猫の預かりボランティアになる前に知っておきたいこと

執筆: カーラ・マーフィー
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猫の預かりボランティアとは、飼い主がいない保護された猫を、新しい飼い主が決まるまで、自宅で一時的に預かりお世話をするボランティア活動のことです。この活動を長年続けているフィオーナ・ブラントンさんは、2006年に初めて、ボランティアで1頭の妊娠している猫の養育を引き受けました。そして子猫が生まれると、すっかり虜になってしまったそうです。「6頭の子猫が生まれましたが、もうその可愛さったらありませんでした。本当に楽しい体験でした。」と彼女は話します。そんな猫たちの幸せのお手伝いに参加してみませんか?

預かりボランティアは何故必要なのでしょうか?

ブラントンさんは最初のママ猫以来ずっとこの活動を続けていて、ペンシルバニア州エリーの自宅ではこれまでに何十匹を超える猫を養育してきました。中にはほんの2~3週間しかいなかった子もいれば、何年もいた子もいました。

ブラントンさんによると、アメリカにある動物保護施設の多くは、収容スペースの問題などで、少なくとも一部の猫の世話を預かりボランティアの家族に担ってもらっているそうです。彼女は現在、エリーの町にあるBecause You Care, Inc. (BYC) という保護団体組織の理事会会長を務めています。BYCは、野良になったり捨てられたりしたペットの保護、治療、新しい飼い主の斡旋を行っている保護団体です。BYCが独特なのは、この保護施設に来たすべての猫を、譲渡が決まるまでボランティアの家族に預かってもらっている、というところです。BYCは、猫を保護施設の環境ではなく一般の家庭環境に置くことにより、猫の性格や気質、健康状態を正確に把握しやすくなると考えています。それは、BYCのスタッフがその猫にぴったり合う家庭に紹介しやすいということにもなります。

Purebred ruddy somali cat looking up staring at the camera.

保護施設に所属する

猫の預かりボランティアを希望する場合、まずは保護施設に所属する必要があります。各保護施設によって預かりボランティアに際して条件が設けられているので、その条件に見合っているかどうかの承認を得なければなりません。必要事項を書類に記入して提出することのほか、必要なトレーニングの受講、ペットを飼育する環境や設備が整っているかの確認ために訪問チェック受ける、といった事項があります。主な条件には次のようなチェック項目があります。

  • 他のペットを飼っているか?ペットたちは、所定のワクチン接種や寄生虫の駆除等の予防医療をきちんと受けており、なおかつ、別のペットを受け入れるのに好ましい気質の持ち主でなければなりません。
  • 預かる猫専用のスペースを確保できるか?新しく預かる猫にはその子だけを隔離して飼育できるような部屋を準備することが重要だと、ブラントンさんは言います。それには、新しい猫がまだワクチン接種を終えていない等の感染症の問題や、飼い主不在時の行動が不明なため、猫にとって危険なものや壊されて困るもの置いていない、あるいはプライべートな空間を提供するため、などの理由があります。
  • 家族全員の同意が得られているか?一時的に世話をするだけといっても、新しくペットを迎い入れることは家族全員の協力が必要です。
  • 猫の養育のために多くの時間を割くことや、猫を優先的に考えたスケジュール調整ができるか?保護された猫が一般家庭で飼育されることにより社会化され、よりふさわしい家庭猫になるための大事な時間ですから、できるだけ在宅し猫と多くのコミュニケーションをとることが望まれます。
  • 猫の養育のためのトレーニングをする覚悟と忍耐力があるか?子猫はもちろん、時には家庭猫としての教育を受けることなく成長した成猫を面倒をみるということもあります。いつも隠れて出てこない、威嚇して触れない、尿スプレーの問題等々、解決が困難な問題が起こることもあります。そういった問題にじっくり向かい合う覚悟と忍耐、そして何よりも猫を思う優しさが必要です。

保護施設への確認事項

所属する保護施設を選ぶにあたって、こちらからも聞きたいことは質問して確認しましょう。具体的には以下のような内容があります。

  • フードやトイレなどの消耗品の支給や、医療費がかかった場合の補助はありますか?
  • 保護施設に提携している動物病院がありますか?
  • 飼育を希望する飼い主のために家を開放したり、譲渡会に猫を連れて行ったりすることを求められますか?
  • どうしても相性が悪くてうまくいかないときは、猫を引き取ってもらえますか?
  • 引き受けたい猫を自分で選ぶことはできますか?
  • 引き受けた猫を飼い続けたいと思ったとき、譲渡してもらうことはできますか?

