小型犬によくみられる健康トラブル

執筆: エリン・オリラ
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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これから子犬を迎える方にとって、迎える直前は楽しみでワクワク、ドキドキしていることでしょう。そして、わんちゃんに必要なもの、食器やベッド、子犬にぴったりなおもちゃ を準備したり、これからのワンちゃんとの過ごし方などをいろいろ調べたりしているかもしれませんね。でも、こういった準備と併せて、これから迎える小型犬種がかかりやすい病気についても知っておくことはとても大切なことです。生き物ですから、飼っていればいろいろなことがあります。何か問題が起こったときに、正しい対処ができるように、備えはバッチリにしておきましょう!

小型犬種に比較的多くみられる健康トラブルをご紹介します。もちろん、それぞれの犬種や飼育されている状況、環境も異なりますし、必ずしも愛犬がそうなるということではありませんが、知識として知っておいて損はありません。

1. 気管虚脱

気管虚脱は小型犬に起こりやすい呼吸トラブルの一つで、気管が構造を保てずに潰れてしまう病気です。ヨークシャ-・テリアやマルチーズなどが好発犬種ですが、フレンチ・ブルドッグやパグのような短頭種にも多く見られます。アメリカ獣医外科学会(ACVS)は、「気管虚脱は、気管および下部気道の慢性で進行性かつ不可逆性の疾患である。」と説明しています。心臓や呼吸器に持病を持っているケースのほか、喫煙者がいる家庭で、かつ太っている犬に発生が多いようです。

中年齢以上の発症が多いですが、時には若い犬でも気管の問題が起こることがあります。その症状には、喘鳴(ぜーぜー、ハアハアといった息づかいのこと)、呼吸困難、失神、激しい咳などがあります。時に救急に対処が必要になることもあるので、ペットが過去にこういった症状を起こしたことがある場合には、以後注意深く観察することが必要です。治療には投薬による内科的な治療と、状況によっては外科的な治療が推奨される場合もあります。お家でできることは、獣医師の指示通りに投薬を行うこと、救急時に連絡できる動物病院を確認しておくこと、室温管理に注意して、暑くなり過ぎないようにすること、そして体重管理をすることです。

2. 膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼とは、いわゆる膝のお皿がずれて脱臼してしまうもので、実際に小型犬に多く発生がみられます。ACVS は、膝蓋骨脱臼は小型犬の最も一般的な整形外科疾患で、子犬の7%で診断される、と報告しています。最もかかりやすい犬種として、トイ・プードル、チワワ、ボストン・テリア、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンがあげられます。

膝蓋骨が脱臼すると脱臼した足に体重をかけることができず、足をあげて片足で歩くような様子や、自身で後ろ足を後方に伸ばすような仕草をすることがあります。膝のお皿は、一時的にずれるだけのこともあれば、重症例では完全に外れたままになってしまうこともあり、こういった脱臼の程度によってグレード分けがあります。治療は症状の程度によって、体重管理や運動の制限、生活環境を整える(滑らないようにする等)ことと合わせて、必要に応じて鎮痛剤やサプリメント等で様子をみる保存療法と、外科的な手術が選択される場合とがあります。

愛犬の歩き方に違和感がないか、脚をかばったり、振ったりなど気にしている様子がないか、よく観察してください。脱臼の程度がひどく、痛みが伴う場合には、外科手術を勧められるかもしれません。小さな犬に手術をすることはためらってしまうこともあるかもしれませんが、手術によって痛みから解放されて、運動機能の回復を望むこともできます。獣医師とよく相談しましょう。

Blonde Pomeranian mix being groomed

3. 僧帽弁閉鎖不全症

心臓疾患は小型犬で多く見られる深刻な健康トラブルの一つです。僧帽弁閉鎖不全症は、小型犬の心臓疾患の中で、最も発症の多い疾患です。これは、僧帽弁という心臓の部屋を分ける弁の1つにトラブルが起き、うまく弁が閉じられなくなってしまう病態です。アメリカンケネルクラブ犬の健康財団(AKCCHF)によると、僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内の僧帽弁が厚くなったりもろくなったりなど劣化し始めたとき、あるいは僧帽弁の周囲の筋肉にトラブルが起きたときに起こります。劣化した弁は正常に開閉することができず、左心房(4つある心臓の部屋の一つ)に血液の一部が逆流してしまうようになります。

