オーラルケアを実践しましょう

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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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やったほうがよいことは分かっているのに、なかなか続けられない、という飼い主さんも多い歯みがき。犬が嫌がってしまったり、飼い主さんの方が面倒になってしまったり、理由はさまざまあれど習慣にするまでにはハードルが高いと感じている方も多いことでしょう。でも、このお口のケアを怠ってしまうと、あっという間に歯垢が歯石になり、歯周病へ進行してしまいます。歯周病はお口の問題に加えて、全身の健康状態にも影響するため、日々のお口のケア(オーラルケア)はとても重要です。適切な栄養や運動、獣医師による定期検診と同じように、このオーラルケアも積極的に実践しましょう。

健康的な犬の口内の状態

健康な犬の歯は、汚れたり変色していたりせず、歯肉が腫れたりしていない、きれいな歯のことです。こういった歯や歯肉の変化は、歯垢や歯石、歯肉の炎症の可能性があります。ペットヘルスネットワーク®*¹ では、犬の健康な口内状態とは、42本(犬の歯の本数は人間の1.3倍です)ある歯のすべてで欠けたり折れたりしておらず、上記のような変化がなく、嫌なニオイがしないこと、と説明しています。

一般的に、犬の舌は適度に潤っていて、しこりや傷がないのが正常です。また、犬の歯茎の色はサーモンピンクのケースが多いかと思いますが、犬種によっては歯茎が黒かったり黒とピンクのまだらだったりすることもあると、PetHelpful*² で紹介されています。このような場合、普段の状態を知っておかないと、変色しているかどうかの判断が難しいことがあります。普段から犬のお口の中をときどき観察して、歯茎の色や状態の変化に気づいたら、獣医師に相談するようにしてください。

犬のお口をきれいにキープするために

家庭で飼われている犬たちは、野生で暮らしている動物とは、食べ物の内容も咀嚼に関する行動も全く異なります。そのため、きれいなお口をキープするためには、人間によるオーラルケアが必要です。犬用の歯ブラシと歯磨きジェルなどを使った定期的なブラッシングと、お口のケア向けに作られたグッズやおもちゃ、おやつが役立ちます。ご自身の歯を一日に数回磨くのと同じように、愛犬のお口も毎日のお手入れが理想的です。

はじめて犬の歯みがきをやってみる、という場合は最初から無理せずに少しずつ始めてみましょう。アメリカンケネルクラブ(AKC)*³ によると、いきなり歯ブラシを使い始めるのではなく、まずは飼い主さんが犬の口と歯に触れることを、犬が嫌がらずにできるようになることが必須だと説明しています。はじめに鼻先に触れてから、指で歯と歯茎をなぞるようにこすってみます。これを犬が落ち着いてリラックスしたまま耐えられるようになったら、ここではじめて歯ブラシを取り出します。犬の好むような歯みがきジェルなどを併用して、舐めさせたりにおいを嗅がせたりしながら少しずつやさしく磨いてみましょう。犬は嫌なことがトラウマになってしまうとそれを覆すのは難しくなります。とにかく無理をせず、ゆっくり進めるようにしましょう。

歯みがきに必要な犬との信頼関係を築けたら、次はテクニックについて考えていきましょう。犬の唇を持ち上げて、前の方から徐々に歯の外側に意識を集中させて、ゆっくりと口の奥へと進みます。初めのうちは、一度に2~3本しか磨けないこともあるかもしれませんが、無理せずにできることを継続することが大切です。また、犬用の歯みがきジェルは、液体やスプレー、ペーストなどさまざまなものがあり、犬が好むように工夫されています。ペットショップや動物病院で紹介してもらうのもよいでしょう。なお注意点として、人間用の歯磨き粉は犬に絶対使用してはいけません。人間には安全な成分であっても、犬にとっては有害で中毒を起こしてしまう可能性があるからです。

もし、すでに歯石が付着していたり、歯周病になってしまっている場合には、動物病院での麻酔下における専門的なクリーニングや歯科治療が必要になることもあります。動物病院では、犬の歯茎の下の部分や通常の歯みがきでは手の届きにくい場所もきれいにしてもらえます。動物病院によっては、犬の歯のレントゲン撮影を実施する場合もあります。このような処置が必要かどうかは、かかりつけの獣医師に相談してくださいね。そして、このクリーニング処置をしたからといって、何もしなくても永遠に歯をきれいに保てる、ということではないことを理解しておきましょう。クリーニング後も日々のオーラルケアを怠らずに実践してください。

