愛犬の避妊手術について調べていると「避妊手術はしない方がいい」という意見を目にすることがあります。全身麻酔や手術そのものへの不安から、本当に受けさせるべきなのか迷っている飼い主さんもいるでしょう。
避妊手術には、望まない妊娠を避ける目的があるほか、子宮蓄膿症など一部の病気の発症リスク低減が期待される側面があります。一方で、手術や麻酔に伴うリスクがあり、手術を検討する時期もすべての犬で同じとは限りません。
本記事では、犬の避妊手術をしない方がいいと言われる理由や、避妊手術をするメリット・デメリット、適切な時期などを解説します。
「しない方がいい」と言われる背景には、全身麻酔への不安や術後の体重変化、繁殖の予定などがあります。どの点を心配しているのかによって、獣医師に相談すべき内容も変わります。
メス犬の避妊手術では、一般的に全身麻酔下で卵巣、または卵巣と子宮を摘出します。
健康な犬であっても、麻酔や外科手術には一定のリスクがあります。そのため、手術前には診察や必要に応じた検査を行い、健康状態を確認したうえで実施を検討します。
持病の有無や年齢によって注意点は変わります。術前検査で何を確認するのかも、手術前に聞いておくと理解しやすくなります。
避妊手術後は、体重の変化にも目を向けておきたいところです。避妊後は必要エネルギー量が変化し、手術前と同じ食事量でも体重が増えることがあります。
ただし、手術後にすべての犬が太るわけではありません。体重の推移を見ながら、活動量や食事量を調整します。
手術前の体重を記録しておくと、術後の増減を比較しやすくなります。
将来的に繁殖を予定している場合、避妊手術を行うと妊娠することはできなくなります。
繁殖を検討している場合は、犬種固有の遺伝性疾患や母犬への負担なども含め、事前に獣医師や繁殖に詳しい専門家へ相談しましょう。
繁殖を考える場合は、母犬の健康状態や遺伝性疾患への配慮も必要です。計画の段階から獣医師などの専門家に相談しておきましょう。
その他、子犬の避妊・去勢について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
手術を受けない場合は、発情の管理に加えて、生殖器に関連する病気のリスクも残ります。手術のリスクだけでなく、受けない場合のリスクも一緒に考える必要があります。
子宮蓄膿症は、子宮内で細菌感染が起こり、膿がたまる病気です。未避妊のメス犬でみられ、状態によっては重症化することがあります。
元気や食欲の低下、飲水量の増加など、いつもと違う様子がみられた場合は早めに動物病院を受診しましょう。
発情後に体調が変わったときは、未避妊であることや、いつ発情があったかも動物病院に伝えると診察の参考になります。
避妊手術のタイミングと乳腺腫瘍のリスクには関連があります。一般に、発情を経験する回数が増えるにつれて乳腺腫瘍のリスクが高まる可能性があるとされています。
ただし、避妊手術の時期による健康上のメリット・デメリットは犬種や体格によって異なるため、乳腺腫瘍だけを基準に時期を決めるのではなく総合的に判断する必要があります。
乳房にしこりなどの変化がある場合は、避妊手術の有無にかかわらず動物病院で確認してもらいましょう。
避妊手術を行わないメス犬には周期的な発情があります。
発情中は妊娠する可能性があるため、オス犬との接触を避けるなど日常の管理が必要です。散歩や外出時の行動も含めて、家庭で対応できるか考えておきます。
多頭飼いの場合は、同居犬の性別や避妊・去勢の状況も踏まえて管理方法を決めておくと安心です。
避妊手術の目的は、望まない妊娠を避けることだけではありません。生殖器に関連する一部の病気のリスク低減も、検討材料の一つです。
避妊手術の主な目的の一つは、望まない妊娠を避けることです。
さらに、卵巣や子宮を摘出することで、子宮蓄膿症をはじめとする生殖器に関連する病気の発症リスク低減につながると考えられています。
どのメリットを重視するかは、愛犬の年齢や犬種、健康状態、今後繁殖する予定があるかによって変わります。
手術時期は「生後何か月」と月齢だけで決まるものではありません。初回発情の時期や犬種、成長の程度を見ながら個別に検討します。
メス犬は成長すると発情期を迎えます。初回発情の時期には個体差があり、一般的に大型犬では小型犬より遅い傾向があります。
初回発情の時期は犬によって差があります。月齢だけでなく、体格や成長の様子も見ながら獣医師と時期を相談します。
初回発情前の避妊手術は、乳腺腫瘍のリスク低減という面でメリットがあります。
一方で、適切な時期は犬種や体格によって異なるため、「生後◯か月なら全ての犬に最適」とは限りません。
発情前に行うメリットだけでなく、犬種ごとの成長や将来的な健康面も手術時期を決める材料になります。
