犬の耳トラブル:知っておきたい犬の外耳炎

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耳は4つの部位に分けられます:Vet and dog

  • 耳介 - 頭の外側に出ている部位
  • 外耳道
  • 中耳 - 鼓膜の内側
  • 内耳 - 音を脳に伝える管と神経構造で構成。内耳は犬の平衡感覚の制御にも役立っています。

犬ではとくに外耳道の炎症、つまり外耳炎はかかりやすい病気の一つで、様々な原因があります。アレルギーやアトピー性皮膚炎など皮膚トラブルを起こしやすい体質をもっていたり、耳が垂れている、あるいは外耳道に毛が生えているといった構造的な素因をもっている犬ではなりやすいとされています。このような特徴は耳の中の湿度や温度が上がりやすく、炎症を引き起こす感染性微生物にとって格好の環境となります。

原因
犬の外耳炎の原因には、それだけで外耳炎を起こしてしまう直接的な原因と、複数が組み合わさることで外耳炎を引き起こす原因(要因)があります。耳ダニなどの寄生虫や、アレルギーやアトピー性皮膚炎、脂漏症、甲状腺機能低下症、異物(植物の種など)および腫瘤などは外耳炎の直接的な原因として知られています。耳の構造的な特徴や高温多湿環境、細菌や真菌の感染などは、いくつかの要因が組み合わさることで外耳炎を起こしたり悪化させたりします。

犬の場合、外耳道よりも奥の中耳や内耳の炎症のほとんどは、細菌性の外耳炎が鼓膜にまで波及し、鼓膜に障害を受けることが原因です。破れた鼓膜から耳垢や病原菌が侵入し刺激となって炎症を起こします。このほかに、 咽喉の感染症や感染症以外のポリープなどでも中耳炎の原因となる場合があります。なお、外耳道の過剰なクリーニングでも鼓膜が破れてしまうこともあるため注意が必要です。

動物病院での診察
動物病院では、最初に耳の様子を観察したり触ったりして炎症の状態や痛みなどを確認します。耳の中の観察には、まずは一般的な耳鏡による観察が行われます。状況に応じて、さらにオトスコープと呼ばれる耳用の内視鏡が用いられる場合もあります。オトスコープは鼓膜付近まで状況をよく観察することができ、さらに洗浄や吸引、異物の除去などができます。炎症が強かったり、耳に激しい痛みがある場合は、麻酔をかけての精密検査を行う必要があるかもしれません。その他にも、必要に応じて耳垢の顕微鏡検査や細菌の培養検査、甲状腺ホルモン検査、レントゲン検査、生検などが行われることもあります。

外耳炎は早期に適切な治療を行うことが重要です。病態が複雑だったり、慢性化してしまうと、長期間の継続的な治療が必要になることもあります。

治療および自宅でのケア
耳のトラブルは、獣医師の診断に基づいた適切な、そしてフォローアップも含めた継続的な治療が必要になります。関係している原因や要因によっても、治療期間が異なります。

耳のトラブルでは、一般的に薬剤を使用する前にまずは洗浄を行って、耳垢や皮脂などをしっかりクリーニングすることが大切です。汚れの種類や量、耳の炎症の程度に応じて適切な洗浄液が使用されます。より適切な治療のために、耳道の入り口付近の被毛や耳道内の毛が処理されることもあります。洗浄後、点耳薬等の外用剤が使用されますが、炎症の程度によっては内服薬等が処方されることもあります。原因、および重症度によっては、外科的な治療を勧められることもあるかもしれません。

自宅でのケアは、獣医師の指示通りに行い、必要以上に処置したり投薬したりしないようにしましょう。医薬品は適切に使用しないと、かえって悪化するおそれもあるので、かかりつけの獣医師の指示にしっかりと従ってください。

栄養管理
愛犬に耳のトラブルがある場合、診断や治療の一環として獣医師から栄養管理を勧められるかもしれません。食物アレルギーを考慮して、獣医師はアレルギーを起こしにくいように設計された療法食を勧める場合もあります。こうしたドッグフードには、ヒルズ プリスクリプション・ダイエットのドッグフード などがあります。

かかりつけの獣医師からフードの切り替えについての指示が特にない場合は、だいたい7日間くらいかけて新しいドッグフードを徐々に導入していきます。新しいドッグフードに徐々に移行する方法について確認してください

Contributor Bio

高橋智司

編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター  獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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