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犬が吐くのは珍しいことではありませんが、ペットが吐くのには多くの理由があり、中には注意が必要なものもあります。吐くという行動は同じですが、「嘔吐」「吐出」の違いを理解し、その上で、原因、対策について学びましょう。
前述したように、犬の吐く行為には「嘔吐」「吐出」など性質の異なるものがあります。それぞれがどのようなものか説明します。
吐出とは、犬が身体の中にある有害な物質を体外に出そうとして食物や液体を口から出す生理的行動を指します。吐出の場合、犬は胃に入る前の未消化の食物、水、唾液が混じったものを咳とともに吐き出すのが普通です。吐出には筋収縮が伴わず、犬は食後すぐに前触れもなく吐き出しているように見え、何かがこみ上げてくるような前兆は見られません。
吐出に対して、嘔吐は、嘔吐は強力な筋収縮によって食物が胃や小腸上部より吐き出されることを指すのが一般的です。犬が嘔吐するときは、おそらく吐き気を催している独特の音を伴い、未消化または部分的に消化された食物が、胃からであれば透明な液体とともに、小腸からであれば黄色または緑色の液体(胆汁)とともに吐き出されます。

シャグリン・フォールズ獣医学センター・ペットクリニック は、犬に嘔吐を起こす原因のうち、以下の8つを頻度が高いものとして挙げています:
吐出はどの犬にも起こり得ますが、Wag! によると、シャー・ペイ、ジャーマン・シェパード、グレード・デーン、アイリッシュ・セッター、ラブラドール・レトリーバー、ミニチュア・シュナウザー、ニューファンドランド、ワイアー・フォックス・テリアといった品種は吐出を起こしやすいようです。
犬の嘔吐は珍しいことではなく、時々見られる程度で、元気も食欲も問題ないようであれば通常は飼い主がそこまで心配する必要はありません。では、どんなときに心配するべきなのでしょうか。
ノースアシュビル動物病院 によると、犬の嘔吐にはいくつか心配すべき状況がある、と言います。
吐き戻しだけでなく、いつもよりよく眠る、食べることを拒否する、下痢しているなど、普段と違う様子も見られるときは、直ぐに獣医師に連絡するべきです。
吐瀉物に血が混じっているときや、犬がコーヒーかす(乾いた血液)のようなものを吐いているときは、獣医師に連絡してください。血液は、犬が骨やおもちゃなどの鋭い異物を食べたとか、胃潰瘍といった深刻な問題が生じている兆候であることがあります。
時々嘔吐する程度であれば異常なことではありませんが、犬が頻繁にあるいは過度に吐くときは、すぐに動物病院を受診しましょう。
これら以外でも、愛犬の吐く様子に少しでも心配があるときは、ためらわずに獣医師に相談するようにしてください。
子犬は生後1年間、ワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成犬は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢犬や特別なケアが必要な犬は、より頻繁な検診が必要になる場合があります。
獣医師はまず全身状態を確認し、嘔吐あるいは吐出の原因と犬の全身への影響を見極めます。吐出か嘔吐かに関わらず、おそらく獣医師は最初に、靴下、骨またはその他の異物が犬ののどや消化管に詰まっていないかを確認していきます。可能であれば吐瀉物は捨てずに保管し持参しましょう。異物の有無やその異物の正体の特定に役立つことがあります
獣医師は、この問題が吐出であると判断したら、次に食道または胃に関連した問題を探し始める、とWag!は言います。中毒事故、腫瘍、胃酸の逆流、食道拡張症についても調べる可能性があります。
明らかな異物等がなく、嘔吐の理由がはっきりしない場合には、感染症と脱水の有無も併せてチェックすべき、とアメリカンケネルクラブ は言います。獣医師は、さらに詳細な食道や胃と小腸の評価や腎臓病、糖尿病、肝臓病、膵炎などの疾患の検査を実施するでしょう。
嘔吐、吐出の原因が判明したならば、飼い主が自宅でできるサポートがあります。
ワシントン州立大学獣医学部 は、犬が嘔吐した場合のケア方法のヒントを紹介しています。
一般的に2~3時間絶食させます。ただしその前に必ず、絶食させるべき期間を獣医師に尋ねておいてください(ただし、ペットの健康状態によっては水を絶対に控えてはいけない場合がある、と同学部は注意を促しています。愛犬の水分を控えるときは事前に獣医師に相談するほうがいいでしょう)。嘔吐が続くときは、脱水が状態をより悪化させてしまう原因になることもあるため、水分はとても重要です。
嘔吐が止まったら良質の消化の良いフードを与え始めます。2~3日間は少量ずつ1日3~6回に分けて与えるようにしてください。徐々に1回の量を増やしながら食事回数を減らし、普通の食事に戻していきます。獣医師から水も控えるように言われていたときは、水もゆっくりと少しずつ与え始めてください。
吐出にも、その原因によって様々な対策を打つことができます。
吐き戻しの原因が早食いにあることが分かったときは、犬が工夫をしないとフードを獲得することができず、ゆっくりと食べざる得なくなる、「パズルフィーダー」がひとつの解決策になるかもしれません。
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取り上げた対策方法は、あくまで一例です。ストレスや不安、異物の摂取によって嘔吐、吐出が発生しているならば、ストレスを軽減するような要因を排除したり、異物が口に入らないように管理を見直すなど対策は異なります。大切なことは、原因を特定し、それに合った対策を取ることにあります。
犬は人と比べると比較的吐きやすい動物です。嘔吐や吐出が見られても、必ずしも病気だとか、すぐに獣医師の診察が必要になるわけではありません。しかし、繰り返したり、元気や食欲が落ちてくる等、いつもと違って何かがおかしいと感じる症状が見られるときは、躊躇せずに獣医師に相談しましょう。
プロフェッショナル獣医学術部
プロフェッショナル獣医学術マネジャー
日本ヒルズ・コルゲート株式会社
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