猫の慢性腎臓病 ステージ1とは

執筆: クリスティーン・オブライエン
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猫の慢性腎臓病のステージ1とは、腎臓病の進行度を表す指標の第一段階で、病期としては早期に当たります。慢性腎臓病というと、高齢のイメージが強いですが、この早期の段階では症状はほぼないことが一般的で、年齢にかかわらず診断される可能性があります。早期からケアを開始することによって、病態を管理してより長く元気で幸せな時間を過ごすことができるのです。

腎臓病とは

腎臓病とは、腎臓の機能が失われる病気の総称で、急性(突然発症)の場合と慢性(ゆっくりと時間をかけて進行)があります。腎臓は血液をろ過する役割のほか、水分やミネラル成分の調節、内分泌器官としても働いているため、腎機能の低下はさまざまな健康トラブルを引き起こします。コーネル大学獣医学部のコーネル猫ヘルスセンターによると、腎臓病の猫は「通常なら腎臓から排泄され、調節を受けるはずの老廃物などが蓄積」した状態だということです。こういった生体にとって有害な物質の蓄積は、やがては(他の因子と絡み合って)高血圧や貧血といった他の健康問題に発展します。

ステージ1は慢性腎臓病の初期段階で、診断が可能な最初の時期にあたります。猫が腎臓病になる理由は今のところ研究者でもまだはっきりと説明することができませんが、感染症、ウイルス、歯周病、脱水などの、他の医学的問題が腎臓病の原因になることもあり、親猫から遺伝する場合もあります。通常は、高齢期に発生しやすいですが、若い猫でも腎臓病になることがあります。

症状

ペットヘルスネットワークによると、猫の3頭に1頭が腎臓病をかかえているものの、残念なことに腎臓病は簡単に見つけやすい病気ではありません。かなり進行するまで症状が現れないことが多く、症状が現れたとしても、わずかな体重減少、あるいは排尿回数や飲水量の増加など、初期の腎臓病のサインは見逃しやすいものばかりだと説明しています。とはいっても、寝てばかりで元気がない、どんよりしていて活力が感じられない、食欲の低下あるいは全く食べない、嘔吐している、といった症状は、明らかに体調が悪く、どこかがおかしいとはっきりわかる症状です。猫を注意深く観察するようにして、このような変化に気付いたら、すぐに動物病院に連れて行きましょう。腎臓病は早いうちに治療を行わないと急速に進行することがあります。

診断と治療

動物病院の健康診断では、腎臓病かどうか診断するためのさまざまな検査が行われます。

VCA動物病院によると、慢性腎臓病の猫(通常は高齢)に対して、従来は血中尿素窒素(BUN)とクレアチニンという、2種類の生体内で生化学的に産生される副産物の濃度を検査するのと併せて、尿比重の検査を行っていました。さらに尿蛋白/クレアチニン比の測定によって、蛋白尿の確認を行うこともあります。

近年は、別の新しい検査項目によって慢性および急性の腎臓病をかなり早期のうちに診断できるようになりました。IDEXX社のSDMAは「腎機能に特異的な腎バイオマーカーで、急性腎障害と慢性腎臓病の検出において、クレアチニンよりも感度が高いことが証明」されているそうです。この検査により、早期の腎臓病が発見される頭数が以前の2.4倍に増加しました。より早く正確に診断ができるようになったことで、治療を早く行えるようになったのです。

猫が慢性腎臓病と診断されたら、獣医師に専用の療法食を勧められることがあります。特に早期のステージ1の段階で発見できれば、食事管理による健康維持がずっと簡単になります。

栄養

猫は早くも7歳を過ぎると老化の徴候を示し始める可能性があります。そのため、高齢期に表面化しやすい腎臓病のような健康トラブルのことを考えると、高齢の猫に見合った栄養設計がなされた食事管理を行うことは非常に大事なことです。高齢期に変わりやすい栄養学的ニーズに合った、適切なキャットフードを選ぶことは、愛猫の健康維持に欠かせません。

例えばミネラル成分のリンは、蛋白質の多い肉や魚などの食品に多く含まれ、もちろんペットフードにも含まれています。PetMDによると、慢性腎臓病の猫ではリン濃度をモニタリングする必要があります。「体内のリンは尿中に排泄されるため、腎機能が低下すると、体内のリン濃度が上がり始めます。血中リン濃度を抑える一番簡単な方法は、猫のリンの摂取量(食事に含まれる量)を制限することです。」理想的なリンの摂取量は、腎臓病のステージによって異なるので、個別に獣医師に説明してもらいましょう。ヒルズはこういった点も考慮して、猫の健康と幸せを守るために適切な栄養素を適切な量与えられるようキャットフードの設計を行っています。猫用プリスクリプション・ダイエットが愛猫に適しているか、獣医師に相談してみましょう。

猫の慢性腎臓病のステージ1の評価は、今まで比べてどうか、という点も考慮されているので、1回の検査で判断しにくい場合もあります。でもどのような病気であっても、飼い主の常日頃の気配りとケアが早期発見につながります。注意深い観察と定期健診、早期のかつ積極的な治療は、いつまでも愛猫に長く健康的に暮らしてもらうために大きく役に立ちます。

筆者紹介

Christine O'Brien

クリスティーン・オブライエン

クリスティーン・オブライエンは、ライターであり母であり、家の中を取り仕切るロシアン・ブルー2頭と暮らす長年の愛猫家でもあります。Care.com、What to Expect、Fit Pregnancyでも、ペット、妊娠そして家庭生活について記事を書いています。InstagramとTwitter(@brovelliobrien)でも彼女をフォローすることができます。

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