じやすい臆病な犬にならないよう、この時期の子犬には安心させたり前向きな感情になるような言葉や行為をたくさんかけたりしてあげたりすることが必要です。

見上げるひもに繋がれた茶色と白のかわいい子犬

13.子犬に服従訓練を始められる時期

子犬が新しい環境に慣れ、新しい家族とも仲良くできるようになってきたら、生後9週目までには基本的な服従訓練を開始しましょう。一通りのワクチン接種が済む前に、子犬をトレーニング教室に参加させるのは心配になるかもしれませんが、米国獣医動物行動学会は、「この時期の子犬が、トレーニング教室に参加して得られる社会化という点での利益は、ワクチン接種がまだ済んでいないことによって生じるリスクを大きく上回る」と指摘しています。ただし、必ず事前にかかりつけの獣医師に相談して意見を聞くようにしてくださいね。

14.子犬が家庭での自分の地位を知る時期

生後12週目になると、犬の本来もつ服従本能が出始めて、子犬は自分が家庭内の社会的順位のどこに当てはまるかを見極めるようになります。この時期には恐怖を抱きやすい段階から好奇心をもつ段階へと移行するので、子犬はさらに自立して積極的になります。この時期にいたっても、大好きな家族から安心感を十分に与えてもらうことが必要です。通常、子犬は6か月齢までに家族の中の自分の地位をしっかりと確立します。

15.歯の生え替わりと噛む行為が始まる時期

永久歯は生後3か月齢から6か月齢までの間に生え始めますが、あの見境なく噛む"甘噛み"が始まるのもこの時期です。この時期には、子犬に噛まれては困るもの、あるいは電源コードや有毒な植物といった子犬にとって危険な物を隠したり片付けたりするなど、家での子犬対策をしっかり行うことが重要です。この噛みたい衝動を抑えることは難しいですから、何かしらで満たしてあげなければなくなることはありません。部屋の壁や敷物、お気に入りの靴などをやられてしまう前に、噛んで遊ぶおもちゃなどを上手に利用するとよいでしょう。

16.子犬が避妊・去勢手術を受けられるようになる時期

子犬は一般的に生後6か月齢以降で避妊・去勢手術を受けられるようになります。小型犬や大型犬など、犬種によって最適な時期が異なる場合もありますので、獣医師さんと手術の最適な時期に関してご相談ください。

17.犬が思春期を迎える時期

犬も思春期を迎えると、自立心が高まり、群れの序列の中での自己主張、優位性の確立、縄張りの確保などをしようとすることがあります。犬の思春期は個体差がありますが一般的に生後6か月齢から8か月齢頃といわれ、その頃の子犬は、飼い主のいうことを聞かなくなる、今こだわりが強くなり気に入らないことがあると唸ったりする等のような反抗的な態度や行為がみられることがあります。

18.子犬が成熟して落ち着く時期

子犬は、一般的に生後12か月齢から18か月齢までの間には精神的に成熟して落ち着くようになるといわれますが、実際には2歳頃までは物をクチャクチャ噛んだり噛みちぎったりする子犬っぽい行動を時々見せることがあります。犬によっては、子犬のようなやんちゃな状態が数年続くこともあります。正しい行動を覚えてもらうための定期的なトレーニング、そしてありあまるエネルギーを発散させるための運動は欠かさないようにしましょう。

子犬を育てるということは決して楽しいことだけではなく、その成長過程で数々のハプニングや困難に出くわすことを意味します。多くの新しい飼い主さんは、その都度忍耐力を試されることになるでしょう。でも、犬が子犬から成犬へと成長して行くのを見守ることができるというのは、何にも代えがたい幸せな経験ですし、人生でそう何度も経験できることではありません。かけがえのない時期を大切に過ごしましょう。

参考記事「うちの子はいつ成犬になるの?」もご覧ください。

Contributor Bio

ジーン・マリー・バウハウス

ジーン・マリー・バウハウス

オクラホマ州タルサ在住のペットオーナーでもあり、ペットブロガー、兼小説家。いつもペットたちに見守られながら執筆活動に勤しんでいます。

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