猫のライフステージ:すべてのステージで愛猫に最良のケアを

執筆: ジーン・マリー・バウハウス
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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猫のライフステージと言えば、おそらく子猫期、成猫期、老猫期の3つで構成されていると思っている人が多いのではないでしょうか。また、成猫になったら以降のケアはそれほど大きく変わらない、とも考えている人もいるかもしれません。International CatCare によれば、猫にははっきりと異なる6つのライフステージがあり、ステージごとに必要なケアと食事の注意について解説されています。まずはこの記事を読んで、愛猫の今のライフステージを確認してみてください。今の年齢に最も合うケアと栄養を提供するための方法を学びましょう。ただし、成長するのが早い猫もいれば遅い猫もいるので、愛猫が成長段階に合った栄養をきちんと摂れているか、獣医師に確認してもらうことも重要です。

子猫は譲渡が可能になるころまでに最初のワクチン接種を受けているべきですが、離乳前の子猫を保護した場合には、動物病院に相談しましょう。2回目のワクチン接種の目安は初回のワクチン接種後の3~4週間後です。子猫に避妊・去勢手術を行う最良の時期については獣医師に相談してください。ワクチン接種のスケジュールや避妊・去勢手術の時期については、子猫を最初の健康診断のため動物病院へ連れて行ったときに、獣医師と相談して決めましょう。ノミなどの寄生虫の予防対策のアドバイスも聞いておきましょう。わからないことはあれば早めに相談することが重要です。

新たに迎えた子猫にはトイレトレーニングが必要です。ただし猫は本能的に決まった場所で排泄する習性をもち、母猫からも学んでいる行動でもあるため、飼い主が教えるのは、子猫をトイレに慣れさせること、そして排泄をするようなしぐさが見られたときに連れて行くことです。子猫が覚えるまではこれを繰り返して、トイレの場所をやさしく思い出させてあげるくらいで大丈夫です。トイレトレーニング以上に集中して行うべきなのは、人や同居動物に対する子猫の社会化、やってはいけないことなどの家庭のルールをしっかりと身につけさせることです。

  • 栄養ニーズ:子猫には健全な成長と発達を支える適切な量のタンパク質が必要で、不足すると発育不良や健康問題を起こすことがあります。急速に成長する体を支えるために特別な栄養設計がしてある高品質の子猫用フードを与えましょう。また、代謝が活発でエネルギーを必要とするため、成猫とは与え方を変え、一日の食事を少量に分けて頻繁に食べさせてもよいでしょう。肥満にならないように、成長に合わせて食事スケジュールを変えていくことを忘れないようにしてください。

ジュニア期(年少期)(6カ月齢~2歳)

ジュニア期は人の青少年期に相当します。このステージの間に、猫は赤ちゃんのような外観が変わり、身体的成熟と性成熟を迎えます。子猫らしい無邪気な性格から、生まれもった気質へと成長していきます。

  • 外観:キトン期から脱してジュニア期に移行した猫は体長が急速に伸びます。最終的に大人の成猫のがっしりした体格になるまでの間、一時的にひょろっとした細長い、ややアンバランスな姿になることもあります。
  • 行動:ジュニア期は過渡期となるライフステージで、やんちゃな子猫らしい行動から脱して落ち着くようになり、より成猫らしい行動を学習します。18カ月齢に達するころまでには、キトン期よりずっと落ち着いた態度になっていきます。
  • ケアとしつけ:個々の環境に応じて、必要な予防ケアを動物病院と相談しましょう。子猫っぽい行動から脱して成猫らしく落ち着いていくにつれて、飼い主が心配して見守らなければならない機会は減っていくでしょう。このステージのしつけは、社会化の継続と家庭のルールを教えることです。
  • 必要な栄養:1歳を目途に子猫用フードから成猫用フードに切り替える時期がやってきます。与え始める成猫用フードをドライタイプ(粒状)にするかウェットタイプ(缶詰)にするか迷うかもしれませんが、成猫に必要な栄養やカロリーを満たす総合栄養食であればどちらでも問題ありません。猫の食いつきや体調、飼い主にとっての与えやすさなどで決めましょう。ジュニア期のステージの猫は避妊・去勢手術の後に体重が増えてしまうことが珍しくないため、飼い主が体重や食欲の変化に気を配り、食事を与えすぎないように気をつけましょう。動物病院に手術後の変化や食事の注意点などを確認しておくと安心です。

プライム期(壮年期)(3~6歳)

プライム期のステージは猫の一生の最盛期にあたり、人の20〜30代に相当します。

  • 外観:このステージの猫は健康状態も体力もピークにあります。すっかり成長しきって体長と体高は過去最高値となりますが、ボディはがっしりしていてもしなやかさのある流線型が理想です。もし、少しでも太ってきたと感じたら、早めに体重管理を始めましょう。被毛は健康的でつやつやしています。
  • 行動:すっかり成猫になり、それまでの生活環境に影響される部分があっても、生まれもった気質に落ち着いています。活発で遊び好きなところや、ルーティーンと縄張りはしっかり確立されているはずです。行動に変調をきたすような病気やけがをしない限り、この時点の性格をこれから生涯にわたってもち続けるでしょう。
  • ケアとしつけ:健康状態がピークにあるとはいえ、プライム期の成猫でもケアの一環としての定期健診は必要です。また、この時期までに猫のしつけを終えているのが理想です。もし覚えたはずの家庭のルールを破ってしまう場合には、やさしく教え直し思い出させてあげましょう。飼い主が対応できないことや、新たに迎えた猫が困ったことをする場合は、猫のしつけや行動に詳しい専門家の助けを借りましょう。望ましくない行動に隠れた病気などがないかどうか、動物病院で診てもらうことも必要です。成猫を迎え入れた場合も、改めてしつけ をすることができます。犬と違って独立心が強い猫はしつけが難しいと思われるかもしれませんが、猫が理解できる方法で忍耐強く教えれば少しずつ覚えてくれます。
  • 必要な栄養:このステージの猫には、特別な食事が必要な健康問題が生じていない限り、標準的な成猫用キャットフードを引き続き与えましょう。

