犬が食べてはいけない、死ぬ危険のある食べ物とは?

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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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キッチンの金属製の餌皿の上に立つ犬
私たちにとって愛犬は大切な家族の一員です。だからといって食べる物も同じではありません。犬にとっては有毒で食べさせてはいけない物もあるのです。たとえば、犬は私たちのように油っこくて脂肪の多い食物に慣れていません。そのため、それらを食べると下痢や胃の不調を起こすおそれがあります。犬が食べてはいけない有毒な物とは何か、具体的に見ていきましょう。

犬が食べて死ぬ危険のある食べ物

犬が食べてはいけない物はたくさんあります。その中でも、死に至る危険のある、犬に絶対に与えてはいけない有毒な食べ物について紹介します。

チョコレートとカフェイン

チョコレートが犬にとって有毒な食べ物であるということはよく知られています。もし犬がチョコレートを食べてしまった場合、どうなるのでしょうか。現れる症状と毒性はチョコレートの種類と量によって異なります。主な症状としては、嘔吐、下痢、のどの渇きの増加、腹部不快感、元気消失、筋肉の振戦(ふるえ)、不整脈、高体温、痙攣発作、などがあります。状況によっては死に至る場合もあります。カカオ成分の濃度が濃いダークチョコレート(ケーキ用チョコレートやココアパウダーなど)ほど犬には危険です。チョコレートにはカフェインとテオブロミンが高濃度で含まれており、どちらも犬に中毒症を引き起こします。カフェイン入りの飲料についても犬の手の届くところに置かないようにしましょう。

ぶどうとレーズン

ぶどうとレーズン(干しぶどう)は、犬が食べても問題ない場合もありますが、腎不全を引き起こす犬もいるとされています。ぶどう、レーズンが犬に合わない場合、食べてから12時間以内に嘔吐、元気消失、下痢が起こります。症状に対する治療を実施しなければ、脱水、食欲減退、排尿増加とそれに続く排尿減少につながることもあります。犬がぶどうかレーズンを食べた後にこれらの症状が現れたときは、すぐに獣医師に診せてください。場合によっては慢性腎臓病になったり、急性腎不全により3〜4日で死んでしまうことさえあります。

アルコールと生のパン生地

飲料に含まれている少量のアルコール、シロップ、生のパン生地は、犬に有毒な場合があります。これらの製品はエタノールを含み、ビールにはホップも含まれていて、この2つはいずれも犬にアルコール中毒を引き起こす可能性があります。中毒症状には、嘔吐、見当識障害、高体温、情動不安、過剰なパンティング、筋肉の振戦、痙攣発作があります。アルコール中毒の症状を示している犬は、回復するまで獣医師に監視してもらう必要があります。臓器系の機能不全を起こし、死に至ることさえあるからです。生のパン生地に含まれている酵母は胃を拡張させることがあり、これは組織損傷や呼吸困難につながるおそれがあります。

キシリトール

キシリトールは、シュガーレスガム、砂糖不使用のキャンディや焼き菓子などの食品に使われる人工甘味料です。歯磨剤、マウスウォッシュ、噛むタイプのビタミン剤、咳止めシロップなどに使われていることもあります。犬が食べると命に関わるほどの血糖降下が起こる可能性があり、肝障害も起こる可能性があります。症状には嘔吐、痙攣発作、協調運動失調などがあります。発症までの時間には摂取の数分後から数時間後までと幅があります。アメリカのペット中毒相談室によると、約4.5キログラムの犬なら、たった1個のシュガーレスガムだけでも中毒量に達することがあるとのことです。キシリトールを大量に食べた犬は肝不全を起こすおそれがあります。キシリトールを含むものを食べたことが疑われるときは、直ちに獣医師に連絡しなければなりません。

タマネギとニンニク

タマネギの仲間は、ニンニクやエシャロット、ネギからアサツキまで、どれも犬にとって有毒な食べ物です。これらには、犬に胃腸炎、貧血、赤血球の深刻なダメージを引き起こす物質が含まれていて、ニンニクはタマネギの5倍強力と考えられています。玉ねぎあるいはニンニク中毒の症状には、元気消失、筋力低下、オレンジ色から暗赤色を帯びた尿などがありますが、これらは食べてから数日間ははっきり症状が出ないことがしばしばあります。そのため食べたと思われた後の観察はより重要です。秋田犬や柴犬などの日本犬は、ニンニクとタマネギに対する感受性がより高い傾向があるようです。

犬が食べてはいけないその他の食べ物

上述の食べ物以外にも、犬には食べさせないほうがいい有毒な物がまだあります。

生魚やお刺身

お刺身など生魚を犬に与えることは一般的には安全ですが、注意も必要です。生魚にはチアミナーゼという酵素が含まれており、犬が大量に摂取してしまうと体内のビタミンB1が破壊されてしまいます。これによって、ビタミンB1欠乏症を引き起こし、神経障害、食欲不振、手足のしびれなどの症状が現れます。また、生魚には寄生虫が含まれている可能性がありますので、生のまま犬に食べさせる場合は新鮮な物を与えるようにしましょう。

生卵(白身)

卵自体は、犬の健康維持に必要なたんぱく質を豊富に含む栄養価の高い食べ物ですが、生卵の白身を与える場合は注意が必要です。生卵の白身には、アビジンという酵素が含まれており、これがビタミンB群の一つであるビオチンを破壊したり、吸収を妨げます。それによって、皮膚病、無気力といった症状が現れることがあります。アビジンは熱に弱い性質を持つので、生卵の白身を犬に食べさせる場合は加熱してからが良いでしょう。

その他

乳製品を犬が食べると、下痢や食物アレルギー等の消化器系の不調を招くことがあります。また、マカダミアナッツは、ほんの数粒で筋力低下、麻痺、協調運動失調を引き起こすことがあります。アボカドには、軽い胃の不調を起こさせるペルシンが含まれています。加えて、肉(牛や豚、鶏肉など)や魚の骨についてもとても危険です。噛み砕いたときに裂けてのどに刺さったり、逆に硬すぎて歯を折ったり、腸を傷つけたりする可能性があります。

犬の食べ物に関してよくある質問

犬に食べさせてはいけないものに関連してよくある質問について回答します。

子犬、小型犬に食べさせてはいけない物は何ですか?

これまでに紹介した食べ物は子犬、チワワやポメラニアンなど小型犬にとっても有害です。子犬、小型犬のみに危険な食べ物というものはありませんので、犬にとって有毒で危険な食べ物は、ライフステージ、犬種や品種問わず与えないようにしてください。

犬に与えてもよい食べ物かどうかわからないときは、まず獣医師に相談するようにしましょう。一般的な経験則として、人間の食べ物は犬に与えないのが一番です。食卓の隣であなたをジッと見つめる子犬のまなざしを無視するのは難しいかもしれません。しかし視線に負けて与えてしまうと、より深刻な問題を引き起こすリスクはもちろん、しばしば体重増加に至ります。愛犬の健康を第一に考えるのであれば、栄養ニーズを満たすように特別に設計されたドッグフードだけを与えるのが一番いいでしょう。

ドッグフード(餌)の種類や選び方に関する記事」もご参考ください。

筆者紹介

高橋智司

編集責任者: 高橋智司

アソシエイト ディレクター 獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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