犬とのランニングを始めよう

執筆: サラ・ウーテン獣医師
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

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ハイキングや水のレジャーなど、犬と楽しめるアクティビティはいろいろありますが、一緒に走ることは一番手軽に犬と楽しめるアクティビティです。お互いにとって、カロリーを消費し、ストレスも発散できて、心身ともによい影響を与えてくれる素晴らしい方法になります。

犬の運動不足は、肥満や過体重といった身体的な健康トラブルだけではなく、問題行動につながる要因としても多くあげられるもののひとつです。有り余ったエネルギーを発散させるはけ口がなければ、子犬でも成犬でも破壊的な行動に出ることがあります。家具やクッションなどをイタズラされることは、飼い主にとって悲劇的なことですが、それ以上にペットにとって危険なことでもあります。

犬とのランニングを安全に楽しむために、知っておきたいポイントやチェック事項、持ち物やグッズなどをご紹介します。準備をしっかりして始めてみましょう!

運動に向いている犬種かどうか

一般的に犬は人間よりも走ることに関する体力は上回っているといえますが、中には通常の散歩以上の運動を必要としない、あるいは激しい運動に向いていない犬種もいます。とくにパグやブルドッグのような短頭種の犬たちにとって、過度な運動は呼吸困難を引き起こす可能性があり危険です。また小型犬でも激しい運動に向いていないケースもあります。一方で、ボーダー・コリーやシベリアンハスキーといった活発な牧畜犬や使役犬は、計り知れないほどの体力をもっていますから、いくらでも付き合ってくれるでしょう。愛犬の犬種や普段の散歩の様子から判断するようにしましょう。

身体能力を考慮する

年齢的な体力や健康状態、前述の犬種とも一部重複しますが身体的特徴による身体的能力についても考慮する必要があります。

  • 子犬
    まだ完全に発達していない成長期の子犬の骨や関節は傷つきやすく、十分な心肺機能も備わっていません。とくに大型犬では、完全に骨が成長しきるまでに時間がかかるため、さらに慎重になる必要があります。このため、子犬との長距離ランニングは勧められません。
  • 高齢犬
    高齢犬では、心肺機能の低下や関節痛、筋力低下などにより、長距離のランニングは負担が大きいでしょう。高齢の愛犬とのランニングは、獣医師に相談して健康診断を受けてから始めるようにしましょう。
  • 短頭種
    前述のように、パグ、ブルドッグ、ブリュッセル・グリフォン、ブル・マスティフ、チャウ・チャウ、ラサ・アプソ、狆などの鼻の短い犬種は、通常、ランニングパートナーには向いていません。その鼻、口、上気道の特徴的な解剖学的構造のため、長時間の有酸素運動に必要な十分な空気を取り込むことが難しいと考えられるからです。これらの犬には、通常の散歩や短時間の遊びの方が適しています。
  • 軟骨異栄養性犬種
    バセット・ハウンドやダックスフンドを含むこれらの品種は、脚が非常に短く特徴的な構造をしているため、ランニングには向いていません。何らかの肢軸異常(人でいう内股やがに股)がある犬も、脚の構造上、ランニングパートナーには不向きです。

多少違和感があっても、犬はそれを隠そうとすることがあるため、ランニングを始める前には必ず獣医師による健康診断を受けましょう。また、ランニング中に遅れがちになったり、脚の様子を気にする場合には、一度立ち止まって休ませてから、歩いて帰るようにします。決してランニングを強制しないようしましょう。

愛犬とのランニングの持ち物

ランニングに出かける前には、お互いの安全と快適に楽しむために必要な物がすべて揃っていることを確認してください。愛犬とランニングに出かけるときは毎回、以下の持ち物リストをチェックするとよいでしょう。

  • 最新の識別タグを付けた頑丈なハーネス
  • 愛犬が急に速度を上げて引っ張っても千切れない、ハンズフリー型または標準型の丈夫なリード
  • 愛犬用の予備の飲料水(コースに水道があれば不要)
  • 折りたたみ式のボウルまたは犬用の水筒
  • 排泄物を拾って処分するための犬用エチケット袋
  • 長距離ランニング中のカロリー補給(またはモチベーション)が必要になったときのためのおやつ

Small brown dog on a leash in red collar walks next to man on boardwalk near ocean.

出発前の気温のチェックを忘れずに

気温は犬とのランニングではもっとも気をつけたいことのひとつです。犬は発汗による温度調節がほとんどできないので、人間がそれほど暑さを感じなくても、犬が熱中症になってしまうこともあります。さらに夏場は、気をつけないとアスファルトが熱せられていて足を火傷してしまう危険もあります。一方、気温が低すぎて、凍傷になってしまうこともあります。夏は日中を避けた朝や夕方など、冬は日中など、気候に合わせて対応しましょう。

いよいよ、スタート

ランニングに特別必要なトレーニングはありませんが、横について歩く、強く引っ張らないなどの外を歩くときの基本的なマナーは、飼い主と犬の両方の安全を守るために必要です。ランニング中に犬が主導権をとって走り出してしまった場合、飼い主がけがをする可能性があります。また、信号待ちや混雑した道を渡るときなどのために、「止まれ」、「お座り」、「待て」などの指示はマスターしておきましょう。このような基本的なしつけトレーニングは日々積み重ねておきたいものです。そして、なによりも最初はゆっくり走ることから初めて、徐々に距離を延ばしていくことが大切です。Runner's World*には獣医師が作ったプログラムが掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。

慣れてくると、体力とともに筋力もついて、少しずつ長く、より早く走れるようになるでしょう。ついつい楽しくなってくると夢中になってしまいますが、常に愛犬の様子に配慮することを忘れないようにします。とくに肉球は定期的にチェックしましょう。いつもなら何かあれば犬自身が気にして舐めるかもしれませんが、ランニングが楽しすぎて擦り剝けていても犬も気がつかないこともあるからです。

ランニングが習慣になってきたら、栄養についても獣医師に相談してみましょう。アスリートと同様に、日々活発な運動をしている犬には、そうでない犬と比べると多くのエネルギーと様々な栄養素が必要です。適切な栄養と運動は人間にとっても犬にとっても健康維持のためにもっとも重要です。健康寿命を伸ばしていつまでも一緒に暮らせるように頑張りましょう!


*参照先:https://www.preventivevet.com/pets/heatstroke-in-dogs-and-cats

Contributor Bio

Katie Finlay Contributor Image

サラ・ウーテン獣医師

サラ・ウーテン獣医師は、カリフォルニア大学デービス校獣医学部の2002年卒業生です。アメリカ獣医ジャーナリスト協会会員のウーテン獣医師は、コロラド州グリーリーで小動物病院を開業しながら、職場の人間関係問題、リーダーシップ、クライアントとのコミュニケーションについての講演活動や執筆活動も行っています。楽しみは、家族とのキャンプ、スキー、スキューバダイビング、そしてトライアスロンに参加することです。

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