家族が食事をしているとき、膝の上に愛犬の小さな足や熱い息づかいを感じることもありますよね。おねだりする犬の姿をかわいく思うかもしれませんが、実はやめさせたほうがいい習慣です。人間の食べ物のおすそ分けは犬の健康のためにもよくありません。「どうすればやめるのか……」と悩んでいませんか? 家族の全員が「おねだりされても食べ物をあげない」と決めれば、愛犬に困った要求をやめさせるのは意外と簡単です。

おねだりは合っていないフードが原因のことも

おねだりする犬は家族の食べ物がほしいというより、人間の真似をすることに興味を持っているだけかもしれません。食卓を気にして騒ぐ犬は空腹を訴えているとも限らないのです。PetMDによると、食べ物をねだる犬は、ペットフードから必要な栄養を摂れていない、もしくは、食べ物以外の何か(意識を向けてもらうことなど)を要求していると考えられます。犬のおねだりの理由を調べるには、まず犬に与えているフードの見直しから始めましょう。良質な原材料が使用されていれば安心ですが、副産物(肉以外の内臓や骨など)ばかりの場合は要注意。犬に必要な栄養バランスやカロリーを満たしているフードを選ぶことが重要です。より良いフードを選んだら、一日分を2~3回に分けて与えてみてください。フードを変えるだけで、おねだりがたちまちなくなることがあります。ドッグフードについては、獣医師におすすめを尋ねてみましょう。愛犬の健康に必要な栄養素をバランスよく含んだヒルズ サイエンスダイエット製品を検討するのも良い方法です。

食事前にコミュニケーションの時間をとる

栄養ニーズが満たされているはずなのにおねだりが収まらないときは、飼い主の気を引きたくてアピールしている可能性があります。可能であれば食事の前に愛犬と一緒に遊んでみてください。犬は満足して、食事中にうたた寝をして休んでいてくれる可能性もあります。この方法なら飼い主さんにとっても食事前に少し余分にカロリーを消費できるので、いつもよりちょっと多く食べられるのもメリットかもしれませんね。中にはすべてが満たされているにもかかわらず、いつも飼い主のそばにいておねだりする犬もいます。このようなタイプの犬にはもう少し踏み込んだ対処法を行う必要があります。

落ち着かせるトレーニングを

愛犬が家族の食卓を狙い続けているのを笑ったり知らんぷりしたりしているだけでは問題が解決しません。良い習慣を身につけさせるためにも、犬に「ノー(だめ)」と言うことは重要ですが、そのときにおねだりの代わりにやってほしい指示も一緒に伝えることが必要です。たとえば「ノー(だめ)」と言った後、「ベッド(ハウス)」や「伏せ(休め)」と指示を出します。これらの号令は、どちらも犬にその場から離れる、落ち着いて待つことを指示するものです。このトレーニングで気を付けなければならない点は、その号令に従ったこと自体へのごほうびは与えない、ということです。ごほうびを与えてしまうと、おねだりしてから伏せをすると食べ物をもらえる、と教えることになるからです。食事時ではない時間帯にごほうびを与えながらこの二つの号令のトレーニングを行い、良い行動を強化するようにしてくださいね。

陽性強化

これらの良い習慣を最初に教えるときは、「いい子」とほめながらなでて、トレーニング用おやつを与えて、ほめ言葉の後には良いこと(ごほうびをもらえる)があると覚えさせます。それからいろいろな指示を教えていきましょう。トレーニングが進んできたら、「いい子」とほめた後のごほうびはときどき与えます。そして、愛犬がどこか決まった場所で伏せをすることをマスターしてくれたら、食事時のおねだりへの対処法としてそのコマンドを使えるようになります。数週間経過しても何も進歩が見られない場合は、ゲートなどを使って、人間の食事中には犬を遠ざけておく必要があるかもしれません。でも、これは最後の手段ということを覚えておいてください。食事時のおねだりをやめさせる努力はまだまだ続けるべきでしょう。

一貫性を保つ

おねだりなどの要求をやめさせるトレーニングの成功に必要なのは、飼い主の一貫性のある態度です。犬に人間の食べ物をねだるのをやめてほしいなら、いつも何も与えないことが重要です。ときどき与えるような例外をつくるといつまでも要求が続きます。また、家族の中にこっそりおすそ分けしている人がいると、トレーニングがなかなか成功しません。家族全員がおねだりにこたえないルールを守ることも必要です。とくに小さい子どもは「大切な愛犬に食べ物を分けてあげたい」と思いやりの気持ちで与えてしまいがち。犬のトレーニングと同様に、子どもにも犬に人間の食べ物を与えないようにしっかり教えてあげてくださいね。遊びにきた犬好きの来客にも「我が家のルール」として伝えておくのを忘れずに。各家庭によってルールが変わるため、家族の不在時に友人やペットシッターに犬の世話を頼むときにも重要です。

おねだりやいたずらができないルールと環境づくり

犬におねだりしないよう教えるときに覚えておくべきことは、食べ物に誘惑される機会を極力なくすことです。犬は生まれつき好奇心が強く、優れた嗅覚で絶えず嗅ぎ回っています。届くところにいい匂いのする食べ物があれば、食べたい衝動に駆られてしまいます。犬が届きそうなカウンターやコーヒーテーブルの上に食べ物を置きっぱなしにしないようにしてください。犬がゴミをあさらないように、ゴミ箱にはふたをつけたり、ひっくり返せないように固定したりしておくことも大切です。たまたま床に落ちている食べ物を拾い食いさせないようにすることも犬のためになります。犬が生きている掃除機のようなことをしないように注意しましょう。

最後に、小さい子どもがいる場合は、嫌いな野菜をこっそり犬に与えていないか目を光らせておきましょう。子どもたちがテーブルの下で犬に食べ物を与えるのを許していると、犬のおねだり行動を助長することになりかねません。野菜は子どもの健全な成長に必要ですが、犬はタマネギで中毒症状や、多量のブロッコリーで消化不良を起こすことも。子どもが良かれと思って与えた野菜で体調を崩してしまうこともあるのです。犬の栄養ニーズに特化して作られているフードだけを与えるようにするのが一番です。犬は満腹感が得られれば満足で、生涯ずっと同じドッグフードを食べ続けることをこの上ない幸せと感じます。おねだりの問題には、人間の食べ物を与えないように徹底することが解決に役立ちます。

結局のところ、犬のおねだりを終わらせるのはほめることです。飼い主の望みどおり犬にお行儀よくしてもらいたいなら、子育てで子どもをしつけるときと同じように犬をその気にさせる必要があるのです。良い行動は必ず、おやつ、気遣い、言葉、うれしそうな表情で強化するよう心がけてください。犬は家族を喜ばせることが大好きなので、正しい行動をきちんとほめていれば、食卓の横でおねだりするといった好ましくない要求の行動はなくなっていくはずです。

Chrissie Klinger Chrissie Klinger

クリッシー・クリンガーは教育者、ライター、そして2人の子供、3匹の犬、3匹の猫の母親です。愛犬のジェイクは、隙あらば彼女の膝の上に乗るのが大好きです!ペンシルベニア州の田舎で、アクティブで環境に優しいライフスタイルを楽しんでいます。