愛犬が伝えようとしていること

執筆: エリン・オリラ
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人間のコミュニケーションにおいて重要なのはおそらく言葉ですが、犬たちはボディ・ランゲージと音によって気持ちを伝えます。多くの飼い主の方が「お座り」「付いて」「待て」といった単純なコマンド(指示)で犬たちを訓練してきていると思いますが、このようなトレーニングを通して、犬が人間の言葉を理解し行動していると思うことは多々あるでしょう。犬が人間の言葉を理解してくれているのですから、人間の方も、犬のボディ・ランゲージを理解して"話の分かる飼い主"になれるように努める必要があるのではないでしょうか。

愛犬が人間の言葉を発してコミュニケーションを取り始める、なんて日が来るようになるまでは、我々は犬たちの些細なボディ・ランゲージを汲み取る必要があります。またボディ・ランゲージのみならず、彼らが発するいくつかの「音」のサインも、考えや感情を理解する手助けとなるでしょう。

パンティング

通常、落ち着いている犬の呼吸は、短頭種などの特殊な犬種を除けば静かなもので、その呼吸音が気になるということはないでしょう。しかし、犬が喜んでいる時や元気な時には、小刻みなパンティング(ハッハッという呼吸音)が見られます。「散歩に行こうか」と声をかけたら、きっとあなたの愛犬は嬉しさのあまり呼吸が少し荒くなるでしょう。また、犬は緊張している時もパンティングをします。

激しいパンティングには、時として注意が必要なことがあります。愛犬にとって何か悪いことが起こっているサインかもしれないからです。犬は高体温や極度の興奮によってオーバーヒートを起こしている 時、あるいは外傷や慢性疾患で苦しんでいる時にこのようなパンティングを呈します。愛犬が激しいパンティングをしていることに気づいたら、落ち着いて休ませ、涼しくしてあげるようにしてください。それでもパンティングが長引くようであれば、動物病院に連絡し、健康状態を確認してもらいましょう。

クンクン鳴く

「クンクン鳴く」というのは、その意味を見分けるのが難しい鳴き方です。Vetstreet は、クンクン鳴くのは「注意を引きたい」とか「ごはんが欲しい」とか、犬が何かを「要求する」手段の一つだと説明しています。興奮している、または元気が有り余っているという可能性もあります。ストレスに対する反応としてクンクン鳴く犬もいます。怪我や病気の犬が不快感を表すためにクンクン鳴くこともあります。犬の他の多くのボディ・ランゲージの手がかりと同じく、その他のサインがないかをチェックして、犬が何を要求してクンクン鳴いているのか理由を探し当てることが大切です。

犬と長く一緒に暮らしていると、クンクン鳴くときの違いをだんだんと聞き分けられるようになっていきます。他のことに気を取られている飼い主に注目してもらいたくて、犬が手がかりとなる行動と組み合わせてクンクン鳴くことがあります。例えば、クンクン鳴きながらドアの近くに座って、用を足したいことを知らせる犬もいます(これは、トイレトレーニング成功の例です)。一方、クンクン鳴くのに喜びや外出の必要性を示す微妙な手がかりが伴っていないときは、何らかの対処が必要な隠れた健康問題が存在しているかもしれません。犬は何が悪いかを伝えることができないため、大事を取って動物病院に連れて行き、獣医師に確認してもらいましょう。

吠える

犬が吠えるというのは、人が怒鳴るのとほぼ同じです。吠えている犬は自分の気持ちを表現しようとしており、彼らにとって吠えることは自分の感情を知ってもらう唯一の方法なのです。犬の吠える声の調子は様々で、威嚇するような吠え方のときもありますが、いずれにしても犬が吠えているときには必ず注意を向けるようにすることが重要です。絶え間ない矢継ぎ早の吠えは、多くが警報です。自分の縄張りに誰か(郵便の配達員さん等)が侵入したことに気づいて、家族にも(そして近所の他の犬にも)それに気づいて欲しくて吠えているのでしょう。大きく深い吠えは、たいていが見知らぬ人に対する 「それ以上近づかないで!私はあなたを信頼していないよ」という警告です。このようなときは彼らの警告に従い、無理に触ろうとしたり見つめたりするのはやめましょう。さらに、キャンキャンという吠え声は、犬が怪我を負っている場合によく発することがあります。犬がキャンキャン吠えている場合には、どこかを痛がっていないかよく確認してみましょう。状況によって緊急のケアが必要かもしれませんが、犬が怪我をしている時は警戒心も強くなっているので、助けようとする行為をかえって怖がり、攻撃的になるケースもあることを覚えておいてください。異常を感じた場合には自己判断せず、動物病院を受診しましょう。

