猫の頭部外傷や脳震盪に要注意!

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猫と暮らしたことがある方なら、猫でも足からのきれいな着地に失敗してしまうことがあるのをご存知のことでしょう。猫に関する一般的な認識とは違って、猫でも高いところから落ちてしまうことがあるのです。その際の打ち所が悪く、頭を強く打ってしまった場合、骨折や出血などの怪我を負ってしまう可能性もあれば、脳震盪や脳の損傷によって意識障害などの症状が出ることもあります。

猫が頭部に外傷を受ける原因とは?

猫が頭に何らかの障害を負うケースでまず考えられるのは、交通事故、あるいは高いところからの落下事故でしょう。野生の猫や野良猫、外に出る猫は、木やフェンスから落ちてしまう危険性がありますし、車にはねられることもあるかもしれません。他の猫や動物とのケンカでも脳に外傷を起こす可能性があります。

室内飼育だとしても、頭部の外傷のリスクが全くないわけではありません。うっかり踏まれてしまったり、上に座られたりというような、ほんのささいなことが原因になることもありますし、重い物の下敷きになってしまう可能性もあるかもしれません。高層の建物に住んでいる猫では、非常に高いところから誤って落ちる事故が報告されています。ニューヨークのアニマルメディカルセンター(AMC)は、こういった猫たちに対して「高層住宅症候群」と名付けています。AMCによると、このような深刻な転落事故は「胸部外傷、頭部・顔面損傷、四肢骨折という、共通した三大外傷」を引き起こします。

猫の頭部外傷の症状

猫の脳は小さいにもかかわらず、精密に制御された効率のよい複雑な機構です(なんといっても猫は天才ですからね!)。コーネル大学獣医学部によると、猫の脳は人の脳と非常によく似ているそうです。中枢神経系(脳と脊髄)を制御調節し、他の神経や筋肉で構成される末梢神経系のコントロールも行っています。ゴルフボールくらいの大きさしかない猫の脳の灰白質では、たくさんの仕組みが働いているのです。

猫が頭部に外傷を受けると、骨折などの目に見える明らかな異常のほか、脳震盪のように目に見える明らかな怪我がない場合があります。脳震盪を起こすと、脳が急激に揺さぶられることで一時的に機能を停止して意識障害を起こしたり、中枢神経系と末梢神経系の連絡系統に障害がでたりします。ただし、猫は怪我や病気を隠すのが上手なため、行動の変化に気づくためには、非常に注意深く観察する必要があります。猫が頭部に外傷を受けた際の症状として、次のようなものが挙げられます。柔らかいベージュの毛布で寝ている大きな赤い猫

  • 歩き方がおかしい
  • 嘔吐
  • 反応しない(名前を呼んでも反応しない、異常なほど長い時間一点をみつめているなど)
  • てんかん発作
  • 意識がない
  • 顔が腫れている(顔面の損傷は、頭部外傷を疑う所見であり、脳にも損傷を受けている可能性があります)
  • 眼や鼻、口、あるいは顔面の傷から出血している(顔面の損傷は、頭部外傷を疑う所見であり、脳にも損傷を受けている可能性があります)

愛猫が転落したり、頭に怪我をした場合は、状態を適切に判断するためにすぐに動物病院に連絡し、直ちに治療を受けるようにしましょう。

頭部外傷の治療

獣医師はさまざまな検査により外傷の検討を行い、頭部の外傷による痛みやショックに対する治療を行います。タフツ大学カミングス獣医学校によると、顔に怪我をした猫は、心配する飼い主にとってはとても重症のようにうつるかもしれませんが、脳の広範囲な損傷を疑うような精神的な機能異常が無ければ、治療の見通しは良好なことが多いそうです。いずれにしても、鼻血や顔面の腫れなど、直接頭を打ったような外傷の痕がなかったとしても、すぐに診察を受けることが重要です。

猫の、怪我からの回復をサポートする際には、食事習慣に気を付けてあげましょう。適切に栄養が摂取できているか、十分に(でも過度にならない程度に)水を飲んでいるか確認しましょう。体重が急激に減少する、呼吸が早いまたは荒い、触られると敏感に反応するといった症状が確認されたら、様子を見ることはせず、すぐ獣医師に報告しましょう。

予後

タフツ大学によると、「頭部に外傷をうけても重度の脳浮腫がなく、いわゆる傷が治癒するのを待てばいいだけの場合、多くの猫は1〜2週間以内に快方に向かう」そうです。頭部外傷が深刻な場合は、回復に時間がかかり、その間に通常の生活(食事やトイレ)をするのに介助が必要になることもあります。

いろいろご紹介してきましたが、やはり猫の頭部外傷事故はできるだけ予防したいものです。窓や網戸を固定し、ベランダをフェンスで囲う、重たい家具は壁に固定するなど、防止するために最初からやっておける対策もあります。どんなに気を付けていても思わぬ事故やアクシデントは起こることもありますが、備えあれば憂いなし!ですから、常に猫の安全を考えて環境を整えるように意識を向けましょう。

Contributor Bio

高橋智司

高橋智司

編集責任者: 高橋智司
アソシエイト ディレクター  獣医師
プロフェッショナル獣医学術部
日本ヒルズ・コルゲート株式会社

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