最初のうちはこのような逆流が起こっても、必要な血液を送り出すために、代償機能が働きます。そのため、この疾患の犬の多くは初期の段階では無症状であるものの、病態が進行しこの代償機能に限界が訪れると、うっ血性心不全の状態に移行していきます、とAKCCHFは説明しています。うっ血性心不全の徴候には、呼吸困難、通常よりも速い呼吸、食欲不振、運動不耐性、傾眠傾向、虚脱などがあります。

この病気は症状が明らかに出る前に発見され、適切なタイミングで治療が開始されれば、深刻なうっ血性心不全を発症するリスクを下げることができるといわれています。定期的な健康診断を受けることがとても大切です。

4. 出産時のトラブル

愛犬の繁殖をお考えなら、事前に必ず獣医師に相談するようにします。犬は安産だとはいっても、出産には様々なトラブルが起きることもあります。その中でも小型犬、特にパグ、ボストン・テリア、トイ・プードルは、骨盤の開口部が狭いため難産になりやすい、とブラックウェルの獣医師による5分間相談 は報告しています。繁殖を考えているなら、小型犬は自然分娩ではなく帝王切開になる可能性があることも知っておかなければなりません。出産予定日が近づいてきたら、飼い主としてしておくべきことを前もって獣医師にきちんと確認し、計画を立てておきましょう。

妊娠後の定期的な検査を受ける中で、状況によっては計画的な帝王切開を検討する必要が出てくることがあるかもしれません。また、出産の経過によって帝王切開に移行せざる得ない状況もあるでしょう。いずれにしても、こういったことを獣医師とは事前に相談し、いざというときの連絡体制が取れるようにしておきましょう。

5. .体温調節

人間が不快になるほどの極端な温度ではないのに、犬が極端に寒がったり、暑がったりすることはありませんか。VRCC専門・救急動物病院 は、「小型犬、短毛の犬、子犬、老犬、室内犬、心臓病やその他の病気を持つ犬は、低温に敏感になりやすい。」といいます。つまり、これらの犬は皆、低体温を起こしやすい一方、その逆のオーバーヒートも起こしやすく、温度に関しての許容範囲が狭いということです。

愛犬が寒さに弱い場合は、セーターやジャケットを着せて内部温度の低下を防いであげましょう。一方、暑さに弱く、オーバーヒートのリスクがあるときは、外気温には常に注意し、暑い日の日中は外に出ることを避けたり、散歩中も定期的に木陰で休憩する等の配慮が必要です。正常な体温を維持するために、適切な水分補給も大切です。愛犬の温度管理についてわからないことがあれば、動物病院に尋ねてみましょう。

犬を飼う前から、病気のことについてあれこれ言われるのは、なんだかネガティブな感じもして気が引けてしまうかもしれませんね。でも、時には体調を崩したり、けがをしてしまうこともあるのは、人間も犬も同じです。いざというときのために、適切な対処ができるようにしておくことは、その後の結果に大きく影響することになります。小型犬ならではのことに加えて、犬種によってもその特徴から日頃から気をつけておきたいポイントなどもあります。ご自身で調べてみるものいいでしょうし、動物病院に尋ねてみるのもよいでしょう。

筆者紹介

エリン・オリラ

メッセージが持つ言葉の力は受け手に伝わり、時に大きな変化をもたらしうると信じるライター。インターネット、出版物と活動の場は広く、執筆内容はインタビュー、代筆、ブログ、独創的なノンフィクションなど、多岐にわたります。SEO(検索エンジン最適化)、ソーシャルメディア全般にも詳しく、フェアフィールド大学でクリエイティブ・ライティングのMFA(美術学修士)を取得しています。ツイッターは@ReinventingErin。さらに詳しい情報はホームページのhttp://erinollila.comで入手可能です。

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