小型犬って飼いやすい?小型犬種について知っておきたいこと

執筆: ジーン・マリー・バウハウス
所要時間:

ペットに最適なフードを見つけましょう。

ペットに最適なフードを見つけましょう。

ペットに最適なフードを見つけましょう。

小さいものを、"かわいい"と感じるのは、多くの人に共通することです。犬も例外ではなく、成犬になってもサイズの小さい小型犬をかわいいと思う感覚は一般的なものでしょう。でも、もし犬を飼うことを検討していて、その目的が"見た目のかわいさ"だけなのだとしたら、それは犬を飼うことを考え直す必要があります。犬はサイズが小さいからと言って、ぬいぐるみとは違います。犬は犬ですから、犬として元来持ちうる多様な形質を持っています。加えて、小型犬ならではの大型犬とは違う特徴も持っています。この記事では、小型犬について知っておくべき特徴をご紹介します。犬を飼うことを検討している方々は、是非犬種選びの参考にしてみてください。

小型犬種の多様性

A cute yorkshire terrier peeking from around a woman's shoulderアメリカンケネルクラブ(AKC) には、トイ種グループという分類があり、その中には標準体重が10ポンド(約4.5 kg)までの犬種が属しています。多くの人は小型犬というと、このトイ種=小型犬種と思っている方が多いようです。でも、小型犬種は一般に体重21ポンド(約9.5 kg)以下の犬種とされているので、そうなると該当する犬種はほとんどすべてのグループに含まれています。たとえばダックスフンドは、犬としては小さなサイズですが、AKCのハウンドグループに属していますし、ジャック・ラッセル・テリアも小型のサイズですが、テリアグループに属しています。

ケネルクラブの犬のグループは、身体のサイズよりもむしろ犬の気質や性格に関係した特徴から分類されています。ですから、小型犬種を選ぶときは、どのグループに属しているかということも大切なポイントです。小型犬の多く、特にトイ種に属している犬種は、もともと室内で人間の良き伴侶として繁殖されてきている犬種が多く、都会での生活や集合住宅に向いている犬種が多く含まれています。一方で、元来、ネズミなどの害獣やその他の小さな獲物を捕らえるように、選択育種されたダックスフンドやある種のテリアは、その狩猟本能を発揮できるような農場や田舎での暮らしが実は向いているともいえるのです。

このように、犬はサイズに関わらずそれぞれに様々な歴史があり、それに伴って様々な性質や特徴をもっています。それは言い換えると、性質的、あるいは身体的に満たされるべき要求が個々の犬によって異なるということなのです。ですから、飼うことを検討している犬種がいる場合には、十分に調べて、ご自身の家族構成や、住宅事情、ライフスタイルにその犬がぴったり合うのかどうか十分に検討することが大切です。

小型犬の利点

小型犬を選ぶ利点を考えてみましょう。小さいという点では何と言っても省スペースでよいというところでしょう。そこまで大きなお家やお庭がなくても、飼うことができます。とはいっても、全く運動が必要ないというわけではありません。犬種によっては、けっこうな運動量が必要な小型犬もいます。犬のニーズに合わせて、適度に運動させてあげることが必要です。また、当然ながら食べる量が少ないので、いわゆる食費のコストは少なくすみます。それに伴って、排泄の回数も(量的にみても)少ないのでその点でもお世話は楽です。ほかにも、シャンプーなどの量も少なくすみますし、抜け毛の量も一般的には少なく処理が楽ということもあります。単純に小さいので、抱き上げたりして運ぶのに楽ですし、引っ張る力も大型犬よりは弱いので、散歩時のリードのコントロールがしやすいということも利点です。PetMD によると、一般に小型犬は大型犬よりも丈夫で長生きする傾向があるということも挙げられています。

小型犬ゆえの問題

小さいことの利点は多くありますが、残念ながら小さいが故の問題もないわけではありません。健康面では丈夫な傾向がありますが、小さな身体はデリケートで怪我をしやすいという点が挙げられます。抱かれているときの落下事故や、家具から落ちたりジャンプしたりすることでの負傷、犬同士でのトラブルでも怪我を負いやすいということもあります。そのため、特にトイ種の犬は、一般に幼い子どもがいる家庭に向いているとは言えず、たとえ年長の子どもでも、しっかりとした監視が必要ですし、併せて小型犬の正しい扱い方を教える必要があります。

