猫のFLUTDと尿路感染について知っておきたい大切なこと
ペットに最適なフードを見つけましょう。
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恐れや不安は、人間と同じく猫にも大きな影響をもたらします。猫がストレスを感じる原因には、「最近引っ越しをした」、「新しいペットや家族を迎えた」などさまざまなものがあります。原因が何であれ、猫がストレスを抱えているということは、何か根本的な問題があるはずです。トイレで排尿しなくなった場合は、問題があることを疑ってください。別の場所で排尿する、壁にマーキングする、または排尿しにくそうにしているときは要注意です。
残念なことに、アメリカでは猫が動物保護施設に引き取られたり、捨てられてしまったりする最も多い理由は、「不適切なところでの排尿」です。猫がトイレ以外で自分のテリトリーとしてマーキングを始めたら、復讐やいやがらせ行動などではなく、何か問題があると捉えましょう。行動上の問題であったり、何らかの理由でトイレが嫌いになったりという場合があるかもしれませんが、まず疑うべきは健康上の問題です。尿の問題で最も多い原因のひとつとして挙げられるのが、猫下部尿路疾患(FLUTD)です。
FLUTDとは
猫下部尿路疾患(FLUTD)は、猫の下部尿路(膀胱や尿道)に影響をおよぼす一連の異常や疾患のことをいいます。FLUTDは、尿路感染(UTI)や腎臓尿石などの原因を除外した上で診断されます。原因としては、膀胱の結晶や尿石、膀胱感染、尿道閉塞、膀胱の炎症(間質性膀胱炎または特発性膀胱炎ともいう)、および尿路におけるその他の異常が挙げられます。FLUTDは、猫を獣医師に連れて行く理由として最も多い症状のひとつです。
猫の尿路感染症を疑う兆候
- 排尿時に力んで苦しそう:猫が特発性膀胱炎にかかると、力まないと排尿ができなくなり、最終的には膀胱結石や尿道栓子の形成など、より深刻な状態となってしまいます。特にオスの猫は、尿道栓子を発症するリスクが高まります。こうなると、排尿ができなくなり、生命にかかわる状態にもなりかねません。
- 頻繁に排尿をしようとする:FLUTDの猫は、頻繁に排尿をしようとするのですが、毎回少量しか尿が出ません。
- 排尿時に痛みがある:猫が排尿時に鳴き叫ぶような場合、痛みを感じている可能性が高いといえます。
- 尿に血が混ざっている
- 生殖器や腹部を舐める:これは、猫が尿路疾患の痛みを和らげようとしている仕草です。
- イライラしやすい
- トイレ以外の場所で排尿する:トイレ以外の場所、特にタイルや浴槽などひんやりしたところで排尿するような場合は注意が必要です。
FLUTDが疑われる場合の対処
愛猫が排尿しづらそうにしていてFLUTDの兆候が見られる場合は、できるだけ早く獣医師に連れていきましょう。診察のうえ、尿検査を行います。血液検査、X線、腹部超音波検査などを行ったうえで診断を受ける場合もあります。
FLUTDは、特別な治療をしなくても改善する場合がほとんどですが、再発の可能性もあります。愛猫の生命にかかわることはありませんが、不快な症状ですので、治療をすることで生活の質が改善されるでしょう。FLUTDの治療は原因により異なりますが、基本的に愛猫の飲水量を増やすことが有効です。健康的な体重を維持し、ウェットフードを与え、トイレでの排尿を習慣づけることも大切です。しかし、家庭では治せない症状もあります。細菌性膀胱炎でしたら抗生物質で治療できますが、尿石の場合は外科的に取り除く必要があります。
常に安全を第一に考えましょう。これらの症状にひとつでも気付いたら、すぐに獣医師に連絡してください。早めに対処することで、愛猫が長期間苦しまずにすむことになります。また、FLUTDと診断されたら、治療期間中は愛猫を注意深く観察することが非常に大切です。猫は痛みを隠す性質があるため、問題が再発しないよう注意しましょう。
UTIを防ぐには
獣医師に診察してもらったら、FLUTDが再発しないように愛猫の生活環境を整えてあげましょう。環境を改善することで、再発率が80%も下がることが証明されているだけでなく、愛猫がトイレで排尿する習慣を身に付けることができます。これには、愛猫と一緒に過ごす時間を増やすことや、愛猫が窓に近づきやすくしてあげること、そして遊べるおもちゃを増やすことなどが挙げられます。さらに、トイレの数を増やし、それぞれをいつもきれいに掃除しておくことも大切です。
Contributor Bio
高橋智司
編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター 獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社