猫のガンについて知る

ペットに最適なフードを見つけましょう。

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今や動物病院で、毎日15歳以上の猫が2頭や3頭来院することもそんなに珍しいことではなくなりました。日々の診察を通して、犬猫の寿命が年々伸びていることを実感しています。栄養学研究や現代の獣医学の発展とともに、飼い主さんの意識も向上し、食事をはじめご自宅での飼育管理の品質向上の賜物といえることでしょう。

長生きをすることはとても喜ばしいことですが、その一方で高齢になってなりやすくなる病気が増えるという側面があるのも事実で、ガンもその一つです。注意すべきサイン、そして、万が一愛猫にガンのケアが必要になった際に後悔のない選択ができるように学んでおきましょう。

ガンとは

茶色、オレンジ、白の猫のクローズアップ

では、ガンとはどういうものを指すのでしょうか。目に見えるできものが必ずしも悪性のもの、つまりガンとは限りません。

異常な細胞が無制限に増殖することで生じる病態を腫瘍といいますが、その中でも悪性腫瘍全般のことを一般的にガンと呼んでいます。最初は体の中のある1ヶ所の組織から生じますが、血管系やリンパ系を介して広がり、離れたところにある臓器にも影響を与えることがあり、これを転移といいます。例えば、猫の耳にできた腫瘍の細胞が肺や肝臓に転移することがあります。

猫に多いガンとは

人と同じように、猫のガンの中には遺伝的素因が関係していて、特定の品種系統で発生しやすいガンというものもあります。また、人間よりも猫に起こりやすいガンもあります。猫に多いガンの種類をご紹介します。

  • リンパ腫: 米国コーネル大学猫健康センター によると、おそらく猫のがんの中でももっとも多いと考えられています。リンパ腫には消化管に発生するものや鼻腔に発生するものなどいくつかの種類が知られており、一部のリンパ腫では猫白血病ウイルスとの関連性が指摘されています。
  • 扁平上皮癌:皮膚や口腔内など、さまざまな部位での発生が報告されています。米国コーネル大学猫健康センター によると、口の中にできるものが特に悪性度が高く、骨まで浸潤していることもあり、破壊性で痛みを伴うことが多いそうです。転移する確率は低いとされていますが、リンパ節や肺に転移したケースも報告されています。皮膚型も同様に限局性で転移は比較的まれとされています。白い猫、あるいは白を含む毛色の猫における紫外線暴露と強く関係しているとされ、主に頭部の鼻や耳先、瞼などの皮膚に生じます。
  • 軟部組織肉腫: 軟部組織肉腫は、皮膚の皮下の筋肉や結合組織由来のガンだと、Wag! に記載されています。発生組織により線維肉腫や脂肪肉腫などに分類されます。猫の体のどの部位にも生じます。
  • 乳腺腫瘍: 米国コーネル大学猫健康センター によると、未避妊の猫での発生が多く、初回発情前に避妊手術を行った猫(多くの飼育猫)では、非常にまれにしか見られません。猫の乳腺腫瘍はその多くが悪性(ガン)です。

まれな猫の腫瘍

  • 肺腫瘍は、 他の部位のガンが転移して生じることがもっとも多いパターンです。
  • 脳腫瘍は、 体の他の部位からの転移により生じることもありますが、脳に原発することもあります。
  • 猫の鼻腔や副鼻腔にできる腫瘍はその多くが悪性(ガン)です。
  • 肝臓を由来とする肝腫瘍は猫の腫瘍の中で数パーセント程度と稀ですが、肝臓は他の腫瘍が転移しやすい臓器です。

ガンの兆候とは

明らかにわかりやすい場所にしこりやできものがあれば別ですが、他の病気と同様にガンについても場所によってはとても見つけにくい病気です。自然の世界では、病気であることがばれてしまえばたちまち淘汰されてしまいますから、猫は本能的に不快な症状を隠すのが得意です。

さらに、ガンの場合の兆候は多くの場合、わかりやすい画一的なものではありません。非特異的で他の内臓疾患と同じような症状が認められる傾向にあります。猫のガンの場合に認めることの多い症状をまとめました。

  • 体重低下: 明らかな食欲の変化がないのに体重が減るのは、飼い主が注意すべきもっともよくある症状です。
  • 食欲不振: 食欲の低下はどんな場合でも注意しなければならない危険信号です。獣医師の診察を受けましょう。
  • 食べ方の変化: 今まで気にならなかったのが、散らかすような食べ方になったり、口の片側でしか噛んでいなかったりするのは、口腔内に違和感のあるサインかもしれません(これは歯周病も疑われます)。
  • 元気消失: 今までのようにあまり活発に動かなくなった、隠れる、といった行動も具合の悪い猫によくある症状です。
  • しこりやできものなどの皮膚病変: もっとも見つけやすいものですが、初期の段階では別の皮膚疾患との区別がつかないこともあります。
  • 嘔吐や下痢: これらはガンを含むさまざまな疾患で起こる、非特異的な症状です。
  • 呼吸の変化: 呼吸の変化はどのようなものでも心配すべき症状です。一部のガンでは、肺の内部または周囲に液体貯留や炎症を引き起こすことがあります。

これらの症状が見られたら、すぐに病院に受診しましょう。

猫のガン治療

現代獣医療では以前と比べて猫のがんの治療がより効果的かつ人道的に行われるようになりました。敏感な猫の個性に合わせた治療プロトコールが日々開発されています。理想的には、自宅での治療が最適ですが、一部の治療は動物病院でしか行うことができません。

表層部の腫瘍(皮膚や口内の扁平上皮癌、軟部組織肉腫、乳腺腫瘍など)は外科手術が行われることが多いのですが、抗がん剤治療が必要になることもあります。抗がん剤治療というと恐ろしいものに聞こえるかもしれませんが、ペットの抗がん剤治療では人の場合と異なり、生活の質に影響を及ぼすことなくがんを寛解させることを目的として、副作用ができるだけ出ないようにさまざまな方法が行われています。抗がん剤の治療中に、何か気になることがあれば、都度獣医師に相談しましょう。ガンの種類やできている場所によっては、放射線治療も選択肢の一つになることがありますが、設備を備えている施設が限られます。

ガンと聞くと、人間のイメージが先行し、積極的な治療に対してネガティブになってしまうこともあるかもしれません。でもお話ししたように日々獣医療は発展しており、さまざまな治療法があります。正しい情報や知識を受け入れて、猫ちゃんにとって何が一番よい選択肢になるのかを、獣医師とよく相談することが大切です。

Contributor Bio

パティ・クリー獣医師

パティ・クリー獣医師

ウェルズリー・カレッジとペンシルベニア大学獣医学部をともに優秀な成績で卒業。VMD/MBA二重学位プログラムの一環としてウォートン・ビジネススクールでMBAを取得。現在はフロリダ州マイアミのサンセット・アニマル・クリニックのオーナー。さらに、大の読書家でもあり、熱烈な編み物マニア、そして熱狂的なホットヨガファン、音楽マニア、市民ランナー、飽くなき美食家の顔ももつ。犬3匹、数え切れないほどの猫、2頭の保護ヤギ、そして愉快な雌鶏たちとサウスマイアミに居住。

DrPattyKhuly.comおよびSunsetVets.comで彼女の記事を読むことができます。

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