また、ドッグフードの中にもオーラルケアに配慮して作られているものもあります。噛むことで歯垢と歯石が沈着しにくいような工夫がなされていて、口臭の予防にも役立つかもしれません。

Dog with the tongue out

犬のお口のトラブルとは

犬の口内に腫れやしこり、口臭といった変化に気づいたら、獣医師の診察を受けるようにしてください。犬に起こる可能性のあるお口のトラブルをご紹介します。

・口臭:AKC*⁴ では、犬の口臭の原因について、最も一般的なのは口の健康トラブルによるもの、と説明しています。この口の健康トラブルによる口臭は、口の中の細菌によって歯垢などのさまざまな物質が分解されることで生じます。歯垢や歯石が蓄積すると、細菌の増殖につながり、やがて歯肉炎から歯周病へ進行していきます。このようなプロセスにともない、口臭もひどくなっていきます。そのほかに腎臓や消化器系など内臓のトラブルが口臭の原因となることもあります。口臭が気になるときは獣医師に原因について確認してもらったうえで、普段のオーラルケアを積極的に実践しましょう。

・歯肉炎:歯に付いた歯垢がたまって歯茎が腫れたり赤くなったりしていたら、それはおそらく歯肉炎の兆候です。治療は、原因となっている歯垢や歯石をきれいに取り除くことが基本です。いずれにしても日々の歯みがきが重要になるため、真剣に取り組むようにしてください。

・歯周病:歯周病は、歯肉炎が進行して歯を支える組織にまで炎症が波及し、歯茎の腫れや歯のぐらつき、痛み、摂食困難、さらには鼻汁を引き起こすことがある感染症です(人も歯みがきを怠ると発症することがあります)。バンフィールドペット病院*⁵ は、犬の歯が黄色や茶色に変色していたリ、歯茎が腫れたり赤くなっている、食べづらい、あるいは嚙みづらそうといった症状に気をつけるように、飼い主に注意を促しています。犬にこのような様子が見られたら、獣医師に診てもらうようにしてください。獣医師は症状に応じて必要な検査を実施し、その結果次第で必要な治療について説明してくれるでしょう。

・腫瘍や嚢胞:犬のお口の中にできもののようなものを見つけたときは、すぐに動物病院で診察を受けてください。PetHelpful*⁶ によると、犬の口の中のしこりや膨らみには特に心配のいらないものもありますが、すぐに治療が必要な可能性もあります。必要な検査を実施して、結果に応じた治療が必要になります。

・歯肉増殖症:バーンヴィル獣医クリニックによると、ブル・テリアやボクサーといった犬種に見られるような遺伝性のもののほか、特定の医薬品による副作用、あるいは歯垢・歯石による慢性的な刺激によって、歯肉がでこぼこと盛り上がり増殖してしまう状態です。原因に応じて必要な治療が行われます。

毎日の食事に直結しているお口の健康は、全身の健康維持の基本になります。また、犬の口の中の変化は分かりづらいことも多く、気付いたときにはひどくなってしまった、というケースも少なくなりません。そういった意味でも日々のオーラルケアは重要です。今さら・・・なんて思わずに、できることから実践してみましょう。

参照先
*1 https://www.pethealthnetwork.com/dog-health/dog-checkups-preventive-care/dr-ernies-top-10-dog-dental-questions-and-his-answers
*2 https://discover.hubpages.com/animals/What-Makes-a-Dogs-Gums-Pale
*3 https://www.akc.org/expert-advice/health/how-brush-dog-teeth/
*4 https://www.akc.org/expert-advice/health/stinky-dog-breath/
*5 https://www.banfield.com/wellness-at-banfield/dental-care
*6 https://discover.hubpages.com/animals/Causes-of-Lumps-and-Masses-in-the-Mouth-in-Dogs

執筆者 プロフィール

エリン・オリラ

エリン・オリラ

メッセージが持つ言葉の力は受け手に伝わり、時に大きな変化をもたらしうると信じるライター。インターネット、出版物と活動の場は広く、執筆内容はインタビュー、代筆、ブログ、独創的なノンフィクションなど、多岐にわたる。SEO(検索エンジン最適化)、ソーシャルメディア全般にも詳しい。フェアフィールド大学でクリエイティブ・ライティングのMFA(美術学修士)を取得。ツイッターは@ReinventingErin。さらに詳しい情報はホームページのhttp://erinollila.comで入手可能。

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