遠吠えは、吠え声と同様にオオカミと同じ祖先から犬が受け継いだものです。これは伸びのある高めの吠え声で、自分の存在を広く知らせ、その地域にいる他の犬に連絡するためのものです。遠吠えは人間にはやかましくて迷惑なものかもしれませんが、犬にとってはコミュニケーション形式の1つに過ぎません。

歌う

犬がまるで歌っているような鳴き方をすることがあります。この鳴き方をするのは、基本的に彼らが嬉しいときです。飼い主がピアノを弾いているとき、飼い主が帰宅して嬉しさを伝えたいとき、飼い主との遊びが楽しいことを知らせたいときなどに犬が歌いたがることは珍しくはありません。この鳴き方は、彼らがご機嫌なことを飼い主に知らせるための手段の1つなのです。

ボディ

犬の姿勢や、行動が示すその他の手がかりは、犬が自分の感情の状態を人に知らせるための手段です。犬はどのような姿勢をとっていますか?自分を実際よりも大きく見せようとしていませんか?近づくと地面にかがんで縮こまっているような姿勢をとることはありませんか?

犬が攻撃的になっていて油断できず心配なときは、毛の動きを観察してみましょう。頭、首、胴体の背面の毛が(猫のように)逆立っているとしたら、彼はその対象(人やそのほか動物等)に自分から離れて欲しいことを伝えようとしています。おそらく緊張しているか怒っているのでしょう。これは、その対象に近づかれることを不快に思っていることを伝える、ボディ・ランゲージによる停止信号です。このサインが飼い主に向けられていた場合、それは必ずしも飼い主が対象というわけではなく、危険が間近に迫っていることを飼い主に知らせるための微妙な合図という可能性もあります。犬の嗅覚と聴覚は人間よりもずっと鋭いため、飼い主には分からない何かに犬が気づいて、警戒して注意を怠ってはいけないことを飼い主に知らせようとしているのかもしれません。


犬の尻尾には、犬の気持ちを読み解く手がかりとなるボディ・ランゲージがたくさんあります。尻尾をしきりに振っていますか?そんな時は、犬はたいてい喜んでいるか元気いっぱいなのでしょう。尻尾を脚の間に挟み込んでいますか?これは恐怖のサインで、緊張を意味していることもあります。尖った尻尾とも呼ばれる警戒してピンと立った尾は、犬がとても慎重になっていることを意味します。この姿勢は猟犬が近くに獲物がいることを伝えるシグナルであることが多く、このようなときは静かに注意しながら慎重に近づくのがよいでしょう。また、犬が物理的により大きなスペースを占めることによって優位性を示そうとしているサインのこともあります。Welsh Corgi with ears up sitting facing away.

姿勢

犬の全体的な姿勢は、しばしば彼らの感情や意図を知らせてくれます。飼い主から離れて背中を丸め、ボディを床に近づけたままでいる場合、その犬は飼い主に服従しているか、または怖がっています。筋肉を緊張させて、自分を実際よりも大きく見せようとしている場合、その犬は群れの頂点に立とうとして権勢を示そうとしています。このような場合には、無理に近づこうとえず、不安を落ち着かせリラックスさせてあげることに努めましょう。

犬の気分が落ち着いているときは、姿勢も非常にリラックスしたものになります。四肢は等しくしっかりと地面に着き、筋肉に緊張は見られません。飼い主と一緒にいることが心地よく、ストレスが何もないときは、ゴロンと仰向けになって、なでられるのを待つことがあります。

犬が鼻を押し付けようとすることで、愛情表現を示すこともあります。このサインは、犬が飼い主にもっと注意を向けてほしい時や何かを要求する時に見られることが多く、犬は「なでて、なでて」と言わんばかりに鼻を飼い主の手の下に差し入れてくるでしょう。

ご存知のように、犬の頭の形と大きさは品種によって様々です。耳は、長くて垂れ下がっていることもあれば、短くて立っていることもあります。耳、目、口の見かけに関わらず、頭をよく見ることで手がかりを探ると、犬のボディ・ランゲージについて多くを知ることができます。

