犬はヴィーガンになれるのか?

執筆: ジーン・マリー・バウハウス
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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"ヴィーガン"とは、菜食主義であるベジタリアンに加えて、卵や乳製品を含む動物性食品をいっさい摂らない完全菜食主義者のことをいいます。犬にとってこのヴィーガンがいいのかよくないのかについては多くの議論があります。肉を食べさせなくてもまったく犬の健康には問題がないと主張する意見がある一方で、多くの専門家はヴィーガンフードでは犬が本来必要とする栄養素を十分に摂取できないと懸念を示しています。さて、いったいどちらが本当なのでしょうか?

犬はヴィーガンになれるのか?

Bullmastiff puppy chewing on a carrot
この質問に単純に一言で答えるなら「イエス」です。タフツ大学カミングス獣医学部 は、犬はヴィーガンやベジタリアンの食事でも生きていくことができるだけでなく、健康に過ごすことができることもあると説明しています。一般的に、犬たちは先祖であるオオカミと同じように肉食で、生きていくには肉を食べる必要があると思われていますが、そうとも限らないのです。たしかに犬は食肉目に属していますが、食肉目にはジャイアントパンダなどほとんど竹しか食べない動物種も含まれており、犬も実際のところは雑食動物なのです。犬の消化器官には、果物や野菜の栄養素を消化・吸収する能力が十分に備わっています。

このようなことに加えて、一部の動物性タンパク質にアレルギーのある犬もいるので、獣医師は食物アレルギーやそのほかの健康トラブルの内容に応じて、肉類を含まない特別な食事(ミートフリーフード)を推奨することがあります。しかしながら、動物性の脂肪やタンパク質を含まない食事は犬の健康にとって危険な場合があることも確かです。タフツ大学は、専門家による指示、管理が無い状況でこのような食事を与えるべきではないと注意を促しています。

どうしてヴィーガンの食事は犬にとって危険なのでしょう?

動物の栄養に精通している獣医師でも、犬の健康に必要な栄養素をすべて含むミートフリーフードを作ることはかなり難しいとタフツ大学は言います。犬の消化器官は植物からも栄養を摂取できますが、動物から摂取する方がずっと効率がいいのです。果物や野菜にも犬の健康維持に必要なビタミンや抗酸化物質が豊富に含まれていますが、犬にとって必要な脂肪やタンパク質量が不足しています。コラーゲンやエラスチン、ケラチンといった動物由来のタンパク質はいずれも健康な皮膚や筋肉、関節には不可欠ですが、ヴィーガンの食事から摂取するのは不可能ではないとしてもやはり困難です。つまり、専門家によるきちんとした指導・監督下で慎重に行わない限り、犬にヴィーガンの食事を与え続けることで深刻な健康トラブルや栄養不良を引き起こしてしまう危険性があるのです。

ヴィーガンの方が犬の食事を用意する場合

それでは、飼い主がヴィーガンの場合はどうすればいいのでしょう? もし純粋にご自身の健康のためにヴィーガンのライフスタイルを選択されている方は、そもそも人間と犬の生理機能はすべてが一緒ではなく、ヴィーガンの食事が必ずしも犬に有益であるとは限らないことをしっかり認識することが大切です。倫理的、道徳的な理由からの場合でも、やはり犬と人間に必要な栄養は異なることを理解することが大切です。それでもなんとかして愛犬には健康に良い食事を与えながら自分の主義も貫きたい――と思われる場合に、以下の情報をご紹介します。

  • 心配に思っていることを獣医師に相談する。肉の代わりに卵や乳製品を使用している高品質なドッグフードを紹介してくれるかもしれませんし、犬に与えるべき食事についての質問や心配事についても答えてくれるでしょう。
  • 魚由来のドッグフードを与えることを検討する。
  • 動物福祉を考慮して供給された肉や、生産規定に従って供給された果物・野菜を使用している高品質なドッグフードを選ぶ。
  • 絶対にヴィーガンの食事しか与えたくないと思っている場合、獣医師に相談してその犬の体調、体質を確認してもらい、さらに今与えている食事の栄養成分に過不足がないかを確認してもらう。

食の多様性が発展していく中で、ヴィーガンへの関心も高まっていると言えるでしょう。とはいっても、すべての人にとってヴィーガンが理想的な食事や栄養であるとは限りません。ましてや犬となれば尚更、そもそもの生理機能がすべて人間と一緒ではない上、多くの種類が存在し個体差もあり、わかっていないことも多くあります。理論的に、犬がヴィーガンの食事を消化することができたとしても、一般的に知られている犬にとって理想的な食事とはほど遠く、場合によっては危険でさえあるのです。すべての動物のウェルビーイング(健康や幸福)を気に掛けるのは大変立派なことではありますが、ペットの食事に関して言うなら、最も気に掛けるべきはペットの生命と健康であり、それは必ずしも人間と同じではないことを理解しましょう。


愛犬のためのドッグフード(餌)の選び方に関する記事」もご参考ください。

Contributor Bio

Jean Marie Bauhaus

ジーン・マリー・バウハウス

オクラホマ州タルサ在住のペットオーナーでもあるペットブロガー兼小説家。いつもペットたちに見守られながら執筆活動に勤しんでいる。

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