小型犬に最適なドッグフードとは?

執筆: エマ・ミルン獣医師(BVSC、FRCVS)
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ペットに最適なフードを見つけましょう。

ペットに最適なフードを見つけましょう。

ペットに最適なフードを見つけましょう。

犬ほど大きさや種類のバリエーションにとんだ動物はほかにはいないでしょう。簡単に抱き上げられる大きさから、人よりも大きな体格をした犬まで、本当にいろいろですよね。地域によって多少の認識の違いはあるかもしれませんが、一般に小型犬は、成犬時の体重が12~15 kg以下のものをいいます。例として、ジャック・ラッセル・テリアやヨークシャー・テリア、ラサ・アプソ、コッカー・スパニエルなどが挙げられます。また、チワワやポメラニアンのように小型犬の中でもより小さめの品種は、ミニチュア種やトイ種と呼ばれることもあります。

では、犬は犬なのに、サイズの違いによってドッグフードを変える必要があるのでしょうか。今回はこのことについて解説してみたいと思います。全犬種中最大といわれるアイリッシュ・ウルフハウンドと、先ほど挙げた小型犬たちとを思い浮かべながら、その大きさ、体重、代謝、寿命などを比較しながら考えてみましょう。

小型犬と中型以上の犬の主な相違点

  • 平均寿命が長い:一般に、小型の犬ほど長生きする傾向があります。そのため、細胞の老化や消耗などの現象に対抗し健康維持をサポートする抗酸化成分を多く摂取することが望ましいでしょう。

  • 代謝速度が速い:小型犬では大型犬よりも体重1 kgあたりのカロリー消費量が多いといわれています。つまり、それだけ代謝が激しいので、その分の補給が必要になります。別の言い方をすると、状況によっては体重を維持するのが難しいケースもあります。

  • 大きい犬よりストレスを感じやすい:小さいということは、生物学的にみれば非常に不利なことです。自身より大きなものに対し恐怖を感じたり圧倒されたりするであろうことは、容易に想像できるでしょう。

  • 成長速度と栄養要求:大型犬や超大型犬は、成犬に成長・成熟するまでに小型犬よりも多くの時間がかかります。そのため、骨格や筋肉の健康的な成長と、その後の維持のために、小型犬とは少し違ったミネラルバランスを必要とします。

  • 口が小さい:これはわかりやすいところですが、やはり口が小さければその分歯も顎も小さいので、口の大きさに合ったフード粒を選んであげましょう。

小型犬に最適なドッグフードとは?

まず大事なことは、フードが完全でバランスが取れていること、というのは必須事項です。これは、フードが総合栄養食として犬のライフステージに必要な栄養素のすべてを適切な比率で備えていることを意味します。その上で、小型犬であるが故の特徴を踏まえて作られているフード、つまりエネルギー密度が高く、フード粒が適度な大きさであるものを探してください。そして、犬の好みや水分摂取の必要性などに合わせてドライフードかウェットフード、あるいは組み合わせて与えるなどの方法に準じて選んでいきましょう。

ドッグフードはさまざまなものが売られているので、選ぶのに不安があるときには、獣医師に相談してみましょう。与える量や与える回数についても、わからないときにはまず相談するのが良いですが、一般的に小型犬ではまとめてたくさん与えるよりも、少量ずつ数回に分けて与える方が適していて、体重維持にも役立つかもしれません。

なお、小型犬のストレスを感じやすい問題については、やはり根本的には子犬の社会化トレーニングが重要です。周囲の環境や人、犬などに慣れて恐怖を感じにくくなるような方法を、動物病院の獣医師やスタッフに確認しておきましょう。犬の性格もさまざまですから、その個性に合わせて前向きに辛抱強く取り組みましょう。さらに、最近では気分を落ち着かせるのに役立つ成分が配合されたフードやサプリメントも販売されています。こういったものもうまく取り入れて、愛犬と元気に過ごしていきましょう!

監修:ハイン・マイヤー博士(DVM、PhD、Dipl-ECVIM-CA)