猫は卵を食べられる？

猫は食へのこだわりが強い傾向があります。愛猫の食いつきがいいキャットフードを探して、魚やチキンなどいろいろなものを与えたことがある飼い主さんもいるでしょう。嗜好性アップや栄養補給のためにトッピングを試したこともあるかもしれませんね。でも、猫に卵を食べさせても大丈夫でしょうか？　答えはイエスです。ただし、卵のメリットとリスクを両方知っていることが条件です。いつもの食事に加熱した卵を加えたら、猫ちゃんが大満足する素晴らしいご馳走になるでしょう。

卵のメリット

Petchaは、猫の「スーパーフード（栄養バランスに優れ、栄養価も高い食材）」のリストに卵を入れています。リストを作った獣医師のレイシ―・シェイブル博士も、飼い猫に週1回スクランブルエッグを少し与えていると話します。卵に含まれるタンパク質は猫にとって消化しやすく、引き締まった筋肉の維持に役立つアミノ酸も豊富に含まれているのです。

加熱していない生卵のリスク

レストランの朝食のようなスクランブルエッグにする時間がない場合、生のまま与えても大丈夫でしょうか？それは　「絶対にダメ」だとアメリカ獣医学協会は注意をうながします。猫も人間と同じように、生卵（や生肉）を食べることによって、サルモネラ菌や大腸菌に感染するリスクがあるからです。これらの病原菌による中毒症状はさまざまで、嘔吐、下痢、元気がなくなるなどの症状が起きます。場合によっては死に至ることもあります。

アメリカ食品医薬品局（FDA) の動物用医薬品センターは、犬や猫に「生食」を与える飼い主が増えていることに警鐘を鳴らしています。猫の栄養面でも、サルモネラ菌や大腸菌への感染という危険性からも、生食は推奨されないからです。生肉についている病原菌は、ペットに食事を与えたり食器に触ったりすることで人間にもうつる可能性があり、なかでもサルモネラ菌による食中毒は、幼児や高齢者、免疫不全の人にとって危険です。家族の安全ためにも、肉や卵を調理したあとは必ず手を洗い、生の食品やその他の猫にとって有害な人間の食品に近づけないようにしましょう。

サルモネラ菌と大腸菌の危険に加え、Casterは卵に含まれるアビジンと呼ばれるタンパク質についても注意をうながしています。アビジンは、猫の健康な皮膚と艶やかな被毛の維持に必要なビオチンというビタミンの吸収を阻害するからです。ただ、加熱をすればアビジンは変性してビオチンに影響しにくくなり、卵の栄養をしっかり摂取することができます。

初めて卵を与えるときは様子を見る

どんな食べ物でもそうですが、獣医師に確認しないうちは猫に絶対に与えないでください。初めて卵を与える場合は1〜2日ほど体調や排泄物の変化をしっかり観察し、いつもと違う様子がないか見守りましょう。タフツ大学カミングズ動物医療センターによると、卵アレルギーを起こす猫や犬もいるからです。このような食物アレルギーは、皮膚や耳のかゆみ、下痢や嘔吐の原因になることがあります。とはいえ、食物アレルギーのあるペットの割合は全体から見ればわずかである、とのことです。スーパーフードに挙げられている卵を食べる大きなメリットに比べると、過剰な心配をしなくてもいいかもしれませんが、万が一に備えて食後の様子をチェックすることが重要です。

愛猫が卵を気に入ってくれるか試してみたくなりましたか？　まずは獣医師に相談して与えても大丈夫か確認してから、スクランブルエッグやゆで卵、ポーチドエッグにして与えてみましょう。ただし、卵はあくまでおやつやトッピングで、必ずバランスの取れた食事の一部（1日に必要なカロリーの10％程度が目安）としてあげること。卵以外は、ヒルズ サイエンス・ダイエット アダルトなど、高品質で栄養バランスの取れた食事を選ぶことが重要です。食いつきや嗜好性をアップさせるだけでなく、猫の成長・健康・活力を増進する食事を与えましょう！

筆者紹介

カーラ・マーフィー

 

カーラ・マーフィーは、毎年のように総積雪量で全米一位を争っているペンシルベニア州エリー在住のフリーランス・ライターで、マディという名前の、雪の中で遊ぶのが大好きなゴールデンドゥードルと暮らしています。