また、小型犬には膝のお皿がずれてしまう膝蓋骨脱臼や、気管が潰れてしまう気管虚脱のような、大型犬では起こりにくい健康トラブルを起こしやすい傾向もあります。愛犬にいつもと違う様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。獣医師は、愛犬に気管虚脱の傾向があると判断した場合には、普通のリードと首輪ではなく、胸部に取り付けるハーネスの方が良い、というような、病態に応じた適切な犬の扱い方の指示をしてくれます。

小型犬は抱っこされるのが大好きで、膝の上に乗る大人しい犬といった印象があるように思われがちですが、実際にはとりわけ運動が必要な小型犬種もいますし、運動が好きな子もいます。犬があまりお散歩が好きではないとしても、いずれにしてもある程度の運動はどの犬にも必要です。ご自身がインドア派で、あまり外出が好きではないという場合は、室内で遊ぶだけで運動ニーズを満たすことができる犬種を探すべきでしょう。小型犬種は一般的にちょこまかと動き回り元気いっぱいですが、犬種によってはランニングに付き合わせるほどの体力がなく、長く遊んだり運動したりすることには向いていない場合もあります。無理のない範囲で、ちょこちょこ遊んであげるようにすると必要な運動量の確保に役立つでしょう。

また、注目すべきこととして、Applied Animal Behaviour Science(応用動物行動科学)誌  に発表された2009年の研究によると、最も攻撃的な犬種の上位3つを、なんと小型犬の、ダックスフンド、チワワ、ジャック・ラッセル・テリアが占めていたということです。ドッグタイム  によると、攻撃性はこれらの犬種に生まれつきあったものではなく、主に身体が小さいことによる恐怖反応であり、社会化不足や攻撃性を深刻に考えず、むしろかわいいと扱ってしまう飼い主による過度な甘やかしによって悪化するもの、と一般に考えられています。ここでの教訓は、小型犬を友好的でマナーを身につけた犬に育てるためには、大型犬と同様に適切な社会化としつけが必要だということです。また、ペットプレイス は、小型犬のサイズと見かけのかわいさの誘惑に負けて、人間の赤ちゃんのように何でもやってあげて、何をやっても許すような扱いをしていると、結果的に問題行動につながってしまうおそれがあります。小さくても、きちんと犬らしく振る舞わせることも重要だ、と言います。

小型犬の栄養要求量

Cinnamon Chihuahua puppy dressed in a black and red argile sweater eating out of a bowl.小型犬が食べる量全体は大型犬より少ないのですが、体重あたりにすると、実際は小型犬種のほうが多くのカロリーを必要とします。PetMD によると、小型犬種は大型犬種よりも代謝が速く、一日に体重1ポンド(約454g)あたり40カロリーを必要とするのに対し、大型犬の必要量はその半分より少し多い程度だということです。そう考えると、必然的に小型犬種の成犬はカロリー密度の高い食事を一日に2~3回摂る必要があるということになります。そして、これが子犬となると、成長のためにもっと多くのエネルギーが必要になりますが、一度に食べられる量はそんなに多くはないため、もっと頻繁に食事を与える必要があります。食事の時間があきすぎると、血糖値が下がりすぎる、いわゆる低血糖を起こしてしまうことがあります。低血糖の症状は、脱力や傾眠、筋振戦、痙攣発作などがあり、さらに重篤な場合には死に至ることもあります。

小型犬には、小型犬種向けに作られた小型犬用フード の給与が推奨されます。小型犬種にあった適正なカロリーを摂取することができますし、比較的長寿の小型犬種向けに、フリーラジカルによる酸化のダメージから生体を守るのに役立つ抗酸化成分を豊富に含んでいる製品もあります。

いかがでしたか。小型犬といっても個性は様々で、小さいことでのメリットもあれば、小さいがゆえに注意しなければならないことがあるのもお分かりいただけたでしょうか。そういった個々の違いが、犬の面白いところかもしれませんね。ご自身の好みや性格、ライフスタイルをよく考えて、ぴったりな相棒を見つけてくださいね。

Contributor Bio

Jean Marie Bauhaus

筆者紹介

ジーン・マリー・バウハウス

オクラホマ州タルサ在住のペットオーナーでもあるペットブロガー兼小説家。いつもペットたちに見守られながら執筆活動に勤しんでいる。

関連記事

関連商品