猫に薬を与える方法:ポイントやコツとは?

執筆: クリスティーン・オブライエン
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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ペットたちには、いつまでも薬の必要のない健康体でいてほしいものですが、そうはいっても薬が必要なことも時にはあることでしょう。特に、猫では犬よりも投薬が難しいと思われていることも多く、飼い主としては猫のためにしているのに、猫にとって嫌なことをしているという、とてもストレスを感じる複雑な心境になってしまうことも多いと思います。

猫は一般的に犬よりも苦味に敏感で、薬の味を嫌がることがほとんどです。また、犬のように叱るしつけは全く効果がなく、無理に押さえつけたり大きな声を出したりすることはかえって恐怖心を抱かせてしまい、逆効果になってしまいます。ここでは、猫に薬を与えるときに押さえておきたいポイントや、方法をご紹介します。人も猫もお互いにストレスができるだけ少ない方法をマスターしてくださいね!

猫の保定(押さえ方)

猫の性格はさまざまで、中には抱かれただけでストレスを感じてしまう猫もいます。まずは猫にそっと近づき、それから優しくなだめるような声で話しかけながら抱き上げましょう。Petchaのマリリン・クリーガーさんの投稿によると、「猫の脚が地に着かずブラブラしている状態だと、気持ち的に落ち着かず不安に感じることがあるようです。猫を抱き上げたらタオルか毛布でくるんで、脚をしっかりと支えてあげるとよいですよ。」とのことです。

猫に錠剤を与える方法

薬にはいくつかの形態がありますが、処方される機会が多いのは錠剤でしょう。猫に薬を与えるときに心しておかなければならないのは、猫はルーティーンが変化するのを好まない賢い動物だということ、そしてどんなに好きな相手だとしても、嫌なことはしっかり拒否して決して容赦はしてくれない、ということです。チーズやお肉に錠剤を埋め込めんでしまえば、喜んでガツガツと食べてくれることが多い犬の場合と違って、猫には落ち着きつつも用意周到な方法で臨む必要があります。

灰色の猫の上に丸薬を持っている手。

比較的協力的な猫であれば、錠剤を口の中にいれて直接飲ませる方法が一般的です。押さえ方にコツがあるので、最初は動物病院でやり方を教わること、そして、薬を飲ませない時でも普段から練習して、猫にその押さえ方や体勢に慣れておいてもらうことが重要です。利き手に錠剤を持ち、両手で猫の頭の上から押さえます。頬の骨の下あたりを持つようにして口を上の方に向かせるようにします。そうすると口が閉じにくくなるのでやりやすいでしょう。下顎を薬を持った利き手で開けて薬を口の中に素早く入れます。ASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)ペット健康保険は、猫の口の奥の方の舌の真ん中に錠剤を置き、それから喉を優しくさすって飲み込みを促すことを勧めています。錠剤を流し込めるように、注射器で水を与えるなどしてしっかり飲み込んだことを確認してください。正しく押さえずに錠剤を口の中に投げ入れるのは、猫が窒息するリスクがあり危険ですし、すぐに吐き出してしまいうまくいきません。

フードやおやつに紛れ込ませる作戦

まったくニオイや味がなく、ドライフードと似たような形状の錠剤の場合には、いつものドライフードに紛れ込ませるだけで、気にせず食べてくれることもあるかもしれませんが、なかなかそういうケースも少ないでしょう。フードに混ぜる方法でうまくいきやすいのは、普段はカリカリのドライフードしか食べていない場合で、薬を与えるときだけウェットフードを与えるケースです。猫にとってはスペシャルなイベントだと思ってくれるかもしれません。

キャットフードに錠剤を隠すという方法もあります。ウェットフードでお団子のようなボールを作ってその中に錠剤を隠します。それを使ってゲーム感覚で猫と遊ぶような感じで猫に与えます。

猫がフードに埋め込まれた錠剤を拒絶するときは、なんとか食べさせるためにツナ缶などの人用の食べ物を使いたくなるかもしれません。でも、人用の食品の多くは猫に胃腸障害を引き起こすことがあるので、フード以外のものを猫に与えるときは、必ず事前に獣医師に確認するようにしましょう。

トッピングに混ぜる方法

粉末や顆粒タイプの薬の場合は、粘り気のあるおやつやフードの汁などに混ぜる方法もあります。でも、Animal Planetは、「獣医師に勧められた場合を除いて、元々が錠剤の薬を勝手に砕いたりすりつぶしたりしてフードや飲み水に入れるのは絶対にしてはいけません。薬を砕くと苦味が出る場合があり、さらに猫が所定の用量を全部摂取しないことにつながります。」と指摘しています。この方法で猫に薬を投与するときは、事前に必ず獣医師から許可を得るようにしましょう。

錠剤を砕く方法としては、頑張ればスプーンで押し潰すこともできるかもしれませんが、専用のピルクラッシャー/カッターを利用するのが一番簡単です。比較的安価ですし、薬剤が周囲に飛び散ることがないので清潔です。入手方法は動物病院に尋ねてみましょう。

砕いた薬を、スプーン一杯のグレイビーソース(ウェットフードの肉汁ソース)などに混ぜ込んで、猫が空腹のときに与えます。強い風味が、薬の味を全体的に和らげてくれることがあります。牛乳でもいいかも、と思うかもしれませんが、多くの猫は乳製品を消化できないので、やめましょう。猫に薬をあげるときに使えるようなトッピングやおやつも販売されていますので、動物病院に相談してみるとよいでしょう。

