犬の食の好みとは?ドッグフードの味やタイプとの関係を知る

執筆: レイシー・シャイブル獣医師
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フードによって食べたり食べなかったり・・・。同じように見えるのに、何がそんなに違うのかと不思議に思うことはありませんか?今回は犬の食べ物の好みについてご紹介します。 アメリカンケネルクラブ(AKC)によると、犬も人間と同じように塩味や甘味、酸味、苦味を感じることができるようですが、似てるといえるのはそこまでのようです。また一般的な味覚とは別に、犬にはどうやら水の味の違いを区別できる特別な水センサーがあるともいわれています。人間にとって「味がない」液体に対しても飽きることがないのは、きっとそのせいなのでしょう。

では、犬も人間が感じるのと同じように食べ物の味を感じているのでしょうか? 犬が食品以外のものを食べてしまったり、悪臭を放つ生ごみや汚物でも熱心に匂いを嗅いだりすることがある、といった状況を考えると、恐らく同じというわけではなさそうです。人間にも犬にも、舌にはいわゆる"味"を感じる味蕾(ミライ)と呼ばれる器官が分布していますが、アメリカンケネルクラブによると、人間には味蕾が約9,000個あるのに対して、犬には約1,700個しかないらしいのです。つまり、犬は人間と同じ種類の風味(味)を知覚することができても、人間ほど敏感に感じているわけではなさそうです。

それでは、本題の犬の食べ物の好みについて考えてみましょう。ドッグフードにはチキン味にビーフ味といった風味やウェットタイプドライタイプなどの水分量の違いから、温めて与えたりなど、味だけではない様々なバリエーションがあります。犬がおいしいと感じるためには、味のほかにどんな要素が影響するのでしょうか?犬が好みやすいとされるドッグフードの味やタイプなどの要素について少し見ていきましょう。

犬にとっての食べ物のおいしさ(好み)に影響を与える要素

  • フレーバー(風味・味): Pet Food Industry が行った調査によると、世界で最も主流となっているドッグフードの風味は、チキンだそうです。もちろん、これは純粋な犬の好みによる結果ではなく、チキンがドッグフードのタンパク質源として安価で広く流通していることも理由なのかもしれません。同じチキン風味(味)といっても、メーカーやブランドによって犬の好みが異なることもあるので、大きな袋で購入する前に、可能ならまずはペットショップや動物病院でサンプルをもらったり、お試しパックのような少量のものから試すのがよいでしょう。缶詰やレトルトパウチのフードの場合は、数回分を買って、その味が好きかどうか確かめてからまとめて購入するようにしましょう。
  • 食感/形状:ウェットタイプかドライタイプかということでは、たいていの犬は水分がより多く含まれているウェットフードを好みます。とはいえ、多くの犬はどんなタイプでも食べてくれるでしょう。飼い主さんの中には、愛犬のドッグフードの好き嫌いが激しくて困っているという方もいらっしゃるかもしれませんが、それは恐らく本当にそのフードを嫌っているというよりも、むしろ犬の方が計算済みで、最もおいしいご馳走(健康的であるとは限りません・・)をもらえるように飼い主を仕向けているケースの方が多いのです。犬との根競べになりますが、フードを選り好みする 場合の妥協案として、ドライフードにウェットフードを混ぜるとおおむねよく食べてくれることが多いでしょう。
  • 温度: Cook's Illustrated は、科学的な研究により、人間の味蕾は非常に温度への感受性が高く、温かい食品を摂取する際に、冷たい時と比べてはるかに味覚が鋭くなることがわかったと説明しています。人が一般的に温かい食事を好むのはそのせいなのです。この研究は人間を対象にしたものですが、犬にも同じ理論が当てはまると思われます。というのも、実際に犬も少し温かい食事を好むことが多いからです。さらに、香りの分子は温度が高いほど食品から放出されるため、その匂いによって食欲が刺激されるということもあるでしょう。私たち人間は犬よりずっと多くの味蕾をもち、味覚は犬よりも敏感といえますが、ご存知のように犬は素晴らしく発達した嗅覚を備えています。ニューヨーク・タイムズ紙 によると、犬の鼻にはなんと約3億もの嗅覚受容体があり、600万しか持たない人間とは比較にならないほど嗅覚が優れているのです。
  • サプリメントやトッピング: 液状のサプリメントやソース、粉状のトッピングなど、いかにも犬が喜びそうなグッズも売られていますが、あくまで主食のドッグフードの風味付け程度に使用し、与え過ぎないように注意しましょう。健康上で注意しなければならないことがあったり、心配なことがある場合には、獣医師に相談してから与えるようにします。慢性腎臓病のような慢性疾患がある場合などには、美味しそうなソースをフードにかけるなど、ドッグフードだけでは犬が食べてくれないことがありますが、栄養の摂りすぎは不足するのと同じくらいに体に負担をかけることもあるということにも留意しなければいけません。そのため、何かを加えないと食べてくれないほど食欲が落ちてしまった場合には、すぐに獣医師に相談し、他に健康上の問題が隠れていないか確認しましょう。

犬の食事について獣医師に尋ねておきたいこと

個々の犬にとって最も健康的で美味しいフード選ぶためには、好みだけではなく、個々の犬の体質や健康状態を把握してそれに適したものを選ぶこともとても重要です。ほとんどの飼い主さんは、新しく子犬を迎えた際に食事について一般的な質問をされると思いますが、その後成長してから健康なときにも病気のときにも、食事については継続的に獣医師に確認してやりとりをしておきたい内容です。こんな風に尋ねてみましょう:

  • うちの犬は今のフードを気に入っているでしょうか?
  • うちの犬の生活習慣や将来の健康リスクに合ったお勧めのフードはありますか?
  • 検査や診察の結果、食事を変える必要があるような兆候(体重オーバーや痩せ過ぎなど)は見つかりましたか?
  • うちの犬に皮膚のトラブルはありますか? 歯のトラブルはありませんか? 胃腸障害や泌尿器系の障害はどうでしょうか?
  • 食物アレルギーはありませんか?

個々の犬に合ったものを選びましょう

ドッグフードの味やタイプなど犬の好みを尊重することも大事ですが、やはり犬にとって大切なのは体質や健康状態に合ったものを与えることでしょう。前提として高品質でバランスの取れた食事を選ぶことはもちろんですが、犬も歳を取るにつれて体質も少しずつ変化していきますから、フードを選ぶ際には、何が今の犬の健康状態に最も適しているか獣医師にアドバイスをもらうようにするのが理想です。体質に合った食生活を送り、長く一緒に過ごして思い出を分かち合うことこそ、ワンちゃんにとって本当の幸せへの鍵となります。

Contributor Bio

Dr. Laci Schaible

レイシ―・シャイブル獣医師

小動物診療を専門とした獣医師であり起業家。多くの記事を執筆し、獣医業界のベンチャー企業数社においてアドバイザーを務めている。

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