シニア用フードへの切り替えは、一般的に7歳頃が目安です。ただし、猫の体重や活動量、健康状態には個体差があるため、年齢だけで決めず、体調などを見ながら獣医師に相談して決めることをおすすめします。
現在のフードから切り替える場合は、現在のフードに新しいフードを少量混ぜることから始め、7〜10日ほどかけて新しいフードの割合を少しずつ増やすようにしましょう。
「シニア期に入った猫がご飯を食べなくなった」「どんなフードを選べばいいか分からない」という悩みはありませんか。
猫の健康状態や必要な栄養は、年齢とともに変化します。そのため、そのときの健康状態に合わせた適切なフードを選び、あまり食べられない猫には食事の工夫も行いましょう。
この記事では、高齢猫のフード選びのポイントから、食欲が落ちたときの対処法、病院を受診すべき兆候まで分かりやすく解説します。
猫は、一般的に7歳以上になると「シニア」「高齢」に分類されることが多いです。ここでは、年齢別の分類と特徴を紹介します。
7歳から10歳のシニア期の猫は、人間の44〜56歳に相当するとされています。
この時期は外見の変化こそ少ないものの、運動量の低下などに伴って基礎代謝が落ち、太りやすくなる傾向があります。身体の衰えも少しずつ始まるため、定期的な健康診断を受け始めたい年齢です。
11歳から14歳までの猫は、人間の60〜72歳に相当するといわれています。
この年齢になると、被毛のツヤが少なくなり、活動量が減って寝る時間が増えるなど、加齢による変化が見られるようになります。慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症などの疾患リスクも高まるため、体調の変化に注意が必要な時期です。
15歳以上の猫は、人間の76歳以上に相当するとされています。
筋肉量の減少や歯のトラブル、認知機能の変化などが現れ、生活のサポートが必要になることもあります。噛む力や飲み込む力が低下している場合は、フードをやわらかいものに切り替えたり、1回あたりの食事量を減らして回数を増やしたりといった工夫をしてみてください。
猫の年齢区分やシニア期に入る目安は、「猫のシニア期はいつから?」でも詳しく解説しています。
高齢猫・老猫になると、消化機能の低下や、筋肉量と代謝の変化、歯や口腔の問題などが見られるようになります。
猫が高齢になると、消化酵素の分泌が減るため、若い頃と同じフードでは栄養を十分に摂取できず、体重が落ちたり便の質が悪くなったりすることがあります。
特にたんぱく質と脂質の消化吸収効率が悪くなる傾向があるため、高齢猫向けキャットフードには、消化しやすい高品質なたんぱく質が使われています。高齢でも食べやすいように粒のサイズや硬さに配慮されているものが多いですが、ドライフードを食べにくそうにしている場合はウェットフードに切り替えるのもおすすめです。
高齢猫になると筋肉量が減り、代謝も落ちるため、7〜10歳頃の猫は肥満になりやすい傾向があります。
しかし11〜12歳を超えると栄養の消化吸収効率が悪くなるため、太りにくくなる(痩せやすくなる)傾向があります。
体重が増加傾向にある場合は低カロリーのフード、痩せてきた高齢猫には高たんぱく・高カロリーで嗜好性の高いフードなど、体重や身体の変化に合わせて適したフードを選択しましょう。
高齢猫は、歯周病や歯石、歯の欠損、口内炎などのために、噛むことや飲み込むことが困難になる場合があります。
3歳以上の多くの猫に歯周病の兆候があるとされており、シニア猫になるとさらにその割合が高まります。「ドライフードを食べなくなった」「顔を触られるのを嫌がる」といった様子が見られる場合は口腔トラブルを抱えている可能性があるので、食べやすいウェットフードに切り替えてみるのもよいでしょう。
高齢猫で水を飲む量や尿量が増えた場合、慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などが隠れている可能性があります。
中でも腎臓病(慢性腎臓病)は、高齢猫で特に注意したい疾患の一つで、罹患した場合は、腎臓に影響のあるリンやたんぱく質の量を調整した療法食が使われることがあります。健康を維持するために、獣医師の指導のもとで適切なフードを選びましょう。
食事以外に注意したい症状や病気については、以下の記事で解説しています。
老猫・高齢猫がご飯を食べなくなった場合、加齢に伴う身体の不調や、環境の変化が主な原因と考えられます。
老猫・高齢猫があまり食べなくなってしまったときは、フードの温度・匂い・形状・与え方の4点を工夫すると食べられるようになることがあります。具体的には、以下のような方法があります。
ただし、食べない状態が続く場合は、家庭での工夫だけで様子を見続けず、動物病院に相談しましょう。
老猫・高齢猫があまり食べなくなり、以下のいずれかの症状が見られたら、迷わず動物病院を受診してください。
絶食状態が続くと、体に蓄えられた脂肪が急速に肝臓へ運ばれ、「肝リピドーシス(脂肪肝)」という命に関わる肝障害を引き起こす危険があります。特に肥満傾向のあった猫やシニア猫は短期間の絶食でも発症しやすいため、「もう少し様子を見よう」と放置せず早めに受診しましょう。
シニア猫・高齢猫向けキャットフードを選ぶ際は、カロリーや栄養の特徴を確認し、獣医師に相談のうえ、そのときの体調に合うものに決めましょう。
キャットフードを選ぶ際は、まずカロリーと栄養を確認します。
太り気味の猫には、必要な栄養を保ちながらカロリーを抑えたフードが適しています。獣医師の指導のもと、健康的な減量に適した特別療法食を選ぶとよいでしょう。
痩せている猫には、栄養バランスが整ったフードを選び、少しでも多く食べられるように工夫して与えるようにしましょう。
