犬のダニによる皮膚病について

執筆: ジーン・マリー・バウハウス
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犬がひっきりなしに身体を舐めたり引っ掻いたりして、脱毛部分もでき始めています。もしかしたらダニが原因でしょうか。犬の痒みにはいくつかの原因がありますが、飼い主であれば犬に寄生するダニのことも知っておかなければなりません。ダニによる皮膚病は、治療できるものとは言え、時には伝染したり重症化したりすることもある皮膚病です。ここでは、犬のダニによる皮膚病と飼い主にできることについて学びます。

ニキビダニ症と疥癬について

ニキビダニ症および疥癬は、犬に寄生して皮膚病を起こす代表的なダニであるニキビダニ(犬同士には伝染しない)と、イヌセンコウヒゼンダニ(伝染する)がそれぞれ原因でおこる皮膚病です。これらのダニはマダニと同じダニ目に属した寄生性クモ形類ですが、これらはマダニよりも小型で目で見えず、それぞれ科の異なる別々の種類のダニです。

Orange dog on leash sits and scratches outside.

  • ニキビダニ症 ニキビダニは健康な犬の毛包や脂腺に寄生して常在しているダニですが、過剰に増殖することによって皮膚病を引き起こします。実際のところ、人もや動物も同様に、このダニが毛に付いていても気づくことはありません。このダニによる皮膚病は、犬の免疫機能が何らかの理由で弱っているときに起こり、毛根部の皮膚が炎症を起こして発疹や脱毛が生じますが、痒みは認められないこともあります。ニキビダニは伝染せず、多くが治療可能です。通常は子犬や、何らかの病気を持っている犬、中老齢の犬が罹患します。
  • 疥癬 疥癬は、イヌセンコウヒゼンダニによって引き起こされる皮膚病です。人に寄生するヒゼンダニもいますが、それとは別の、犬に寄生するタイプのダニです。このダニは皮膚の下にもぐり込んで激しい痒みを引き起こします。症状の出方によって、特徴的なカサブタで病変が覆われる「角化型疥癬」と、アレルギー性皮膚炎と同じような症状の「通常型疥癬」とに区別されます。いずれにしても強い痒みが特徴的です。疥癬も治療は可能ですが、伝染しやすく、人や他のペットにうつって症状を起こすことがあります。疥癬になってしまったときは、犬自身の治療に加えて、隔離と生活環境の清掃が必要になります。

ダニによる皮膚病の症状

疑うべき症状:

  • 発赤、発疹等の皮膚病変
  • 痒み
  • 脱毛
  • ただれなどの病変
  • かさぶた、皮膚の硬化、鱗屑

どちらのダニによる皮膚病も全身に脱毛等の皮膚病変を引き起こしますが、ニキビダニ症の場合は顔面や四肢によく発生する傾向があります。一方、疥癬の場合には、耳の縁や肘、踵に症状が出やすい傾向があります。

診断

獣医師は、まず皮膚搔爬(ひふそうは)と毛包の検査を実施して、症状を引き起こしているダニの検出とダニの種類の特定を試みます。さらに状況に応じて、アレルギーや代謝異常といった痒みと脱毛の別の原因を除外するために、血液検査や尿検査を含むいくつかの検査を実施する場合もあります。

ニキビダニ症の治療

ニキビダニ症の治療の基本は、駆虫薬による治療と定期的な皮膚搔爬や毛の検査によるモニタリングが必要です。また、ニキビダニ症は免疫機能に問題を起こしている何らかの背景や要因が関与している可能性が高いため、獣医師は隠れた疾患のための検査を進めることもあります。さらに、皮膚を衛生的に保つために、硫黄含有等のシャンプーによる洗浄を含むスキンケアを勧められることもあります。

疥癬の治療

疥癬もニキビダニ症と同様に、駆虫薬による治療が基本です。獣医師の指導の通りに投薬します。犬の個々の状況に応じて、痒み止めが処方されたり、硫黄含有等のシャンプーによる洗浄などのスキンケアを勧められることもあります。

さらに疥癬の場合、生活環境に対する対策も重要です。
疥癬は伝染するため、他のペットや家族から隔離することが必要になります。触れるときには手袋を着用し、その後は必ず石けんと水で手をよく洗わなければなりません。また、このヒゼンダニは、フケの存在等長期間生存が可能なので、その犬のベッドだけではなく、飼い主自身の寝具や衣類、家具、カーテン、カーペットなど、その犬が接触した他の布製品や接触面も洗浄する必要があります。

ダニが寄生している犬と接触した場合、飼い主や家族の腕や胴体に発疹が現れることがありますが、これは一時的で犬の治療が完了すれば自然に治まります。ストレスや不安は免疫系を弱めて治療効果を低下させてしまうため、治療中は犬ができるだけ快適に過ごせるように努めましょう。

飼い主にできること

ペットの皮膚に何か変化を感じたら、すぐに獣医師に相談しましょう。その際に、いつ気づいたのか、痒みが強いかどうかなど、犬をよく観察して獣医師に状況を説明できるようにしておきましょう。皮膚搔爬でダニがいるかどうか、いるとしたらどんなダニなのか、犬の皮膚の問題の別の原因や免疫系を弱める基礎疾患の有無等も調べてもらいましょう。獣医師は、ダニを殺す駆虫薬や症状に対する治療薬を処方するだけでなく、免疫系の強化に役立つ特別なドッグフードに関するアドバイスもしてくれるはずです。愛犬がニキビダニ症と診断されたときは、免疫の低下から起こり得るその他の合併症と、それらの予防または治療のために飼い主ができることについても必ず尋ねるようにしてください。また、疥癬と診断された場合には、家族や同居のペットたちのために、しなければならないことも確認するようにしましょう。

ダニによる皮膚病は治療できるものとはいえ、疥癬は伝染するおそれがあります。また、ニキビダニ症は通常健康な成犬が罹患することはあまりないことも覚えておかなければなりません。このようなダニの治療は、もっと深刻な基礎疾患を発見し治療につながる、ひいては大切なペットの命を救う、きっかけとなるかもしれないのです!

筆者紹介

Jean Marie Bauhaus

ジーン・マリー・バウハウス

オクラホマ州タルサ在住のペットオーナーでもあり、ペットブロガー、兼小説家。いつもペットたちに見守られながら執筆活動に勤しんでいます。

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