こういった質問に対する回答は保護施設によって異なります。その保護施設のポリシーや方針が納得できるものかどうかを確認してから先に進むようにしてください。

Gray cat with bright yellow eyes nursing kittens

必要な備品

預かる猫を迎い入れる前に、世話をするのに揃えておかなければならないものをリストアップしておきましょう。保護施設によっては、これらの一部あるいは全部を支給してくれる場合もあります。

  • キャリー:猫を移動するための必須アイテムです。動物病院や譲渡会に連れて行く必要があるかもしれません。
  • 高品質のフード:保護施設から指定される場合もあります。基本は猫の年齢や体質、健康状態に適したものを選びます。
  • 猫用トイレと猫砂:子猫を引き受ける場合、子猫の大きさによっては一般的なトイレをまたぐことができないこともあります。代用トイレとして、食器や食材の水切りカゴがおすすめです。大きさ的にちょうどよく、しかもリーズナブルなので準備しやすいといった利点があります。
  • 猫用おもちゃ:猫を社会化することが大事な目的のひとつですから、遊びに必要なグッズは不可欠です。
  • 爪とぎ:爪とぎはすべての猫が持つ本来の自然な習性です。壁など望ましくない場所にされてしまう前に、より爪とぎに適する場所を用意して、そこで爪とぎをするように促します。

特殊な事情を持つ猫の養育

猫を預かる期間はケースバイケースですが、何らかの疾患や問題を抱えている場合は、健康な場合と比べると、当然ながら長くなる傾向があります。ブラントンさんによると、「健康な猫の場合はほんの2~3週間ということもあるけれけども、特殊な事情を持つ猫は何年も預かることもあります。」と言います。ブラントンさんは、最近、猫免疫不全ウイルス(FIV)陽性の猫を引き受け、おそらく最期までその猫を面倒を見ることになるだろうと予想しています。その雄猫は、前の飼い主家族が引っ越すときに置き去りにされてしまった猫でした。

「彼は高齢で、しかも片眼を失っていて、食べるのにも本当に苦労しています。つまり彼には、今もこれからもずっと私のホスピスケアが必要なのです。」と彼女は言います。

米国動物虐待防止協会ASPCA は、この種のケアを「フォスピス(fospice)」と呼んでいます。この言葉は、飼い主のいないペットを一時的に預かって養育する(foster)ことと、高齢や病気、あるいは問題行動などでペットとして引き取ってもらうことが難しい動物を最期まで看取る場所(hospice)の両方を意味する造語です。

ASPCAは、「譲渡を待つ猫たちの中には、積極的に譲渡が推奨されるほど医学的に健康とは言えないけれども、正しい医療を受けながら穏やかに老後を過ごすことのできる温かい家庭環境を必要としている子たちがいます。このフォスピスプログラムには、そんな猫たちのために、優しい愛情と家庭環境を提供してくれる家族が必要なのです。」と呼びかけています。FIVのような特殊な事情をもつ猫の預かりを申し出ると、多くの保護施設は飼育に当たって必要な投薬の仕方や適切な食事についてのトレーニングを積極的に行ってくれることでしょう。

別れがつらい?

預かりボランティアとして一番つらい瞬間は、新しい家に引き取られて行く猫を見送るときだとブラントンさんは言います。

「預かりボランティアとして動物を養育することは、とてもやりがいのあることです。でも、本当に心が通じ合った動物とやがて離れてしまうのは、やっぱりちょっと複雑な感情になります。そんなときは、また別の子を幸せにできるお手伝いができるんだと思うようにしています。」とブラントンさんは続けます。預かりボランティアは、猫たちに家庭で過ごすことで落ち着いて穏やかな気持ちをもつようになること、そして家庭猫としての社交性を身に付けてもらい、新しい家庭で猫が幸せになるためのサポートをしているのです。

多くの保護施設では、預かりボランティアから本当に引き取って新しい飼い主になることを許可していると思います、とブラントンさんは言います。

ブラントンさん曰く、「こういうことはよくあることです。どうしても離れられないのですから仕方ないですね。」と笑います。

ブラントンさん自身、初めは一時的に預かっていた猫を何頭か引き取っています。

「猫たちはやっとの思いで人間の心に触れ、歩み寄ってきたのです。離れがたい猫たちと出会った時は、ここがこの猫たちの本当の場所であることを、直感的に感じているはずですよ!」と彼女は言います。

Contributor Bio

Kara Murphy

筆者紹介

カーラ・マーフィー
ペンシルバニア州エリー在住のフリーライター。ゴールデンドゥードゥルのマディーと暮らしています。

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