犬の悲しげな表情のわけとは？

犬も、うつ状態になることがある

悲しげな表情と悲しい感情とが直接関係ないとしても、悲しい気持ちになったり、意欲が低下したりする「うつ」という症状が人間にあるように、犬のうつも実際にあります。犬のうつの症状は人と似ています。主に見られる症状を知っておきましょう。

• 食欲が低下する。
• 過度に舐める（特に足）。
• 散歩や遊びなど、以前は大好きだった活動に興味を示さなくなる。
• 眠りが浅くなったり睡眠パターンが乱れたりする。
• あなたや別の家族に過度に付きまとう。
• 突然破壊的な行動をとる。
• 家の中で粗相をする。

こういった症状は、犬が痛みを感じている、健康に問題を抱えている、または深い悲しみを感じているときにも現れることがあります。これらの症状が続いていることに気づいたら、早めに獣医師に相談してください。痛みやストレス、病気があるかどうかを見極め、元の幸せな状態に戻れるように必要な治療やアドバイスをしてくれるでしょう。

アメリカンケネルクラブ は、犬も実際にグリーフ（喪失体験に伴うさみしく思う気持ちや悲しみなどの感情）などの精神的な苦痛を感じている、と言います。そして犬は人の感情も感知することもできます。もしかしたら愛犬の悲しみは、家族の感情を反映しているのかもしれません。ペットが誰かの悲しみを察知している場合は、その人自身のケアが必要な状況なのかもしれません。ペットにできるかぎりのベストなケアを提供するためには、一緒に暮らす家族自身のケアも大切であることを忘れないようにしましょう。

犬は、同居していたペットや家族がいなくなったり、家庭や生活環境に大きな変化があったりした場合にも、うつ状態になることがあります。仕事や家事で忙しくて愛犬と遊ぶ時間が少なくなっていたとしたら、無視されているように感じているかもしれません。たとえば、新しく人やペットが家族に加わった場合は、先住のペットが嫉妬する可能性も考えられます。一方で、うつのように見える場合の理由はさまざまな可能性があり、単に退屈なだけ、ということもあります。

犬の悲しげな表情のわけ

子犬のようなうるうるとした目で上目遣いをしている愛犬には、「なぜそんなに悲しそうなの？」と聞きたくなってしまうこともありますよね。でも、典型的な犬の悲しげな表情は、感情的な理由というよりもむしろ、人間との関係性の進化やコミュニケーション（家族とのつながり）との関連の方が深い、と研究者たちは考えているようです。

その一方、犬のうつは比較的わかりにくくなる傾向があります。なんとなくでも、以前とは違う様子や行動の変化が続くようであれば、犬の様子にもっと注意を払うようにして、考えられる理由を思い返してみましょう。

愛犬の精神的な健康にとって最も重要なことの一つは飼い主との絆です。ペットと一緒に楽しめることを見つけて、犬のための時間を毎日作るようにしましょう。遊んだり、運動したり、なでたりする時間をたっぷり取ってあげるだけで、犬はずっと幸せでいられます。犬のうつについて詳しく知りたいときは、獣医師や犬の行動の専門家に相談してください―獣医行動学専門医 について知っておくのもいいでしょう。