猫の目の病気の見分け方とは?結膜炎や白内障などの症状や治療方法

執筆: ジーン・マリー・バウハウス
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※参照リンク先は英語になります。

猫が絶えずウインクしていたり、眼をこすっていることにあなたが気付いたとします。今はアレルギーの季節で、あなた自身も眼が熱くなったり痒くなったりすることがあります。では、猫の仕草は、単なるアレルギーでしょうか、それとももっと重大な問題が潜んでいて、ひそかに進行しているのでしょうか。猫の眼のケアは全身の健康管理において重要な要素の一つです。猫の眼の問題を知っていると、猫の視覚を脅かす重大な合併症を予防することに役立ちます。

ペットたちの眼の情報サイトAnimal Eye Careによると、猫は犬ほど眼の問題を起こしやすいわけではありません。しかし、実際に眼に問題が起きると、慢性化することが多いのです。猫によく起こりえる6つの眼疾患をご紹介しておきましょう。

1.結膜炎

『ピンクアイ』とも呼ばれる結膜炎は、「結膜」と呼ばれる眼球の外側とまぶたの内側の両方を覆う粘膜に炎症が起きている状態です。これは人のピンクアイと同様にとても伝染しやすい病態ですが、うつるのは猫同士に限られます。

  • 原因:コーネル大学獣医大学によると、結膜炎は通常、ウイルスや細菌感染が原因となって起こります。これらのウイルスは猫の上気道疾患の原因としても知られています。
  • かかりやすい猫種
    すべての猫がかかる可能性があるが特に子猫に多い、眼瞼内反(がんけんないはん)を起こしやすいペルシャは結膜炎を併発しやすい、など。
  • 予防方法
    幼齢期(子猫期)からのワクチン接種清潔な室内環境、猫同士のケンカを避けられる環境、など。
  • 兆候と症状:最も分かりやすい症状は涙が出ることです。目やにの色は、透明なこともあれば、灰色、黄色、緑色、黒っぽい赤さび色などさまざまです。眼の内側が腫れたり赤くなったりしているように見えることがあり、症状は片眼だけまたは両眼に出ます。くしゃみや鼻水といった症状がみられることもあります。
  • 治療:結膜炎は通常、点眼液または軟膏タイプの外用抗生物質で治療します。上気道疾患の症状があれば、その治療も行います。結膜炎を引き起こすことが多い原因の一つがFHV-1すなわち猫ヘルペスウイルスです。これが原因として特定された場合、このウイルスを抑えて症状の再発の予防のためにさらなる治療を行います。

2.その他の眼の感染症

猫でよく起こる眼の感染症は結膜炎だけではありません。その他の眼の感染症も猫ではよくある病気です。その多くは、上気道感染が眼に波及したものです。眼の感染症が伝染性かどうかは、その原因によって決まります。

  • 原因:眼の感染症は、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など、さまざまな原因によって引き起こされます。
  • 兆候と症状:眼の感染症がある猫は、目をこすったり目を細めたりする兆候がよくみられます。その他の兆候としては、充血と腫れ、目やに、くしゃみや鼻水などがあります。
  • 治療:獣医師は通常、目の不快感を引き起こす原因になっている感染症を治療します。軽度の感染症では、安静、目やにの除去、健康的な食事と十分な水分による対症療法が治療の中心になることが少なくありません。重度の感染症は、軟膏または点眼液による局所療法と、場合によって抗生物質の全身投与で治療することになるでしょう。

3.刺激

猫は一般的に、目のかゆみや涙目を引き起こすタイプのアレルギーを起こすことはありません。しかし環境内の刺激物がよく似た作用をもたらすことはあります。

  • 原因:猫の眼の刺激物になり得るものとして、香水などの強い香り、化学洗浄剤、タバコの煙、ほこりなどがあります。猫の眼に入ったものはほとんど何でも、刺激性の反応を引き起こす可能性があります。
  • 兆候と症状:目を細める、こするといった不快感の兆候や充血、目やにが症状として見られます。
  • 治療:外部からの刺激が眼の症状の原因であることがはっきりしていて、猫が許してくれるなら、洗眼液で眼を洗いましょう。しかし、外部刺激の症状は深刻な病気の症状と見分けがつかないため、眼の不快感の兆候に気付いたら、獣医師に相談するのがベストです。眼の不快感の原因がわかる場合は、その刺激物を家から取り除いてしまうのも良いでしょう。Veterinary placing a few drops of eye drops cat

