猫がお尻をズリズリするわけ

執筆: クリスティーン・オブライエン
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猫がズリズリとお尻を床にこすりつけるような仕草をするのを見たことがあるでしょうか?初めて見たときにはきっとびっくりするでしょうし、なによりもなんだか不思議な仕草なので思わず笑ってしまうかもしれませんね。実はこの仕草、猫にとってはお尻周辺の不快感を表す行動の一つなのです。

「お尻歩き」ともいわれるこの仕草は、オス猫がマーキングの意味で行うこともありますが、たいていは猫が肛門周囲の違和感を感じた時に行うことが多いようです。肛門周囲に違和感を起こさせる理由としては、下痢や便秘、便のキレが悪いなどの排便に関連することや、消化管に寄生虫がいる場合、あるいは肛門周囲に傷がある、といったことが考えられます。でも、これらが当てはまらない場合に一番多いのは、肛門腺がたまっている、あるいは炎症を起こしている、というような肛門腺に関連するトラブルがある場合です。これはそのまま放置するともっとひどくなってしまうので、できるだけ早く発見して対処してあげる必要があります。

猫の肛門腺の役割

肛門腺は、肛門嚢と呼ばれる袋状の構造物の中にある、強烈な匂いの液を分泌する小さな腺のことです。ペット・ヘルス・ネットワークの記述によると、猫の肛門嚢は、「皮膚の下に存在していて、肛門周囲の5時と7時に位置しています」。縄張りを持つ動物である猫は、捕食者を避けて、他の動物にその地域のボスが誰であるかを知らせるための匂いづけ(マーキング)に肛門腺を使います。この匂いづけ行動にはスプレー行為とこすりつけ行為が含まれています。幸いなことに、ほとんどの室内飼いの猫はお尻を使って匂いを残す必要性があまりないので、その代わりにお気に入りのもの(ソファーやベッド、飼い主など)におでこをこすりつける行為を選択しているようです。ただし、新しいペットや家族を迎え入れたときなどには、一時的にお尻の匂いづけ行動が見られることがあります。

肛門腺のもう一つの役割は、排便時に腺から分泌物を分泌することによって潤滑剤となり、排便をスムーズにすることです。理論上、このように排便時に適度に肛門腺の分泌物が分泌されていれば、トラブルが起こることはありませんが、中にはこの分泌物が通常の排便行動では出切らなかったり、分泌物の出口がふさがってしまう場合もあります。そうすると、この分泌物が肛門嚢の中に蓄積してしまい、ひどくなると炎症を起こすことがあります。

ウールの敷物の上に座っているベンガル猫

肛門腺トラブルのサイン

猫では、犬ほど肛門嚢のトラブルが起こることはありません。(肛門腺のトラブルは「腺の出口が狭い」小型犬種に多い、とマサチューセッツ動物虐待防止協会は説明しています。)そうはいっても、猫でも肛門腺が詰まって炎症を起こすことがあります。炎症を起こすと、猫はその違和感やむず痒さをなんとか和らげようとして、床の上でお尻歩きをするようになります。Petfulは、その他のサインとして以下のものを挙げています。

  • 患部を過度に舐める
  • トイレでの排泄中に鳴き声を上げる
  • 強烈または不快な臭い
  • 肛門付近の赤みまたは腫れ
  • 血が混じった分泌物が便に、あるいは猫がいた場所に付いている

このようなサインに気づいたら、すぐに動物病院を受診しましょう。このままにしておくと、化膿して膿瘍になったり、破裂したりして、もっとひどくなってしまう可能性があります。

治療

クリティカルケアDVMは、「肛門腺のつまりや炎症が起きていても、軽度であれば中のたまっている分泌物を排出することで治ることもある。」と言います。でも、炎症がひどく痛みもあるときには、患部をよく観察し洗浄や消毒処置するために、軽い鎮静処置(麻酔)が必要になる場合もあります。程度に応じて抗生物質や鎮痛薬が処方されるでしょう。さらに、炎症を繰り返していたり、炎症が重度の場合には、肛門嚢を外科的に切除する処置が必要になることもあります。

一般的に、猫は犬ほど肛門腺がたまることが少ないので、家庭で定期的に肛門腺を絞る必要はありません。ですが中には肛門腺が出にくく、たまりやすい体質の猫もいます。このような場合には、定期的に絞ってあげる必要があります。インターネット上では家庭で肛門腺を絞る方法が詳しく紹介されているものもありますが、そもそも出しにくい肛門腺を出すことはわかりにくく難しいうえ、猫もものすごく嫌がります。ですから、この作業は動物病院にお任せしたほうがよいでしょう。動物病院のスタッフは、しっかりと治療をするために、猫に負担がかからず、かつしっかりと保定する方法や、肛門腺の位置のパターンや安全で優しく効果的な絞り方を熟知しています。嫌なことをすれば、猫には確実に嫌われますが、その嫌われ役を獣医師が代わりに担ってくれるのです。

猫のお尻のずりずりは笑い事ではないことが、お分かりいただけたでしょうか?また、お尻を何かにこすりつけることは、人間にとって不快に感じることもあるでしょう。でも、これは健康トラブルの一つであって、猫が好きでやっているわけではないので、決して叱ったりしてはいけないことを忘れないでください。猫を飼育するうえで共通することですが、叱ることはおそらく問題を悪化させることにしかなりません。そして、日頃から肛門腺を含めた、猫の体調や行動チェックを行って、ちょっとした変化でも気づけるようにしておきましょう。

 

クリスティンオブライエン

筆者紹介
クリスティーン・オブライエン

 

クリスティーン・オブライエンは、ライターであり母であり、家の中を取り仕切るロシアン・ブルー2頭と暮らす長年の愛猫家でもあります。Care.com、What to Expect、Fit Pregnancyでも、ペット、妊娠そして家庭生活について記事を書いています。InstagramとTwitter(@brovelliobrien)でも彼女をフォローすることができます。

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