犬のお尻歩きと肛門腺

執筆: クリッシー・クリンガー
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犬がずりずりと床にお尻をこすりつけるようにしてお尻歩きしている姿は、なんだかほほえましく可愛らしいですよね。でもこれって、肛門付近に違和感があるサインであることをご存知でしたか?排便直後など、特に異常がなくてたまたまちょっと気になっただけのときもあるかもしれませんが、頻繁にやるような場合は肛門や肛門線に違和感を感じる何かがあるのかもしれません。その中でも犬のお尻歩き問題の原因によくなるのは肛門腺です。

犬の肛門腺(嚢)

水辺のドックを見下ろす2匹の犬
The Spruceの説明によると、犬のお尻には、肛門の内側の左右の筋肉の壁の中に1つずつ、計2つの小さな嚢(袋状の構造物)があり、これを肛門腺(嚢)といいます。これらの嚢には、その内側にある脂腺(脂を分泌する腺。毛根を包む毛包の脇にある腺と同じ構造)からの分泌物が徐々に溜まります。

これらの肛門腺は、犬同士のコミュニケーションの役割を果たしているといわれています。犬が互いに挨拶するときに嗅ぎ合うのがこの部分です。肛門腺は、犬が排便をするときには必ずニオイも発しつつ、排便を容易にする働きもしていると考えられています。通常肛門腺の分泌物は、犬が排便するたびに排泄されますが、犬が驚いたときや恐怖を感じたときなどにも出ることがあります。

肛門腺のトラブル

では、どんなときにトラブルが起きるのでしょうか。肛門腺の分泌物は犬によって硬めだったり水様だったり様々なので、通常の排便行為だけでは出にくい場合もあり、分泌物の溜まりやすさには個体差があります。肛門腺の分泌物が溜まってくると、違和感を感じてお尻をこすりつけるような動作をするようになります。また、Preventive Vetによると、何らかの原因で肛門腺の出口の穴が塞がってしまい、肛門腺が溜まってしまうということもあります。

この状態は犬とって不快であるだけではなく、そのままにすると化膿し、さらに袋が破けてしまうこともあります。そのような状態を肛門腺炎といいます。肛門腺炎の場合には、局所の洗浄や外用薬などの処置とともに、抗生物質などによる治療が必要になることもあります。

肛門腺絞り

肛門腺の溜まりやすさには個体差があって、ほとんど溜まらない子もいますが、肛門腺炎を防ぐためには定期的に絞っておくと安心です。コツをつかめば、お家ですることももちろん可能ですが、心配であれば、動物病院やトリミングサロンなどにお願いする方法があります。肛門付近を触るのを嫌がる、肛門付近が赤くなっているなど、気になることがあれば動物病院を受診しましょう。

参考までに肛門腺の絞り方をご紹介します。肛門腺は肛門を時計に見立てて、4時と8時に位置しています。しっぽをしっかりと上に持ち上げると分かりやすくなります。肛門に向かって開口部が開いているので、袋から絞り出すように下から上にしごくようなイメージで押し出します。勢いよく飛び出ることがありますので、ティッシュ等で肛門を覆うようにしてから行うようにしましょう。なかなかコツのいる作業ですし、肛門腺の位置も個体によって差があり分かりにくいこともありますので、最初は専門家にやり方を教えてもらうのがベストです。ただし、犬にとっても不快な作業ですから、状況によっては嚙みついたり逃げ出したりするおそれもあります。無理せずに、難しい場合にはプロにお願いしましょう。

肛門腺のトラブルの原因

ジャックラッセルテリアの裏側、川を見下ろす人々が背景にぼやけている
Petfinderによると、便秘や下痢のように腸の運動性があまり良くないと、排便時に肛門腺への刺激が伝わりにくかったり、肛門腺の分泌物の正常が変わったりして肛門腺のトラブルを起こしやすくなるといいます。また遺伝による肛門腺の奇形があったりしても原因となることがあります。Preventive Vetは、肛門付近に慢性的な皮膚疾患がある場合でも、慢性的な肛門腺のトラブルにつながることがあると付け加えています。

そのほかには、甲状腺機能の低下や肥満でも肛門腺のトラブルを起こすことがあります。そして、肛門腺が過剰に溜まらないようにすることはとても大切なことですが、反対に気にしすぎて絞りすぎることもよくありません。過度な刺激は自然な排泄機能を妨げたり、組織を痛めてしまう可能性もあります。個体差もあるので個別に獣医師に確認するのが安心ですが、一般的には月に1回程度が目安となるでしょう。

肛門腺トラブルの症状

犬のお尻歩きは、肛門腺に違和感があるときによくみられる症状であることはお話しましたが、処置が必要ほどの状況の場合、1回や2回のようにちょっと気になっただけのような回数でとどまることはなく、さらに執拗にお尻付近を舐めたり気にしたりする行動がみられます。肛門周囲が腫れていたリ赤くなっていたら、炎症を起こしている可能性があります。犬が座っていたところに血や膿がついて気が付くこともあります。

動物病院に行きましょう

定期的に来院してチェックしてもらうのが理想ですが、お尻歩きの頻度が気になる、お尻付近を気にしているときには、動物病院を受診しましょう。腫れたり赤くなったりしているとき、肛門付近にできもののように見えるものがあるときには、尚更早く診てもらう必要があります。このようなできものは肛門腺の化膿のほか、肛門周囲の腫瘍であることもあるからです。

また、肛門腺のトラブルを繰り返すときには、何らかの基礎疾患がある場合もあります。適切な診断のためには獣医師の診察が必要です。

飼い主にできること

肛門腺のトラブルにいち早く気づくために、日頃からよく観察することはとても大切ですが、そのほかにも肛門腺のトラブルを予防するために、飼い主にできることを考えてみました。

  • 健康的なお通じのために、十分な食物繊維を食事からとれるようにする。健康的な消化と適切な便の形成のために設計された療法食について獣医師に相談する。
  • 愛犬が過体重の場合は、健康的な体重に戻して維持する方法を獣医師と相談する。
  • 獣医師と協力して潜在的な基礎的原因を特定し、治療または管理する。
  • 獣医師が認めた場合、愛犬の食事に魚油を補給する。Preventive Vetは、詰まっている肛門腺の周囲の刺激低減に魚油が役立つと指摘し、魚油を添加したフードを推奨している。.
  • 過度に肛門腺を刺激しないように注意する。

場所が場所だけに、なかなか普段からよく見たり気にしたりしにくいかもしれませんが、注意しておいて悪いことはありません。見えにくいところほど、よく注意してチェックを忘れないようにしましょう。

Contributor Bio

クリスシー・クリンガー

筆者紹介
クリッシー・クリンガー

 

クリッシー・クリンガーは、2人の子供、夫、そしてペットと暮らしています。授業中やブログなどの執筆活動中を除いて、家族みんなで過ごす時間を楽しんでいます。飼い主とペットのアクティブで有意義な生活に役立つ記事の執筆に情熱を傾けています。

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