液体の薬の場合

猫が錠剤を拒否する場合や、具合が悪くて普通に食べられない場合、獣医師は注射器を使って投与できる液体の薬(液剤)を処方することがあります。液剤は冷蔵する必要があるものも多いのですが、猫は室温の方が受け入れやすい傾向があります。薬を吸い上げた注射器を手で2~3分間握るか、カップに入れたぬるま湯(熱湯はいけません)に浸すことで、適度に温めることができます。決して薬を電子レンジで温めることはしないでください。

利き手に注射器を持ち、先に述べた安全で快適な方法で猫を保定します。犬歯(キバ)の後ろのスペースに注射器の先端をいれて、内筒をゆっくりと押し込み、猫が飲み込んでいるのを確認しながら少しずつ与えます。薬が喉の奥の方に向かって流れていくように狙いをつけますが、このとき猫の頭を後ろに傾けないように注意してください、とPetfulは警告しています。これをやると、猫が液剤の一部を吸入してしまったり窒息したりするおそれがあります。

薬が猫の口の中に入ったら、しばらく口を押さえて閉じたままにして、きちんと飲み込まれていることを確認します。猫が薬を吐き出してしまった場合には、吐き出した量やタイミングを確認し、再度飲ませる必要があるか獣医師に確認しましょう。

点眼薬と点耳薬

猫でも時には点眼薬や点耳薬が必要になることもあります。これらを投与するときも、錠剤や液剤のときと同様に、猫をしっかりと保定することが成功のポイントです。

点眼薬については、ニューポート・ハーバー・アニマル・ホスピタルのアーネスト・ウォード獣医師が次のような方法を推奨しています。多くの場合、向かって来る手が見えると猫が怖がるので、正面からではなく後ろから頭の上から手を伸ばすのが一番です。両手で猫の顎を支えて頭を固定します。 「目薬を持った利き手を猫の頭の上に置きます。手の指を使って上まぶたを引き上げます。下まぶたは、目薬を受け止める袋の役目を果たします」。目薬の容器の先端や指が猫の眼に触れないように注意しなければなりません。

点耳薬については、一般的には薬を耳に垂らした後、「耳の付け根を優しく円を描くようにマッサージします。…薬が耳道の奥まで行き渡るようにします。」とウォード獣医師は言います。症状の程度や点耳薬の種類によって使い方が異なる場合もあるので、処方された時には獣医師に使い方を確認しておきましょう。点眼も点耳も、猫は多かれ少なかれ嫌がります。必要がない時でも、時々動作を練習しておくことで、飼い主も猫も慣れておきましょう。無理なく投薬ができるかどうかは、治療に大きな影響を与えます。

青いラテックス手袋をはめた手のペアは、後ろに三毛猫を注入します。注射薬

飼い主による薬の注射が必要な病気もあります。代表的なのは猫の糖尿病です。注射するときには、サポートしてくれる人がいるととても安心なので、猫をタオルでくるんだり優しくしっかりと保定したりしてくれる人を確保しておきましょう。

注射の部位はお尻、首、それ以外など、薬によって異なる場合があるため、注射するべき部位とそのやり方を獣医師に尋ねておく必要があります。毎回必ず新しい針を使用し、投与した日時を記録します。

猫に注射した後は、猫が好む心地良い状態をつくってあげるようにします。甘えたがりの性格な場合には、いつもより少し余分に抱っこしたり優しくしてあげましょう。独りを好む性格の場合には、身を隠せて安心できるような場所と時間を提供してあげましょう。なお、使用済みの針は普通ゴミとして捨てることはできません。処方された動物病院の指示に従ってください。

猫の様子に何か変化を感じたら、まずは必ず動物病院に診てもらうのが一番安心ですし、なにより、薬は獣医師に処方されたものだけを与えるようにしなければなりません。猫の生理機能はまだわかっていないことも多く、人では安全な薬でも、猫にとって安全とは限りません。実際、人体用医薬品の多くはペットに有害な作用をもたらすものもあるため、猫には人体用の市販薬(目薬や外用薬を含む)を決して自己判断で与えてはいけません。最後に、ここでは、一般的な猫の薬の与え方についてをご紹介しましたが、猫の性格はさまざまですから、ご紹介した方法を参考にしながら、個々の猫にベストな方法について、必ずかかりつけの獣医師と相談するようにしてください。

一時的な治療で治るものなのか、生涯にわたる治療管理が必要になるのか、いろいろな状況が考えられますが、いずれにしても猫にも薬の投与が必要になることはあるでしょう。飼い主が頑張って投薬することに、猫が感謝してくれることはないかもしれませんが、猫が健康でいてくれることが幸せであることには間違いありません!

Contributor Bio

クリスティンオブライエン

筆者紹介
クリスティーン・オブライエン

 

クリスティーン・オブライエンは、ライターであり母であり、家の中を取り仕切るロシアン・ブルー2頭と暮らす長年の愛猫家でもあります。Care.com、What to Expect、Fit Pregnancyでも、ペット、妊娠そして家庭生活について記事を書いています。InstagramとTwitter(@brovelliobrien)でも彼女をフォローすることができます。

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