頭の位置は、犬がどのくらい飼い主を理解しようとしているかを示すサインでもあります。犬に話しかけたとき、愛犬が頭を少し傾けるのを見たことがありますか?Vetstreet の報告によると、これは多くの場合、飼い主の声がもっとよく聞こえるようにするための手段に過ぎないようです。犬は飼い主の真似をするのがとても得意なので、頭を傾けるのは、飼い主に共感していることを示すシグナルの可能性があり、言っていることをもっとよく理解しようとしているのかもしれませんし、あるいはおやつをもらえるとか優しくなでてもらえるといった、何か犬にとって良いことにつながるのを単に分かっているだけなのかもしれません。いずれにしても、犬の「頭を傾ける(首をかしげる)」仕草の多くは、飼い主のことを理解しようとしていることを示すシグナルだということです。

気分が落ち着いている犬は、口をわずかに開いてリラックスさせています。落ち着いていて幸せを感じている犬は、飼い主を舐めようとすることもあります。口を閉じている犬や顎をギュッと噛みしめている犬は緊張しています。(本来はあまりしたくないけれども仕方なく)服従的な態度をとっている犬では、唇を舐めたりあくびをすることがあります。犬は自分を落ち着かせるための生理学的な方法としてこのような仕草をしますが、これは犬が無理強いされている状態を知らせる警告でもあります。

犬が歯を見せながらこのような仕草をするときは、犬が危険を感じ取っていて、自分自身や飼い主を守りたいと思っていることを知らせています。犬が唸っているときや歯をむき出しにしているときは、慎重に近づくか、むしろ離れた方がいいかもしれません。

人と同じように、犬も顔の表情は目によって大きく特徴付けられるので、直接犬を見て理解するようにしていれば、目が訴えている感情を見分けやすくなっていきます。これは、犬の目を見ることですべての感情が分かるという意味ではなく、様々なボディ・ランゲージを総合して判断することが大切です。犬がリラックスして落ち着いているときの目は普通の形をしています。予想よりも大きく見える目は、その犬が恐怖または脅威を感じているサインです。ただし、攻撃的な犬の目は大きめに見えることがあるため、犬のそのほかのボディ・ランゲージのサインを必ず探るようにしてください。気分がよくない犬は目を細めることがあり、目が垂れ下がっているように見えることもあります。

耳の状態

後ろに倒れている耳は、犬が服従していること、またはなでられる準備が整っていることを意味します。しかし、耳が倒れていると同時に歯を剥くなどの他のボディ・シグナルが存在するときは、犬が危険を感じ取って防衛モードに入ろうとしているサインの可能性もあります。一方、耳が立っているときは、色々な意味が含まれます。単純に犬が何かに集中していることを意味していることもあれば、警戒していたりする場合もあります。例えば、犬が昼寝をしている部屋で何らかの活動が行われた場合、その犬のボディには何の変化も見られないのに、耳だけがさらにピンと立つということがあります。これは、単に周囲に聞き耳を立てて、関心を向けたほうがいい状況かどうかを見極めようとしているのです。目覚めている犬が耳を立てて、突然集中したように見えるのに特に何もないときは、こちらも同じく聞き耳を立てています。耳以外の表情やボディ・ランゲージを合わせて判断するようにしましょう。なお、耳が立って前に傾いているときは、その犬が何かに刺激されて興奮していて、おそらく攻撃的になっているサインです。

「立ち耳」の犬は、一方の耳を立てて、もう一方の耳を倒していることがあります。これも犬が聞き耳を立てているときに時々見られる耳の状態ですが、このときはそれほど熱心に何かを探索しているわけではありません。ただし、立ち耳の犬の耳が急に下がったままになってしまったり、頭を振る、耳を気にする等の症状がある場合には耳にトラブルが起きている可能性もあるので、動物病院を受診しましょう。

激しいパンティングや目の垂れ下がりなど、愛犬のボディ・ランゲージに変化が見られたときは、直ちに獣医師に連絡してください。怪我や病気があって、できるだけ早く治療が必要なケースもあります。普段から犬をよく観察し、犬の気持ちがわかる飼い主を目指しましょう!

Contributor Bio

Erin Ollila

エリン・オリラ

メッセージが持つ言葉の力は受け手に伝わり、時に大きな変化をもたらしうると信じる、ペットに夢中のライター。その著作はインターネットや出版物の至る所で目にすることができます。ツイッターは@ReinventingErin。さらに詳しい情報はホームページのhttp://erinollila.comで入手可能です。

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