4.角膜潰瘍

角膜潰瘍は、深刻化するおそれのある疾患です。眼の表面に開いた傷ができて痛みのあり、傷のある部分が白く濁って見えることがあります。

  • 原因:角膜潰瘍の原因には、眼の怪我や慢性的なドライアイ、解剖学的異常などがあります。眼の感染症(特に治療されないままの場合)から起こることもあります。
  • 兆候と症状:角膜潰瘍の兆候としては、部分の混濁のほか目をこする、目を細める、明らかな目の痛み、充血、目やにが見られます。
  • 治療:軽度の角膜潰瘍の多くは原因が治療されれば治癒します。獣医師によっては、抗生物質の軟膏または点眼液と、痛みを和らげる薬を処方してくれるかもしれません。また、眼の深部に進行した潰瘍には手術が必要になることもあるでしょう。正しく治療すればたいていの角膜潰瘍は治癒が可能ですが、治療しないまま放置すると完全な失明に至ることや外貌が変わってしまうこともあります。

5.緑内障

緑内障は、房水と呼ばれる液体が眼の中に過剰に溜まり、眼圧が上昇することによって引き起こされる深刻な病態です。完全な失明や容姿の変形を防ぐために、できるだけ早く治療する必要があります。

  • 原因:房水が排出できず、緑内障を引き起こすほど貯留する原因はいくつかあり、解剖学的異常、眼の感染症、炎症、外傷、腫瘍などがあげられます。この病気の遺伝的素因を持つ猫もいて、その場合は両眼とも罹患することも珍しくありません。
  • 兆候と症状:緑内障の猫では一般に、目をこする、目を細める、人から離れて引きこもる、遠吠えのように鳴く、大きな声で鳴き叫ぶなど、ひどい痛みによる兆候を示します。眼には混濁、流涙、充血が見られることがあります。重症例になると、眼球そのものが腫れているように見えます。
  • 治療:愛猫に緑内障が疑われたときは、直ちに動物病院に連れて行ってください。房水を排出して眼圧を下げるのが早ければ早いほど、眼を救済できる可能性が高まります。軽症例では基礎的原因に対処すれば緑内障そのものは自然に解消しますが、それより重症例では、過剰な房水の貯留を防ぐための治療を続ける必要があるかもしれません。最悪の場合は眼球摘出を余儀なくされることもあります。

6.白内障

白内障は、眼の水晶体に混濁した部分ができ、それによって眼の奥に光が届くのを妨げ、視力の低下や場合によって失明に至ることのある病態です。

  • 原因:白内障は、加齢によるものもありますが、糖尿病やブドウ膜炎によって引き起こされることもあります。また、電気ショック、放射線や有毒物質への曝露から起こることもあります。カルシウム欠乏症が原因となっていることもあります。
  • 兆候と症状:白内障は眼を白く濁らせますが、進行して視力が大きく低下するまで目に見える症状が現れないことが一般的です。その場合、猫は物にぶつかったり動きが遅くなったり(特に薄暗いところで)といった視力低下の兆候を示すかもしれません。糖尿病による白内障の猫は、体重減少、過剰なのどの渇き、頻繁に排尿するといった症状が見られることもあります。
  • 治療:動物病院で、加齢以外の原因があるかどうかを調べてもらう必要があります。白内障そのものについては、原因となる水晶体を手術で取り除いて視力を回復させるという選択肢もあります。ただし毎日の暮らしで、危険な状況があまり考えられない場合、視力の低下に十分順応して暮らしていけるかもしれません。

日常の眼のケア

愛猫の眼になんらかの異常を感じた場合は、すぐに獣医師に診せることが重要です。さまざまな病態に共通する症状が多いため、検査することなく眼の病気を正しく診断することは不可能です。病気が何なのかを自分の憶測で解き明かそうとしたり、自然に治るかどうか様子をみたりすることは、貴重な時間の浪費にしかなりません。

眼の病気の兆候がすでにあろうとなかろうと、きちんとケアをすれば、眼の問題の予防に役立ちます。高品質のお肉ベースのキャットフードを与える、忘れず怠らず予防接種を受けさせる、外に出さないようにして感染源になるかもしれない見知らぬ猫と遭遇させないようにする、といったことのすべてが、愛猫の眼を守ることに大いに役立つのです(猫の健康全般と生活の質のためになることは言うまでもありません)。

筆者紹介

Jean Marie Bauhaus Contributor Photo

ジーン・マリー・バウハウス

ジーン・マリー・バウハウスはオクラホマ州タルサ在住の小説家でありフリーのライターであり編集者です。自宅オフィスでふわふわのペットたちの助けを借りながら、よくペットとペットの健康に関することを執筆しています。

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