猫の妊娠と出産:ケアや準備

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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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どんな動物にとっても、新しい命の誕生は奇跡で、とてもハッピーなことですよね。そして、猫にとっても妊娠や出産というのは重大なイベントになります。もし愛猫に妊娠や出産の予定がある、という方は、これからかけがえのない経験をすることができるでしょう。

猫は安産でよく知られていて、特別なトラブルがない限り母猫は自身で出産をこなすことができるので、通常は余計な手出しをせず任せておくのが一番です。そうはいっても、出産をよりスムーズにするために、そして、万一のトラブルに備えて、飼い主さんにも知っておいていただきたいことをご紹介します!

猫の妊娠の兆候

猫が妊娠した場合に見られる兆候はいくつかあるのですが、実際にはお腹が膨らみ始めて、なんだかすごくよく食べて太ってきた・・・?!といった明らかな変化が起こってから気づくことがほとんどかもしれませんね。そのほかにも、乳首がふくらんで色が濃くなり、赤くなってきます。妊娠の初期には、食の好みの変化や一時的に食欲が落ちるといったような人間のつわりのような様子がある子もいるようですが、一般的にひどいつわりの症状が出ることはあまり無いようです。5週間もするとお腹のふくらみが目立ち始め、そのあと出産までふくらみ続けます。この頃から食欲が増加し体重も増えていきます。

行動にも大きな変化が見られるかもしれません。以前よりも人懐っこくなって、 飼い主にまとわりつくようになったり、逆に、以前は人懐こかった愛猫が、つれなく引きこもりがちになることもあります。いずれも妊娠による一時的な変化です。

一般的に猫は犬と比べると安産ではありますが、妊娠中の体調変化に備えて、そして妊娠頭数の確認、また出産時のいざという時のために、妊娠の可能性がある場合には動物病院を受診しましょう。猫の健康状態をチェックし、健康診断や超音波で妊娠の確認と共に、注意しておきたいポイントなどのアドバイスをもらうことができます。

出産の準備

猫の出産までの妊娠期間中、基本的には母猫に任せておけば大丈夫です。そこで、飼い主さんに配慮していただきたいのは、落ち着いて出産できる環境づくりと、良質で健康的な食事、そしてたっぷりのお水を与えるよう心がけることです。

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、母猫とお腹の子猫に十分な栄養を与えるようにしましょう。離乳が完了するまでは、このフードを与え続けます。妊娠後期になって母猫が必要な量を食べようとしなくても慌てないようにします。お腹の中にたくさん子猫がいるので、一日数回に分けて少しずつ食べるほうがきっと楽なのでしょう。

出産日が近づいてくると、おそらく母猫は子育てに適した少し薄暗く静かで、柔らかい場所を探し始めるでしょう。タオルを敷いた箱などを用意し、それを使うよう促してみましょう。結局使ってくれなかったとしても、気にする必要はありません。

出産が目前に迫ると、通常、乳白色の分泌物が乳首から出てきます。体温を測っている場合は、お産前には正常体温(38.9度程度)よりも低くなります。そわそわとしてあちこち歩き回ったり、何度もトイレに行ったりなど落ち着かない様子が見られるようになります。

分娩が始まると、猫はさかんに喉を鳴らしはじめ、陣痛が起きているのがわかるようになります。夜間から朝方にかけて出産することが多いので、気づかない間に出産が終わっていた、ということもあるようです。ほとんどの場合、猫はひとりでお産をやりぬくことができるので、人間が介入する必要はありません。

出産時のケアや注意点

平均的な子猫の数は2頭から5頭です。最初の子から次の子猫を産むまで、一般的に10分から1時間程度の間隔があります。お腹の中にまだ子猫が残っていることがわかっていて、トータルの分娩時間が既に3時間以上かかっている場合は、獣医師に連絡し指示を仰ぎましょう。

生まれたばかりの子猫は羊膜で包まれていて、自然に破けるか母猫が舐めて破ります。もし、母猫が世話をしないようであれば、飼い主が丁寧に破ってあげます。

母猫は生まれた子猫を舐め、刺激を与えて呼吸を促します。母猫が疲れてしまってそれができない場合や、次の分娩でそれどころではない場合、あるいは母猫が舐めていても鳴かずに動かない等の場合、飼い主が母猫が舐めるのと同じように、タオルで優しく子猫を包み、子猫がうつぶせになるよう傾けて、気道から羊水を吐き出させてあげましょう。強く振りすぎないように注意します。

胎盤の排出

子猫が生まれるたびに胎盤も一緒に出てきます。胎盤が排出されず残ってしまうと、母猫の体内で感染症が起きる可能性があるため、子猫の数と同数の胎盤があるか必ず確かめましょう。母猫が胎盤を食べようとすることがありますが、これは猫の野生時代の習性の名残で異常なことではありません。ただし、状況によっては嘔吐や下痢の原因になることもあるので、積極的に食べさせることはしない方がいいでしょう。胎盤が母猫の体内に残っている可能性がある場合、すぐに獣医師に確認してもらう必要があります。

母猫はまた、通常へその緒を噛み切ります。もし自分でやらないようなら、手伝ってあげましょう。子猫の身体から2.5センチほどの部分で、へその緒を丈夫な糸でぎゅっと縛ります。そこからさらに2.5センチほどのところも糸で縛り、2つの結び目の間を消毒したハサミで切ります。

生まれた子猫は、すぐに母猫の乳首へと這っていって吸い付きます。この時点では、愛猫と子猫をそっとしておいてあげるのが一番です。通常であれば母猫は子猫に寄り添い、授乳し、舐めたりなどの母性行動を見せるようになります。ですが、中にはこのような行動を示さない、いわゆる育児放棄をしてしまう猫がいることも事実です。このような場合には、人間による介助が必要になります。出産には個々に様々なことが起こりうる可能性があることを心得て、しっかり準備を整えてあげてくださいね。

Contributor Bio

高橋智司

高橋智司

編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター、獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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