キャットフードの味とタイプ:猫は今のフードが好き?

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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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猫は、暗闇の中でも物を認識することができる暗視能力や、並外れたジャンプ力、といった優れた能力をもつことに加えて、さらには"猫に九生あり"なんていうことわざ(何度でも生き返るという意味)でもよく知られていますね。一方、味覚に関してはどうでしょうか。キャットフードが猫にとってどんな味がしているのか・・・、とても興味深い内容ではありますが、残念ながらそれほど実証されているわけではありません。

人間も猫も、味は舌やその周囲にある味蕾という器官で感じます。実際のところ、この味蕾の数や構造の複雑さについて、猫は人間には遠く及ばないことが研究者によって明らかにされています。それは、おそらく猫という動物の進化と関係していると考えられています。 Scientific American によると、猫は甘味に対する味覚受容体の機能がない唯一の哺乳動物とです。猫には、酸味、苦味、塩味、うま味(風味)、そしておそらく脂肪に対する味覚受容体に加えて、私たち人間にはないアデノシン三リン酸(ATP)に対する味覚受容体もあるようです。この味覚の全貌は完全には解明されていませんが、ATPはすべての生きている細胞にエネルギーを供給する化合物であるため、肉類としてのシグナルになっているようです。

このような研究結果を踏まえると、ますます猫の味の感じ方には謎が深まりますね。そんな謎多き猫の味(の好み?)へのこだわりのために、ウェットとドライ、ツナ味やチキン味、シチュータイプやゼリータイプなど、さまざまなタイプのキャットフードが出回っています。ここではそれぞれのタイプのフードの特徴についてご紹介します。キャットフードをよく理解して、愛猫の好みに合うお気に入りを見つけてあげてくださいね。

キャットフードのタイプ

市販されているキャットフードには主に3つのカテゴリーに分けられ、それぞれにさまざまな味があります。

ドライタイプ

メルク獣医マニュアルによると、ドライフードは米国やその他の国々で生産されているキャットフードの中で最も人気のあるタイプです。カリカリ(キブル)とも呼ばれるドライフードは、水分を約10%程度しか含んでおらず、残りの約90%が内容成分です。さまざまな風味のものが揃えられていますし、室内猫用や毛玉対策用など目的に合わせて特別なレシピで作られているものもあります。噛むことにより 歯石予防に役立つように設計されたドライフードもあります。

ウェットタイプ

ウェットフードには70~80%近くの水分が含まれています。そのため、ウェットフードの開封後は一般的には冷蔵保存が必要です。1回で食べきってくれると助かりますが、ちょこちょこと少量ずつ食べる場合も多いかもしれません。ウェットフードが食べ残されたまま時間が経つと、品質的にも問題がありますし、表面が乾いてカサカサになり味も落ちてしまいます。

セミモイスト(半生)タイプ

このタイプのキャットフードは、その名のとおり、ドライのようにカリカリではなくウェットほどの水分は含んでいない、柔らかい粒状のフードです。小袋入りで売られていることが多く、水分を25~40%程度含んでいます。半生がウェットよりも優れている主な点は、通常、冷蔵保存が不要で、保存料を含んでいるので長持ちするという利便性でしょう。

猫の好み

  • 風味: どんなに味にうるさい猫ちゃんにも食べてもらえるように、 キャットフードの風味 はマグロやサーモンのような魚類からチキンなどの肉類まで豊富に取り揃えられています。しかし、実は猫のフードの好みにはフードの栄養の方が重要で、味(風味)はそれほど重要ではないのかもしれません。 「Food & Wine」誌 では、猫は初めは風味でフードを選んでいるように見えたが、そのうちに風味に関係なくタンパク質と脂肪の比率が理想的なフードを探すようになった、という2017年の科学的研究を紹介しています。そうはいっても、新しいフードを試す時は、いきなり大袋入りのフードを買うのではなく、まずは獣医師からサンプルをもらったり一番小さな袋を買ったりして、猫の好みに合うか確かめてからのほうがいいでしょう。
  • 食感/形状:一般的に、猫はドライや半生よりも柔らかいウェットタイプを好む場合が多いようです。猫がなぜウェットフードの方を好むのか完全には分かっていませんが、ドライフードにはない独特の風味や素材そのものの香りがあるのかもしれません。一方でウェットフードのデメリットとしては、日持ちしませんし、すぐに食べてくれず時間が経って乾き始めてしまったらもはや食べてもらえない、というのは猫ちゃんあるあるなことでしょう。
  • 温度: Cook's Illustrated  によると、ヒトの味蕾のタンパク質は温度にとても敏感で、温かい(熱すぎない)温度のほうがよりうまく働くことが研究者らによって発見されています。つまり、食べ物が温かいほうが美味しく感じられる、ということです。この研究は人間だけに的を絞ったものですが、猫にとっても当てはまるのかもしれません。食べ物に温度が加えられると-それを誰が食べているかにかかわらず-香り分子が放出されて拡散し、その魅力がさらに増すことになります。ただし、猫の食事を温める場合には、加熱はごく短時間にして、全体の温度が熱くなりすぎていないことを必ず確認してから与えるようにしてください。
  • サプリメントとトッピング: 液状のサプリメントだったり、粉末状のトッピングは、特に猫が慢性疾患などで食欲が落ちているときには役立つこともありますが、一般的に健康な状態で総合栄養食を与えている場合には、あえて積極的に与える必要はありません。総合栄養食のフードはすでに栄養バランスが取れています。栄養素の過剰摂取は比較的よくある問題で、欠乏症と同じくらい体に有害になるケースもあります。サプリメントやトッピングを使ってみたい場合には、まず獣医師に確認してもらいましょう。

キャットフードの選択について獣医師に尋ねておきたいこと

愛猫に最適なフードを選ぶために、獣医師に尋ねておきたいことがあります。健康診断か病気の診察かにかかわらず、受診のたびにフードの選択肢について獣医師と一緒に検討するようにすることは良い習慣になります。獣医師には次のような質問を尋ねてみるといいでしょう。

  • この子は今のフードの味を気に入ってくれているのでしょうか。
  • この子のライフスタイルや将来の健康リスクを考慮した場合、お勧めのフードはありますか。
  • この子のフードの種類を変えたほうがいいような診察所見や検査結果は出ていないでしょうか(毎年の健康診断は猫の健康状態を確認できる素晴らしい習慣です。病気のより早期発見に役立ちます)。
  • この子の体型は太りすぎたりやせすぎたりしていませんか。
  • この子の皮膚に異常はありませんか。歯に心配はありませんか。消化器や泌尿器に問題はありませんか。食物アレルギーはありませんか。

結局のところ、どの猫にも合う万能のフード、食感、風味などありませんし、キャットフードが猫にとってどんな味がしているのかを正確に知ることができる方法などは存在しません。愛猫にベストなフードを選ぶためには、サンプルを試して猫の好みを知ることに加えて、獣医師に相談することも必要です。「あなたはあなたが食べたものでできている」という格言は、私たちの家族の一員である猫たちにも当てはまります。正しいフードを選択することは、猫が、より健康に、より長生きするための手助けになるのです。

Contributor Bio

レイシー・シェイブル獣医師

レイシー・シェイブル獣医師

レイシー・シェイブル獣医師は、小動物獣医師であり、起業家であり、獣医学ジャーナリストでもあります。陽光降り注ぐフロリダ州サラソタの地で、息子、世界最大のスタンダード・プードル、そしてトイレトレーニング済みの2匹の猫と暮らしています。

 

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