消化しやすいフードは、原材料に良質な動物性たんぱく質が使用されており、脂肪や食物繊維の量が調整されています。消化器が弱くなりやすいシニア猫には、消化のよさに配慮して栄養設計されたフードを選ぶとよいでしょう。
ドライフードを噛みにくそうにしている場合は、小粒のフードやウェットフードを用意したり、ドライフードをぬるま湯でふやかしたりする方法もあります。
なお、急に食べなくなった場合は口腔疾患や内臓疾患の可能性もあるため、動物病院を受診してください。
たんぱく質は、高齢猫の筋肉や被毛、臓器などを維持するために欠かせない重要な栄養素です。加齢にともなって筋肉量が落ちやすくなるため、健康なシニア猫には高品質なたんぱく質が十分に含まれたフードを与えるのが理想です。
ただし、慢性腎臓病などの持病がある場合、たんぱく質やリンの過剰摂取が腎臓の負担となることがあるため注意が必要です。血液検査などで腎機能の低下が指摘されている場合は、自己判断で高たんぱくフードを与えず、必ず獣医師の指示に従って適切な食事(腎臓ケア療法食など)を選ぶようにしましょう。
慢性腎臓病と診断された猫には、腎臓ケア用の療法食が推奨されることがあります。
また、水分を多く含むウェットフードは、食事から摂る水分量を増やせるため、腎臓の健康に配慮している時期におすすめです。ただし、自己判断をせず獣医師に相談のうえ選ぶようにしましょう。
慢性腎臓病の症状や治療、食事管理については、以下の記事で解説しています。
シニア猫に必要な栄養については、以下の記事でも詳しく解説しています。
高齢猫用フードは、猫の年齢や体重、健康状態に合わせて選べるようにラインナップされています。新しいフードに急に変更すると、食べなくなったり、下痢や嘔吐が起きたりすることがあるため、段階的に切り替えるようにしましょう。
高齢猫用フードへの切り替えは、現在のフードに新しいフードを少量混ぜる方法で、7〜10日ほどかけて行います。
切り替えの目安は以下のとおりです。
1〜2日目:現在のフードを約75%、新しいフードを約25%にする
3〜4日目:現在のフードと新しいフードを約50%ずつにする
5〜6日目:現在のフードを約25%、新しいフードを約75%にする
7日目以降:新しいフードを100%にする

ただし、フードの切り替え中に便が軟らかくなる、嘔吐する、食欲が落ちるといった変化が見られたら、新しいフードの割合を増やさず、前の段階に戻して体調が落ち着くまで様子を見ます。それでも改善しない場合は、切り替えを中止して動物病院に相談してください。
また、高齢の猫は警戒心が強くなり、新しいフードを受け入れにくくなることがあります。無理に切り替えると拒絶される恐れもあるため、時間をかけて少しずつ進めましょう。食べない場合はいったん前のフードに戻し、混ぜる量を数粒ずつ増やすなど、それぞれのペースに合わせて慎重に切り替えていくことをおすすめします。
ウェットフードとドライフードは、高齢猫の食欲、噛む力、水分摂取量に合わせて使い分けます。
ウェットフードは水分を多く含み、やわらかく香りが立ちやすいため、ドライフードを噛みにくい猫や食欲が落ちた猫にも与えやすいのが特徴です。また、食事からの水分摂取量を増やせる点もメリットの一つといえるでしょう。
ドライフードは保存しやすく、1日に必要なエネルギーを少ない量で摂れるのが特徴です。歯や口腔に問題がなく、十分に噛んで食べられる猫に適しています。
ヒルズのシニア猫用キャットフードには、対象年齢7歳以上のものや11歳以上のものなどがあります。年齢を重ねた猫の健康維持に配慮して栄養設計されており、体調に合わせて選べるようにラインナップされています。
サイエンス・ダイエット シニアは、7歳以上の高齢猫を対象とした総合栄養食です。
シニア猫の健康維持に配慮して栄養が調整されており、肥満や尿路の健康、毛玉ケアなど目的に合わせて選べます。
ドライフードとウェットフードがあり、 チキン、サーモンから好みに合わせて選ぶことが可能です。
11歳以上の高齢猫用フードは、年齢を重ねた猫の健康維持に配慮して設計されており、毎日の食事から必要な栄養を摂れる総合栄養食です。
なお、サイエンス・ダイエットには、14歳以上を対象としたフードも用意されています。ただし、年齢はあくまでも目安なので、獣医師に相談して健康状態に合うものを選びましょう。
ヒルズでは、猫の年齢や健康状態、好みに合わせたシニア猫用フードを取りそろえています。各商品の種類や特徴は、「ヒルズのシニア猫用フード一覧」からご覧いただけます。
ここからは、高齢猫・シニア猫のフードや食事について、よくある質問に回答します。
シニア用フードへの切り替えは、一般的に7歳頃が目安です。ただし、猫の体重や活動量、健康状態には個体差があるため、年齢だけで決めず、体調などを見ながら獣医師に相談して決めることをおすすめします。
現在のフードから切り替える場合は、現在のフードに新しいフードを少量混ぜることから始め、7〜10日ほどかけて新しいフードの割合を少しずつ増やすようにしましょう。
老猫がご飯を食べない時は、ウェットフードを人肌程度に温めたり、ドライフードをぬるま湯でふやかしたりすると食べやすくなります。
食欲があっても一度にたくさん食べられないときは、1回の量を減らして食事回数を増やすとよいでしょう。
シニア猫用フードは、成猫用フードと比べて、加齢による体重や筋肉量、消化機能などの変化に配慮して栄養設計されています。
商品によって異なりますが、消化しやすいたんぱく質を使用したものや、カロリー、リン、ナトリウムなどを調整したものがあります。獣医師に相談しながら、体調に合わせて選びましょう。