
犬の健康体重の維持について
庭で綱引きのおもちゃをくわえている茶色のヴィズラ種の犬。
ペットに最適なフードを見つけましょう。
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多くの先進諸国では、人も犬も肥満傾向が増加していることが問題になっています。そのため、体重が増えにくい、太りにくい、ことは風潮的に良いことのように聞こえるかもしれません。定期的な運動や食事管理をしているといった妥当な理由があれば問題はありませんが、きちんと食べているのに痩せているなら、健康リスクを考えると、実はあまり良いこととは言えないかもしれません。今回は犬の健康的な体重とその維持について解説します。
犬の健康的な体重とは何か
犬の標準的な体重について、近年の誤った一般的認識についてまずご紹介しておきます。近年、動物や人間の肥満の割合が増加しているため、それが正常または健康体重だと勘違いしている傾向があります。獣医師が「健康体重」「引き締まった良い体型」と判断しているのを、「痩せている」「痩せてこけたようにみえる」と感じる飼い主さんがいるのです。
健康的な体重とは、いわゆる適正体重あるいは理想体重とも呼ばれます。犬種によってある程度の目安はありますが、やはり個体差は大きいものです。獣医師はボディコンディションスコア(BCS)を使って動物の体型を確認し、適正な体重かどうかを判断します。理想の体型は犬の肋骨および肩甲骨を触ることができ、上から見たときくっきりウエストのくびれがある状態です。
犬の健康体重を維持するために、飼い主さんができること
痩せ気味の犬の体重を、適正な体重までなかなか増やすことができない場合に、よくある理由とその対処方法を紹介します。
- 運動量と食事量:犬のタイプや犬種によって、必要なエネルギーと必要な運動量はさまざまです。ドッグフードに書かれている給与量の目安は、あくまでその体重における「平均的な犬」を基準に書かれているため、前後15%程度の幅があることはよくあります。実は運動量に対して、摂取エネルギーが足りていない、という可能性もあります。効率よくエネルギーを摂取してもらうために、食事回数を1~2回から3~4回に増やす、という方法もあります。
- ライフステージ:一般論として、若くて未去勢または未避妊の犬は、年齢が上の去勢(避妊)された犬よりも、体重1kgあたりのエネルギー要求量が高くなります。この場合も、与える食事量を増やすことで解決する可能性もあります。愛犬のライフステージに合ったドッグフードを与えているか確認しましょう。
- 不安などのストレス:不安や恐怖によって犬がストレスを感じる、ということは比較的よくあることで、食事量や消化に影響を与えることがあります。こういったケースではそのストレス源、あるいは不安や恐怖に対する対処が必要になりますが、補助的なツールとして不安の軽減に役立つサプリメントやそういった成分が含まれているフードを獣医師が勧めるかもしれません。根本的な対処方法については、状況に応じて犬の行動学の専門医、あるいは信頼できるトレーナーを紹介してもらいましょう。
- フードのエネルギー密度:ドッグフードは圧倒されるほど非常にさまざまな種類があります。最近は肥満予防のため、あらかじめカロリーコントロールされている製品も多くあります。そのため、もしかしたら与えているフードではカロリーが低すぎて犬の体重を維持できないのかもしれません。こういったケースでは、獣医師は食物繊維の割合が低く、カロリーが高いフードを提案します。このようなフードは、少ない食事量でも高いエネルギーと栄養を摂取でき、体重を維持できるように設計されています。
- 寄生虫:近年では重度の寄生虫症は非常に珍しいですが、これが犬の体重が増えない原因である可能性もあります。健康診断で糞便検査をしてもらい、お住まい環境や犬のライフスタイルにあった寄生虫の予防プログラムを獣医師と相談してください。
- 病的な原因:体重減少は、さまざまな病気の一般的な初期の徴候です。犬のフードの内容と量が適正であるにもかかわらず、体重が減ってしまう場合には、動物病院で必要な検査を受けるようにしてください。
個々の体質に合わせた食事内容や食事量、運動習慣について、獣医師と相談してみましょう。そして、体重が増えないことが必ずしも大きな病気の兆候とは限りませんが、少しでも不安に感じることがあれば獣医師に相談してくださいね。
監修:ハイン・マイヤー博士(DVM、PhD、Dipl-ECVIM-CA)