知っておきたい子犬がかかりやすい病気とは

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Dog image2-3か月齢で子犬を迎えることが多いかと思いますが、迎え入れたばかりの子犬は、まだまだ健康上は不安定で体調を崩しやすく、病気にもかかりやすい状況です。お家でできることは、元気食欲に問題はないか、何か異常は感じないか、子犬の様子を良く観察することともに、適切な栄養バランスのとれた子犬用のフードを与えること、とジム・ドビーズ獣医師(ノースカロライナ州シャーロットにあるサウスポイント・ペット病院の獣医師、ノースカロライナ州獣医師会会員)は言います。

ドビーズ獣医師は、「適切な栄養を摂取することは、子犬の健康を保ち、本来の免疫系を維持することに役立ちます。そして何らかの病気にかかってしまったとしても、その回復を助けることにもなる。」と説明しています。

栄養管理に配慮することに加えて、やはり知っておきたいのは子犬がどのような病気にかかりやすく、心配しなければいけないのはどういう時なのかということでしょう。ここでは子犬で心配すべき感染症をご紹介します。

1.犬のパルボウイルス感染症(パルボ)
このウイルスは非常に伝染力が高く、感染した場合とくに8~12週齢の子犬の死亡率が高いと言われています。母親からの移行抗体が低下してくる6週齢以降の子犬や、子犬でなくてもワクチンを接種していない、あるいは接種していても不完全な場合には感染のリスクが高まります。現在ではワクチンが普及しており、世界獣医師会(WSAVA)では、6~8 週齢で初回の接種、その後は2~4週ごとに16週齢以降まで接種するというワクチネーションガイドラインを出しています。接種時期や接種回数は個々の状況に応じて変わるため、獣医師に相談しましょう。

症状:急激な元気消失が見られ、発熱が見られることもあります。「その後激しい嘔吐と血便を伴う下痢が始まり、脱水を起こして衰弱します。」とドビーズ獣医師は言います。感染源は犬の糞便中に排泄されたウイルスで、それが別の犬の口や鼻から入ることによって感染します。人には感染しません。

治療:基本は対症療法で、脱水症状に対して水分や電解質を補給する静脈内輸液と、嘔吐や下痢止め、二次感染予防するための抗生物質等が投与されます。集中的な治療が必要なため、入院による治療が推奨されます。ワクチン接種が最良の予防方法になります。

回復期間:3~7日程度ですが症状の程度によって異なります。下痢や嘔吐が持続する場合は回復が見込めないこともあります。


2.ジステンパーウイルス感染症
このウイルスもきわめて伝染力の強い感染症で、感染すると呼吸器症状や消化器症状など多様な症状を示し、神経症状に進行することも多くあります。 ジステンパーに対しても、ワクチン接種がかなり有効です。いくつかの感染症と混合のワクチンになっているので、1回目のワクチンを6~8週齢で接種し、その後に再度接種します。「1回または2回の接種を受けていれば免疫がついています。」とドビーズ獣医師は言います。愛犬に適切なワクチンの接種スケジュールについては獣医師に相談してください。

症状:「これは本当にいやな病気です。」とドビーズ獣医師は言います。症状をはっきりと示さないものから重篤な症状を示すものまで様々で、典型的な症状としては、鼻水やくしゃみと目やに(結膜炎)を伴った上部気道疾患が現れます。続いて、肺炎に進行することもあれば、消化器症状が現れることもあります。その後、ウイルスが脳内に侵入し脳炎を起こし、痙攣や麻痺といった神経症状を示すこともあります。

「犬ジステンパーは症状が分かりづらく、飼い主がただの風邪だと誤解してしまうことが多いため、私たちが診察する頃には症状が進行してしまい、大量の鼻水と目やに、そして高熱を発症してしまいます。抑うつ状態も見られます。」とドビーズ獣医師は言います。

治療:獣医師による治療が必要です。通常は入院による対症療法が実施されます。

回復期間:犬ジステンパーからの回復には数週間を要することがあります。退院後も症状が残るために、通常は呼吸器系への投薬が必要になります。

犬ジステンパーに関して怖いのは、罹患した犬が回復したとしても、脳に潜伏して、後に発症することがある、ということです。痙攣などの神経症状を示し、予後は極めて悪く、回復しても神経症状が残ることが多いといわれています。


Contributor Bio

高橋智司

編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター  獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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