マチュア期(熟年期)(7~10歳)

マチュア期はおおよそ人の40〜50代の中年期に相当します。

Older Scottish Fold cat looks at her crossed paws on old, torn up chair.
  • 外観:マチュア期の猫の外見は、以前と変わらず活発なタイプであればプライム期とほぼ変わりません。ただし、このライフステージのときは体重が増えやすく、「少しぽっちゃりしてきた」と思っているうちに、肥満になってしまうことも珍しくありません。老いの兆候が現れ、被毛のつやが失われ始めることもあります。
  • 行動:マチュア期に入ってもプライム期と変わらず活発で遊び好きなタイプもいますが、若いころに比べて動きが鈍くなり、あまり動かなくなる猫も少なくありません。
  • ケアとしつけ:若い成猫と同様、ときどきはしつけを教え直す必要があるかもしれませんが、これまで積み重ねてきた経験と学習があれば問題は起きにくいでしょう。マチュア期になると、肥満と関連する病気(糖尿病や高血圧など)の健康問題のリスクだけでなく、がん、腎臓病、甲状腺疾患などのリスクも高まり、このステージの猫のケアは今まで以上に気をつけることが重要です。獣医師による定期健診を受けて、家庭でも体重減少、異常な嘔吐、下痢といった病気の徴候には目を光らせておく必要があります。
  • 栄養ニーズ:マチュア期の猫の健康維持のためには、免疫系の健康を維持するためのビタミンCやEなどをはじめとした、必要な栄養素が多くあります。もし太ってきた場合は、体型や活動レベルに合うようにフードの量を調節する必要があるかもしれません。

シニア期(年長期)とジェリアトリック期(老年期)(11歳以上)

高齢の猫のライフステージは2つの時期に分けられます。11歳から14歳の猫はシニア期とされ、おおよそ人の60〜70代に相当します。15歳以上の猫はジェリアトリック期とされます。

  • 外観:シニア期になると、被毛が白くなったりつやがなくなったりするなど、老化の兆候が見られる猫が多くなります。これらの変化はおそらく歳とともに目立つようになっていきます。
  • 行動:これらのライフステージの猫は、マチュア期で述べた病気などのリスクが高まります。加えて、関節炎などのトラブルによる運動障害も起こりやすくなります。動きが鈍くなったり、あまり動かなくなったのは、実は歳のせいではなく痛みのせいだったということも。さらに、トイレのへりが高くて乗り越えにくかったり、トイレが行きづらい場所にあったりすると、トイレを使うのを諦めて排泄を我慢したり、トイレ以外の場所で排泄してしまうこともあります。排泄の問題は、膀胱や腎臓の問題と直結するので、十分に配慮して注意しなければなりません。さらにライフステージが進んだ猫は、認知症になるリスクもあります。トイレ以外の場所で排泄したり、食事を頻繁に催促したりといった症状が見られることもあります。コーネル大学獣医学部 によると、認知症の猫は興奮したり不安になったりなど情緒が不安定になることが多く、その現れとして大きな声で遠吠えのように鳴くことがある、とのことです。
  • ケアとしつけ:シニア期とジェリアトリック期の猫のケアは、引き続き定期健診を受けることと、体調の変化をより注意深く観察することが重要です。快適に過ごせるように、そして可能な限り健康で長生きできるように、いたわりの気持ちをもちましょう。たとえばトイレを出入りしやすい形状に変え、フードと水をいつでも口にできるところに置いてあげること。もし元気や食欲がなくなっているときは、飼い主が食事や飲水の介助をしてあげることも必要かもしれません。とはいっても、シニア期の猫の多くはまだまだ長生きしてくれるうえ、短時間であっても活動的に遊ぶこともあります。飼い主にとってうれしいことは、独立心が高くて距離があった猫でも、歳とともにまるくなり、自らすすんで抱っこされるようになったりして、以前にも増してかわいらしく思えるようになります。飼い主と猫の絆がどんどん強まる時期といえるでしょう。
  • 必要な栄養:健康問題がある場合は、獣医師から治療の一環として療法食のキャットフードを与えるように指示されることがあります。そうでない場合は、良質な高齢猫用フードを与えることで、必要な栄養を満たすことができます。もし水分の摂取が十分でない場合は、体の水分保持を助けるウェットフードに切り替えることを勧められることもあります。

ここまでお伝えしたとおり、猫は一生の間にいくつかの変化をたどります。愛猫の今のライフステージを知って、それに合わせた適切なケアを行い、必要な栄養を与えることで、最適な健康状態を維持することにも役立ちますし、QOL(生活の質)を良くすることにもつながります。お互いにずっと健康で過ごしやすい環境を整えて、猫とこれからも楽しく暮らして行きましょう!

Contributor Bio

Jean Marie Bauhaus

筆者紹介

ジーン・マリー・バウハウス

オクラホマ州タルサ在住のペットオーナーでもあり、ペットブロガー、兼小説家。いつもペットたちに見守られながら執筆活動に勤しんでいます。

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