結論

猫アレルギーは、軽度であれば数時間〜数日で治まりますが、重度の場合や室内に猫の毛やフケが多く残っている場合は、数日〜数週間、場合によっては数か月続くこともあります。症状を早く治めるには、アレルゲンとの接触回避、市販薬の利用、そして必要に応じて医師による専門的な治療を受けることが重要です。市販薬を使用する際は、自己判断せず必ず医師や薬剤師に相談し、用法・用量を守るようにしてください。

猫アレルギーとは?

猫アレルギーは、猫の唾液・フケ・皮膚などに含まれるタンパク質(代表的には Fel d1)がアレルゲンとなり、免疫系がこれに過剰反応を起こすことで発症します。多くの人が「猫の毛」を原因と考えがちですが、実際には毛に付着したフケなど微細粒子が主なアレルゲンとなります。空気中に舞いやすい性質を持つため、猫との接触以外でも症状が出る可能性があります。 

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猫アレルギーの主な症状は?

猫アレルギーでは、猫の皮膚や唾液、毛に含まれるアレルゲンが体に触れることで、目のかゆみや充血、涙目、くしゃみや鼻水、鼻づまり、咳や呼吸困難、喘息発作、さらに皮膚のかゆみや赤み、発疹、湿疹などの症状が現れることがあります。症状の程度や現れ方には個人差があるため、早めの対策と必要に応じた医師の診察が重要です。

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猫アレルギーが治まるまでにどれくらい時間がかかる?

では、こうした猫アレルギーの症状は、いったいどれくらいで治まるのでしょうか。実は、症状が現れるタイミングや治まるまでの時間には個人差があり、アレルゲンとの接触の多さや体質によっても大きく変わってきます。

なお、時間が経てば必ず症状が治まるとは限らず、長引いたり悪化するケースもあるため、症状が続く場合は医療機関の受診が大切です。

軽度のアレルギー反応の場合

軽いアレルギー反応の場合、猫に触れたあと数分〜数時間で目のかゆみやくしゃみが出ることが多いものの、アレルゲンとの接触を断ったり、市販の抗ヒスタミン薬を使用することで、数時間〜数日で治まるケースもあります。

重度のアレルギー反応の場合

アレルゲンに触れる量や時間が多い場合や、アレルギー症状が強く出ている場合は、治まるまでに数日〜数週間かかることがあります。さらに、室内に猫の毛やフケがたまっているような環境では、アレルゲンに繰り返し触れる状態が続くため、症状が数か月にわたって長引くこともあります。特にハウスダストのように、アレルゲンが室内に残りやすい場合は注意が必要です。

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猫アレルギーを早く治めるためにできることは?

猫アレルギーを早く治めるための重要なポイントは、「アレルゲンとの接触を避ける」「市販薬の利用」「専門的な治療」の3つです。

アレルゲンとの接触を避ける

掃除の徹底、低アレルゲンの猫を選ぶ、猫との接触や生活空間を分けるなどして、アレルゲンとの接触を避けるようにしましょう。

  • 掃除の徹底

猫の毛やフケはアレルゲンとなるため、床や家具、カーペットなどをこまめに掃除しましょう。HEPAフィルター付き空気清浄機の併用も効果的です。特に猫がよくいる部屋は重点的に清掃することで、アレルゲンの蓄積を減らせます。

  • 低アレルゲンの猫を選ぶ

アレルゲンの分泌量が比較的少ない猫種を選ぶことで、症状のリスクを抑えやすくなります。毛が少ない猫や無毛種は、掃除の負担も軽減できます。

  • 接触制限・生活空間の分離

猫との直接接触を減らすだけでなく、猫が入る部屋を限定し、人間の生活空間と分けることも重要です。たとえば寝室には猫を入れないようにすることで、症状の悪化を防ぎやすくなります。

市販薬の利用

軽度のアレルギー症状であれば、市販の抗ヒスタミン薬や点鼻薬、目薬などを使用することで、症状を確実に緩和することが可能です。ただし、使用前には必ず薬剤師や医師に相談してください。

専門的な治療

症状が続く、または重度の場合は、早めに医師の受診を検討してください。必要に応じて、アレルゲン免疫療法などの専門的な治療が行われることもあります。

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よくある質問

アレルゲンを持たない猫はいる?

現時点では、アレルゲンを持たない猫は確認されていません。アレルゲンの主な原因は猫の皮膚や唾液、毛に含まれるタンパク質(Fel d 1など)であり、すべての猫がこれらのタンパク質を分泌します。

猫のアレルゲンを減らすフードに効果はある?

市販されている猫用フードの中には、アレルゲンとなるタンパク質の分泌を抑えることを謳った製品がありますが、科学的な裏付けは十分とは言えません。そのため、フードだけに頼るのではなく、掃除の徹底やHEPAフィルター付き空気清浄機の使用、生活空間の分離など、さまざまな対策を組み合わせることが重要です。

専門的な治療で猫アレルギーは治る?

現在、猫アレルギーに対する根本的な治療法は確立されていません。最近では猫アレルゲンを光触媒で分解する技術の研究が進められていますが、これはまだ実用化には至っていません。

Nagao Maya Nagao Maya
編集責任者: 長尾麻矢

プロフェッショナル獣医学術部
プロフェッショナル獣医学術マネジャー
日本ヒルズ・コルゲート株式会社