大型犬では成長が終わる時期や整形外科疾患などとの関連も考慮する必要があるため、避妊手術の時期を遅らせることがあります。
大型犬などでは成長の進み方も考慮します。犬種・体格・健康状態をまとめて見たうえで、手術時期を相談しましょう。
特に成長に時間がかかる犬種では、骨格の成熟度などが検討材料になることがあります。
子犬の時期を過ぎても、健康状態によっては手術が選択肢になります。成犬・高齢犬では、年齢よりも全身状態や麻酔リスクの評価が重要です。
子犬の時期に避妊手術を受けなかったからといって、その後は手術できないとは限りません。
成犬や高齢犬では、年齢だけでなく心臓や腎臓などを含めた全身の健康状態を確認し、麻酔や手術へのリスクを評価したうえで検討します。
高齢犬では持病が見つかることもあるため、「何歳まで」と年齢だけで線を引かず、検査結果を踏まえて判断しましょう。
高齢犬の健康管理の基本については以下の記事をご覧ください。
手術日を決める前に、費用、術前検査、絶食など当日の準備を確認しておくと安心です。
費用は動物病院や犬の体格、術前検査、入院の有無などによって異なります。
費用を見るときは手術代だけでなく、術前検査、麻酔、薬、入院、術後診察まで含まれているか確認します。
同じ避妊手術でも費用に含まれる項目は病院ごとに異なるため、見積もりの内訳まで聞いておくと比較しやすくなります。
避妊手術が保険の補償対象になるかは契約内容によって異なります。
手術を予定している場合は、加入している保険会社や契約約款を事前に確認しましょう。
補償範囲は保険商品や契約内容によって異なります。手術を予定している場合は、事前に保険会社へ確認しましょう。
手術前には診察を受け、必要に応じて血液検査などで健康状態を確認します。
絶食時間などの準備については動物病院によって指示が異なるため、病院から案内された内容に従いましょう。
絶食や飲水の制限は病院によって指示が異なります。自己判断せず、指示された時間や方法に従いましょう。
帰宅後は傷口だけでなく、食欲、元気、排泄なども見ておきます。病院から指示された安静期間や傷口の管理方法を優先しましょう。
帰宅後は、傷口を気にして過度になめていないか、出血や腫れがないか、食欲や元気が戻っているかなどを観察しましょう。
明らかにぐったりしている、傷口の状態がおかしいなど、心配な変化がある場合は手術を受けた動物病院へ連絡してください。
気になる変化があれば、写真やメモに残しておくと電話相談や再診時に状態を伝えやすくなります。
元気が戻ったように見えても、傷が治るまでは激しい運動を避ける必要があります。
散歩や運動を再開するタイミングについては、獣医師の指示に従いましょう。
回復期間中は、階段やソファへのジャンプを避けられるよう生活スペースを一時的に調整する方法もあります。
術後は必要なエネルギー量が変化する可能性があります。
定期的に体重を確認し、増加傾向が続く場合は給与量やフードについて獣医師に相談しましょう。
手術直後の食事と、回復後の長期的な体重管理は分けて考えます。通常の生活に戻った後は、体重の推移に合わせて食事量を見直しましょう。
避妊・去勢後の体重管理に適したフード選びについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
避妊・去勢後の体重管理を考える方には、小型犬向けの体重管理専用のフードも選択肢になります。ヒルズでは小型犬に適した専用フードも展開しているので、気になる方はぜひご確認ください。
なお、小型犬以外や持病のある犬では、適したフードが異なることがあります。食事の切り替えに迷う場合は獣医師へ相談しましょう。
避妊手術についてよく聞かれる質問に回答していきます。
一律に「した方がいい」「しない方がいい」と決められるものではありません。手術をしない場合には子宮蓄膿症や乳腺腫瘍などのリスクが残る一方、手術には麻酔や外科処置に伴うリスクがあります。犬種・体格・年齢・健康状態などを踏まえて獣医師と相談しましょう。
手術の可否や時期は個体差があるため、愛犬の健康状態や生活環境を含めて相談することが大切です。
すべての犬に共通する年齢はありません。初回発情前が一つの目安となる場合もありますが、大型犬では成長終了後まで待つことが検討されるケースもあります。
年齢だけで決めるのではなく、犬種や体格、発情歴、健康状態を合わせて考えます。
年齢のみではなく、現在の健康状態や麻酔リスクを含めて判断します。手術を検討している場合は、まず動物病院で健康状態を確認してもらいましょう。
高齢犬では術前検査の結果も踏まえて、手術によるメリットと麻酔リスクを個別に検討します。