犬や猫が1日に必要な水分量は?

執筆: サラ・ウーテン獣医師
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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水分摂取が生命維持に非常に重要であることは言うまでもないことですが、では犬や猫にとって必要な水分量はどのくらいなのでしょうか。このような数字を把握しておくと、普段のペットの飲水量が概ね正常かどうかが理解でき、体調の変化があった際も状況が把握しやすくなります。犬や猫に必要な水分量の目安や、脱水について、そしてあまり水を飲みたがらない場合に飲水を促す方法についてご紹介します。

生命にとっての水の重要性とは

適切な量の水を摂取することは、犬や猫にとっても健康に欠かせないものです。

  • 犬と猫の体の70%は水でできています
  • 生体内の化学反応のすべてに水が必要です

水はもっとも重要な栄養素です!肺の空気を潤し、血液中の酸素と栄養素を細胞に運び、体温の調節、内臓や関節の保護と潤滑化、体内の老廃物の排泄、神経機能のサポートなど、生体内の機能を維持するために必要不可欠な役割を担っています。

犬が1日に飲むべき水の量は

一般的には、体重1 kgあたり40〜60 mLが目安です。5 kgの犬だと1日300 mL程度、45 kgだと3リットル程度になります。活動量の多い場合や、気温が高い地域に住んでいる、あるいは授乳中の犬の場合には、もっと多くなります。また、子犬の場合も成犬より飲水量が多いです。なお、ウェットタイプのフードを食べている犬は、食事から水分を摂取しているため、飲水量はドライフードを食べている犬よりも少ないかもしれません。

水皿の前に横たわるパーソン ラッセル テリアの屋外ポートレート

犬で水を飲む量が増えるとき

糖尿病やクッシング症候群、尿崩症等のホルモン関連の疾患や、腎臓病や肝臓病といった病気では、多飲多尿といって、多くの水を飲み、大量の尿をする、という症状が代表的です。特定の医薬品でも同様の症状が出ることがあります。以前より水をよく飲んでいるように感じるときには、動物病院で診察を受けるようにしましょう。

猫が1日に飲むべき水の量は

猫は犬よりも少なく、一般的には成猫で1日150〜300 mLが目安ですが、体の大きさや運動量、食事の種類、健康状態、気温などさまざまな因子の影響を受けます。ドライフードを与えている場合は、1日300 mL程度は飲むかもしれませんが、缶詰フードを与えている場合は、水分量が多いため、150 mLぐらいかもしれません。

猫で飲水量が増えたとき

猫の飲水量が増えた場合、トイレで砂をかくことが増えた、あるいはいつも水飲みボウルのそばにいるといった行動で、様子が異なることに気がつくかもしれません。猫で飲水量が増える理由は、犬の場合とほぼ同じですが、猫でよくある原因は腎臓病や糖尿病、甲状腺機能亢進症です。トイレの排尿の跡が増えていたリ、水入れの水の減りが早いことに気づいたら、なるべく早いうちに動物病院で診察を受けるようにしましょう。

縞模様の猫が舌を出して皿から水を飲む

飲水量が足りているかチェックする方法とは

飲んでいる水の量を測ってみることのほか、犬や猫が脱水していないかどうか、確認してみましょう。水分状態に問題が無ければ、皮膚つまみテスト(背中の皮膚をつまんで持ち上げ、すぐに離す)でも、すぐに元に戻ります。歯茎は健康的なピンク色で潤っていて、目は明るく輝き、全身の活動性も普段通りです。尿の状態も通常通りで、強いニオイや色の濃さが気になることは無いでしょう。

もし脱水している場合、元気がなく、目にも生気がなくなり落ちくぼんでいるように見えるかもしれません。歯茎の色は暗く、乾いていて、唾液はネバネバしているか糸を引くことが多いです。皮膚にも柔軟性がなくなります。腎臓が正常な場合、脱水していると尿の匂いがきつくなり、色も濃い黄色になりますが、腎臓病の場合だと、脱水していても尿の変化に気づきにくいかもしれません。重度の脱水は生命にかかわりますから、すぐに獣医師に相談しましょう。

水を飲みたがらない場合には

特に猫は必要な量の水を与えていても、十分に飲んでくれないこともあるでしょう。もし猫が水を十分に飲んでくれない場合は、脱水によるトラブルが起こる前に、サポートする必要があります。次の方法を試してみてください。

  • 猫の場合:噴水式の給水器を試してみましょう。ボウルから水を飲むよりも流れている水を好む猫がいます。ネットやペットショップで購入することができます。
  • 冷たい水ではなく、常温の水を与える
  • 水入れを頻繁に洗浄し、新鮮できれいな水を毎日与える
  • 水入れの材質や置き場所を変える。水を飲むことにこだわりを持つ猫もいます。プラスチックや陶器などいろいろ試してみて、気に入ったものを使ってあげてください。置き場所も、寝床や休憩する場所の近く、またはあまり人通りのない場所に置いてみてください。猫のトイレからは離れた場所に置きましょう。
  • 複数の水入れを設置し、猫が飲みたいタイミングで飲めるようにしておく。多頭飼育の場合には、それぞれが安心して飲めるようにしてあげましょう。
  • 少量のツナ缶の汁、骨からダシをとったスープなどで風味付けをする。このような場合は、必ず水入れを毎日洗いましょう。
  • 犬の場合は、水を飲んだら褒め、ご褒美を与えることもできます。
  • フードに水を足す。または、ウェットフードを取り入れてみましょう。
  • 犬には氷を与えてみるのもよいアイデアです。楽しく遊びまがら水分摂取できます。与え過ぎないように注意しましょう。

Contributor Bio

Dr. Sarah Wooten

サラ・ウーテン獣医師

サラ・ウーテン獣医師は、カリフォルニア大学デービス校獣医学部の2002年卒業生です。アメリカ獣医ジャーナリスト協会会員であり、コロラド州グリーリーで小動物病院を開業しながら、職場の人間関係問題、リーダーシップ、クライアントとのコミュニケーションについての講演活動や執筆活動も行っています。楽しみは、家族とのキャンプ、スキー、スキューバダイビング、そしてトライアスロンに参加することです。